第2話 金が寄ってきた日

「ねぇあの人超かっこよくない?マジヤバい」

「モデルかな?話しかけてみなよ(笑)」

「えーやだぁ(笑)恥ずいもん」


どこからかそんな声が聞こえてくる。まぁ当然だろう。なんせジルーとエルナンデス並み(似てない)なんだから

この国じゃ無双して当然だろう。それに歩いていて気付いたが身長も伸びている。明らかに前の俺とは違いすぎて怖いが。今はどうしようもない

だらだら歩きながら学校に着くとより大きな歓声が上がった


「やべーアイツ見てみろよ。あんな奴学校にいたか?」

「マジイケメン!!あの人何年の人かわかる?」

「背高たけえな…」


各々が笑顔で俺を見ている

社会の縮図がよくわかる。結局世の中は顔かお金なのだ

だが今の俺には顔はあってもお金がない

顔は変えれてもさすがに金は無理はあるのだろう


そうして落ち込んで教室に入ると全員が俺に目を向ける

さすがにこうずっと見られるのは気分がよくない

目立たない方が良きるのは楽だったな、と思いながらHRの準備をしていると

我が唯一の友進藤ユウマが話しかけてきた


「な、なぁあんた。そこ俺の友人の山宮の席なんだ。クラス間違えたんじゃないのか?」


ごまかすことは無理だろうここは正直に言うべきだ


「すまんユウマ。俺が山宮なんだ」


「「「「ええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」」」」


教室の連中が一斉に声を上げる

なんかごめんと言う感じで頭をポリポリ掻いてごまかすが無理だった


「いやいやいや!!嘘だろ山宮!?さすがに冗談きついぜ!!どう見ても別人じゃねえか!!」


「それは俺も思う」


思わず同意したせいか一瞬空気が固まる


「100歩譲ってお前が山宮俊輔だという証拠はあるのか?」

「そうだ証拠出せよ!!」

「マジ期待して損したぁ」


いろいろ言われてるが、証拠を出せと言われてもなぁ…


「お、おいほんとに俊輔なら好きなサッカー選手言えよ!」

「そ、そうだったこいつはドのつくサッカーオタクだった!」

「確かなんだっけチュ...なんとかだったよな。メッシとかクリロナとか誰でも知ってる選手じゃなかったはず」

「しっ!言うの待てって」


確かにそれなら簡単で分かりやすい

俺が今現在最も好きな選手...レアルマドリードに在籍しているフランス代表!!


「オーレリアン・チュアメニが一番好きだな」


「………」


「「「ううおおおおおおおおおおおおおおおおおおほんものだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」」


クラスが謎の喝采に沸く


「なぁ山宮!女子とカラオケ行こうぜ!お前のその容姿ならぜってい女落とせるって!」

「カラオケかぁ…俺フランスの国歌か応援ソングしか歌えないんだよね」

「歌わなくていいからwもういるだけでいいからw」


朝から大いに沸く教室で先生が入ってきてHRが始まる


先生にも後から説明して何とか納得してもらえた

あんなスムーズに説得できたらちょっと怖い

昼休みになり食堂にでも行こうとしてた時俺の前に一人の女生徒が現れた


「ちょっとあなた」


「は、はい。なんでしょう?」


こ、こいつは確かこの学園の理事長の孫!!天上院!お嬢様気質で風紀委員長もやってる超絶うるさい女だ!!


「シャツのボタンを留めなさい!」


前にも同じことを言われたような気がする。確かに風紀的には悪いんだろうけど俺一人が治したところで何も変わらないだろ...


「わ、わかりましたぁ!」


だが心と反対に身体はシャツのボタンを留めていた。

結局どれだけ外見が変わっても中身は変わらなかったのだ


「あら?あなたなん年生かしら?見ない顔ですわね」


まぁそりゃ顔が変わったからな


「2年です」


「わたくしと同じ?同学年の生徒なら全員の顔を覚えておりますけど…」


「あ、俺お腹すいてるのでまた今度!!」


「あ、コラ待ちなさい!まだ話は―」


腹を抑えてシュババっとその場を後にする

強引だったかもしれないが天上院と話すことなどないのでこれでよかっただろう

昼食時に一気に人が増える食堂で俺はいつも通り150円のうどんを頼む

結局麺類がこの世で一番おいしいってはっきりわかんだね。


何やら先ほどから食堂が騒がしいな

黙って食えよと言いたいが、そんなこと言えるほど学校での地位は高くないのでちゅるちゅるとうどんを食べる


「おいしかった…」


ご満悦な俺は食堂を後にしてその場から立ち去ろうとすると学校ではあまり見かけない執事のような女性が目の前に現れた

綺麗な黒髪で女性にしてたかなり背が高い


「ようやくお会いできました。俊輔様」


「え?」


その女性はぺこりと頭を下げ、満面の笑みで俺に挨拶をしたのだった…








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