第5話 予想外の告白
「
「わかってます! 今やります!」
わたしが生徒会長補佐になってから、二週間が経った。
意外にも、逃げずに活動日は毎回通っている。
それにしても、生徒会って忙しすぎるよ〜!
校則について話す時間なんて全然ないし。
「
「わかった。行くぞ、
「ええ、アンケート……」
「まずは野球部だ」
「は、はいい!」
わたしは慌てて席を立って、教室を出た
いい人なんて思ったけど、違ったかも?
この前はちょっと怖いって思ったけど、
「いってらっしゃーい!」
けど、
「あ、あそこだ。行くぞ」
「はい!」
校庭に出て、先輩はあっという間にその場を収めてしまった。
話の筋は通ってるし、的確なんだよね。
こういうところは素直に尊敬できるな。
「よし、戻るぞ」
「はい!」
「ところで歩くのがずいぶん遅いな。足の長さの違いか?」
「はあ? 放っておいてください!」
ホント、こういうところがなければ……ね。
わたしは小走りをしながら彼を追いかけて校舎に戻った。
「アンケート集計は終わりそうか?」
「うう、あと少し……なはずです」
生徒会室に戻って一時間。
わたしは未集計の山をチラリと見て唇を尖らせながら返事をした。まだ半分しか終わっていない。
もう他の先輩たちは帰って、わたしと
陽が傾いてきて、空も教室もオレンジ色だ。
「半分もらうぞ」
半分と言いつつ、三分の二は持っていってくれたんじゃないかな?
彼は席に着くとそれを一枚一枚確認して、メモをとっている。
いつもなら「自分でやれ」って言うのに、どうしたのかな?
わたしは気になって聞いてみたかったけど、目の前の仕事で精一杯でそれどころじゃなかった。
「……これで最後。よし、終わったあ〜!」
「こっちも終わっているぞ」
あれから一時間もしないうちに、アンケートの集計は終わった。
結局半分以上、先輩に手伝ってもらっちゃったな。
ちゃんと、お礼言わなくちゃ。
わたしは席を立って、先輩に向かって礼をした。
「
「いや、よく考えれば、ひとりでやるには多すぎた」
まただ。彼が優しく微笑んでる。
いつもは厳しいのに、急に優しくするのはズルい。
「どうだろ……先輩なら、ひとりでできたかも。すっごく早くてびっくりしました」
「俺は、去年から生徒会で慣れているからな」
わたしは、ごまかすように肩をすくめて返事をした。
机の上を片付けて、鞄を手に取ってドアに向かう。
「さあ、暗くなる前に帰りましょう!」
「
「はい?」
振り向くと、
夕日が逆光になっていて彼の表情はわからない。
わたしはのん気に、やっぱり背が高いな〜って思ってた。
「好きだ」
「え?」
ぼーっとしていたせいか、あり得ない言葉を聞いた気がする。
わたしは大げさに首を傾げた。
すると、彼はもう一度、今度はゆっくりはっきりと言ったんだ。
「俺は、君のことが好きだ」
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