第24話全力で歌う!!レベル5
「じゃあ、俺も俺も!」
もう一人火傷痕があるボディガード――久礼野と言うらしい。
久礼野が自分もやってくれと、まだ残っているポーションを振りかけて貰うと、先ほどと同じく、液体を振りかけた部分がぴかっと光るとそこで古傷が癒えたのだ。
光るエフェクトが何とも3DCGのようだけれど、現実である。
嬉しいと久礼野は涙を流して喜んだ。
「これ、あるとやっぱり皆悔やんだ顔をするんですよ。 だから治って本当に良かった」
ぐすっずずっ、鼻まで啜る久礼野に、他のボディガード達は皆良かったなあと肩を叩いて喜んで居た。
彼らが悔やんでいたのだろう、そして久礼野はそれを知っているからこそ、治したかったのだろう。
それが分かるだけに良かったと思った。
「じゃあ久礼野も、八城も、治ったってことでいいんだな?」
「はっ!はい!」
「癒えました!」
「よしっ、じゃあこうしよう。全てポーションは俺の方でブラックマーケットで一度売ることにするよ。表立って売れないからね。だから売れたら君たちに還元する。まず表で売れるようになるまでは、妙な行動をしないこと。いいね?」
「分かりました!」
「分かったわ」
*****
絶対模倣――発動。
新曲を歌って貰ってそれを、自分の声で直して歌うと言う奴をやっている。
まずはボイストレーナーについて貰ってやるけれど、ボイストレーナーの謳ったままに出来るようになるのは朝飯前だった。
そう言えば、絶対模倣、レベル5なのよね。
もっと凄く歌いたいって思ったら出来るのかしら?
「――――――♪――――――♪」
試してみたいと思った真美子は、新曲をレベル5で歌うと、思い切り絶対模倣に呼びかけてみた。
すると、圧倒的な歌唱力となってそれは返って来たのだった。
彼女はスタジオの中で歌唱の練習に集中していた。
けれど彼女――真美子の声は圧倒的な迫力を持っていたのだ。
彼女は自分の声を完全にコントロールし、思いのままに歌い上げていた。
一曲ごとに自分の声を試し、テクニックを磨いていく様子まで出来ると確信するようだった。
その歌声はまるで鳥のさえずりのように美しく、その声はスタジオの中を満たしていた。
真美子は曲に合わせて自分自身を表現し、感情を込めた歌を届けた。
練習中も完璧な表現を求め、何度も何度も繰り返し練習を繰り返した。
真美子の歌声はスタジオの外まで響き渡り、通りがかりの人たちまで立ち止まって聴き入っていた。
そうだ、それでいい!!ようやく調子が戻ったんだなと言われ、照れる真美子。
「有難う御座います!!」
「ああ!じゃあさっきの練習風景も撮影していたから、CD特典につけるか!どうする?」
「ええ!?練習だって言っていたのにですか?」
「だけれど、凄く調子が上がっていく様子とか、凄くこの曲のために頑張ってるところとか見て欲しいんだよ~。 あ、じゃあSNSだったらどうだ?あっちならいいだろう?」
「じゃあ、私のSNSとリンクしてください。それならいいですよ」
「助かる!じゃあアップするからな、編集するからまたな!」
曲を作った作曲家は、それでかえってしまったけれど、真美子の仕事はまだ終わらない。
真美子は自分の限界まで歌うため、全力をあげて歌い続けるのだった。
*****
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