第17話慎太郎が居るの?!今遭ってどうしたらいい!?

*****



 テレビ局にお偉いさんを招いているのだと言う。

 そこで撮影を見て貰うんだ、場合によっては歌うからなと言われ、ランことまみこだけが緊張に包まれる。


 出来なくはないけど、歌だけコピーマスターできるかな?


 出来るけれど、歌だけのシーンを思い浮かべる。

 ああ、一つあった。

 撮影のために挑んでいるシーンだ。

 Youtubeで流したところ、1億再生回数を突破した歌があった。

 これを歌えばいいだろう。

 リクエストは受け付けないときっぱり言えばいいだろう。


 三人はメイクさんに顔を少しだけ直して貰い、舞台用にしたところで、お偉いさんたちに挨拶に向かう。

 今日はフレッシャーズなイメージのスーツで撮影――ポスター撮影も待っている。

 その為の衣装だからちょうどいいと言われたのだ。

 何でも、撮影を見学したいのだと言う。


 撮影スタジオに先に入ると、そこにお偉いさんがやってくるのが20分後くらいになっていた。

 結構ギリギリだなと言う話しだが、それでも楽しいは楽しい。


「今回は、動けるスーツの撮影なので、跳ねて弾んでな動きを取っていきます。トランポリン用意してるから、ジャンプして取ってみようね!」


 カメラマンと思しき人物に言われて焦る。


 トランポリンとか初なんだけど………





 案の定まみこはトランポリンに苦戦していた。

 ナニコレ、飛べないんだけど、とやっていると、アオイが言うのだ。


「足を棒みたいにしてジャンプするんだよ。トランポリンの上でジャンプすると跳ねないよ」


 と教えてくれた。

 だが中々もう足がもつれて飛べないでいる。

 仕方ない、こんなことで使いたくはないが――絶対模倣発動!


 アオイを模倣して、飛んだり跳ねたりしてみた所、上手く撮影が進むようになったのだった。

 何で私こんなところで苦戦してるんだろ。

 はあ、嫌になるわ。


 ミツハがナイスと言ってくる。

 あなた達の動きをトレースしただけだから、そんな風に褒められると照れるわと思う。

 それでも嬉しくて、有難うと花が綻ぶ様な笑みを浮かべるまみこに、アオイが照れたように言うのだ。


「同性って分かっててもぐらつくからやめろ」


「何?」


「なんでもなああああああああい」


 撮影が順調に進んでいるところで、やってきた面々の中に、見知った顔があったので「あっ」と声を上げてしまった。


 今回の撮影って、もしかして、慎太郎さんのところの会社のなの!?




 慎太郎、ポツリとこぼしてしまった言葉は、拾われたのかいないのか――?



*****



「ねえ、マッチ沢山買ったけど、100円ショップだと6個入って100円ね」


「うん。これ、銅貨がたぶん300円位だったじゃん?あっちで。つまり、ぼろもうけ?」


「売れたらね。まあ売れると思うけど。私ああは言ったけど、きっとマッチ売れると思うのよね。きっとね、魔石は高いから皆火打石を使ってるのよね。だからってことは、マッチが売れると思うってことよ」


 他には何を持っていくかとあまねが考えているのを、100均で真二はばたばたと歩きまわって探し回る。

 確かに何を売ろうと考えると、難しいものがあった。

 何度も入って買うのは目立つため、二人はいくつもの100均を梯子している。

 一つの店舗でレジスターを幾つも梯子して買って、それが終わったら別の100均に移動するを繰り返し、結果、大量のガラスポッドと、マッチ、ガラスのグラスを手に入れた。

 お玉なんかも便利かもしれないと、あちらで見かけなかった品として持ち込むことを決意し、購入。

 結果などは、あちらで出せばいいだけだった。


「ねえ、一度売り物に行くだけいっちゃう?そしたら露店で沢山の人に売れば霧が晴れるだろうし。やりに行っちゃおうよ」


 真二に言われあまねは少し考えるそぶりをし、そうだねと頷いた。


「あっちで売ってみて、マッチとお玉とかはあちらで売れると思うから売って、高いガラスポッドとかは商業ギルドで売って、それで――ポーション買ってこよう」


「決定!!いざゆかん、異世界へ!」



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