第18話ポーションをいよいよ購入だ!
いらっしゃーい安いよ、火の魔石の代わりに、火打石よりこのマッチは如何?お安いし、何より必ず火が付くよ!――と、慣れた様子で真二が売り込む。
何だ、どうしてなれた様子何だとあまねが問えば、真二は言うのだ。
「なんか露店って、あれじゃね?学園祭の売り子に似てる。俺売り子やったんだ、去年と中学両方!だから、俺すげえ得意だよ!」
と言うのである。
成程、素晴らしい。
「露店大臣に任命するよ。お願いね!」
「はは、頑張ります!」
「いらっしゃーい、魔石の代わりに簡単に火が付くマッチは如何?」
「ええと、どういう物かしらこれは。簡単に火が付くの?」
「はい!いらっしゃいませー!これはこう、この茶色の部分をこの赤い頭で擦ると、簡単に火が付きます。如何ですか?」
ボシュっと音をさせて火がついたのを受けて、目の前のドイツの民族衣装風のボディスを身に着けた若いお姉さんが驚いた。
吃驚したようで、目を見開いてこれは本当なのと何度も口にしている。
「本当ですから、何でしたら試してみて下さい。家でこれをもって火をつけて来ても構いませんよ!どうですか?」
「じゃあ、目の前の家だから、今やってみるわね」
「おっ!俺も見せてくれよ、本当に火が付くなら買うぜ」
「私もよ!見せて頂戴」
シュッとマッチをこすり、火がついた。
これを薪に落せば完成である。
火種がぼうぼうと燃え盛り、あっという間に火がついた。
「こいつぁすげえな!俺、買うよ。幾らだい?」
「銅貨3枚ですけれど、5個纏めて購入して下さったら小銀貨1枚で結構ですよ」
これはあらかじめ決めてあった。
此方でもう一度調べてみたところ、火の魔石だと簡単に火が付くが、その代わりあれは50回程度も火を付ければもう火種を生み出せなくなる代物だったのだ。
だからマッチが売れるとなった二人は、考えた。
換金するなら銀貨の方がいい。
だったら一杯売りつけて、銀貨をせしめてしまおうと考えたのである。
「本当にいいの?だってこんなに沢山入って………火の魔石より断然お得じゃないの。いいの?!」
「大丈夫ですよ。今回は特別に5個で1小銀貨です。火の魔石は最近採掘がされにくくなってると聞いたので、オマケをして皆さんの生活がよりよくなるようにとさせていただきます。また仕入れてきますので、どうですか?お姉さん。買ってくれるなら今なら5個で1小銀貨ですよ」
銀貨のサイズが小銀貨しか貰えずとも、1小銀貨は確実に換金時に千円にはなるレベルの代物だった。
だからこちらも儲けはきちんと出ているから、どうだとして見たら、それくらい安いなら買いだと皆買っていくようになったのだ。
火打石に比べれば、濡れたら使えなくなる欠点はあるのだと伝える必要はあれど、特に他に欠点らしい欠点でもないだろうと思われる。
ここは霧が出てから雨があまり降らないらしいからだ。
だから今買っても、水に水没させない限りは大丈夫だと言える。
その注意点を含めて言えば、皆水には気を付けると言っていたのだった。
マッチもガラスポッドも、そしてお玉やフライ返しも全て売れた。
その為今は異世界のお金はがっぽりあったので、そこでポーションをもう買ってもいいだろうと言うことで、大量に買い付けることにしたのだった。
実際にこう言う声も聞こえて来ていた。
「なあ、マスク、要らなくねえか?」
「ほんとだ、街の中だけ、空気が綺麗?マスクの呼吸が楽よ」
「マスク、取ってみるか?」
「と、取っちゃえ!!」
マスクを取って生活が出来るようになった住人たちは、皆大喜びで――
マスクを放り投げるのを見て、感動したのだった。
「俺等一つ目の街を、大丈夫にしたんだな」
「そうだねえ。でも、まだまだ残ってるから、この街にも沢山ものを運び続けないといけないよね。ついでに人探しをしないといけないけど、何て探したらいいかわからないから出来ないでいるし……この世界に居るとも限らないし、ね」
難しいよねとあまねが言う。
だけどここまで進んだのは間違いなく第一歩だ。
「だから誇っていいよね!」
「それはねえ、そうだよ、私たちがやり遂げたんだよ。だから誇っていいよ真二君」
「うん!俺、自分が誇らしいよ!」
*****
薬師ギルドに行ってみると、そこには山ほどポーションが存在していた。
必要なのはケガと病気が治るポーションだ。
幾らで売ってくれるだろうか?
薄紅色の病気を治すポーションは、真二が手に入れた大賢者の遺志で出来る治癒魔法でしか回復しない病気以外は全て回復する。
つまり、石化などの病気がそういうものらしいので、基本的に癌等であっても治ると言う。
本当かよと突っ込みたくなるが、細胞が分裂し続ける病も治るか聞いてみた所、治ると言われたので出来るのだろう。
兎も角癌も治癒するポーションだ、現実世界で売れば幾らになるだろうか?
恐ろしいほどの値が付けられるだろうと思われる。
気になるのはその値段だが、幾らで売ってくれるだろうか――?
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