第13話フェス二日目参加ですっ
――ということで、初舞台を終え、フェスの舞台に立つことになったのであった。
フェスはGWの三日間である。
二日間連続で出演するため、明日も出番があった。
そしてあまねと真二には、活動拠点をランの自室にして貰っていた。
此方にきて、買出しを終えたら皆でランの自室に集まり、異界渡りをするのである。
今日は二人が異界渡りをする前に、聞いてきたことがあった。
『あっちの世界のポーションってあるじゃん?』
『うん』
『あれ持って来たらヤバくね?』
『どこの誰と取引できるんだよって話だけど、やばいのだけは確か。持ってくるなら持ってきてもいいんじゃない?その代わり霧が付きまとってないタイプのポーションを作らないといけないから、もうちょっとばかり空気を綺麗にしてからになりそうだけどね』
『違いない』
そんな話を二人でしていた。
自室に戻ったのはいいが、ダンスの練習をしていて時間がないと言った様子。
実に忙しそうである。
そのため二人は邪魔をしないように静かにして、そして二人だけで買い物に行くなどして来たのである。
更にあちらの金貨を大半こちらに持ってきており、どう捌くか、と言った会議を二人で開いていた。
「やっぱ、どこでも換金できるのが一番だけどさ、ポーションも持ってこれたとして、どうするよ」
「ガッポガッポと儲かりますけどですけど、そう言う問題じゃねーもんな」
「そういうこと」
翌日――快晴という天気の中、フェス2日目が開催されようとしていた。
「ラン、だいじょび?」
「だいじょばない。でも、やるだけやるさー。頑張るよ」
「?なんか、ランじゃないみたい。いつでも傲岸不遜な感じで、余裕しゃくしゃくだったのになあ?」
「き、気のせいだよ?」
「???まあいいっか、ランがおかしいのは体調不良があったからってことだし。気にしないっしょー」
「じゃあー、いっくよー!」
「トゥエニー、ファイッ、オーッ!」
全員で円陣を組んで行うのは今回のアタック――フェスに対するものだそうだ――を成功させるべく、意識統一しようとするためと、気持ちを意識的に高めるため、だそうだ。
手を全員で伸ばし、声を上げる。
私たちはトゥエニーだ。
全員でトゥエニー。
必ず他の出演者の度肝抜いて、観客の魂を一番に引き付けるのは私達!という面々に、ランことまみこは胸が熱くなってくるのを感じた。
私、別人なのに何熱くなってきてるんだろうと思わなくも無かった。
けれど、今は私がランだから――
まみこはステージに立ち、ダンサーたちと共に準備を整えた。
華やかな衣装を身に纏い、輝くスポットライトの下で自分たちのパフォーマンスを披露する準備をしていた。
「ラン!ラン!ラン!ラン!ラン!」
「ラン!ラン!ラン!ラン!ラン!」
「ラン!ラン!ラン!ラン!ラン!」
「ラン!ラン!ラン!ラン!ラン!」
「ラン!ラン!ラン!ラン!ラン!」
「ラン!ラン!ラン!ラン!ラン!」
「いっくよー!!」
「ランさまあああああああああああああ!!」
音楽が始まると、彼女達は一斉にリズムに乗り、ダンスを踊り始めた。
まみこは自分自身が踊りの中で解放されていくのを感じ、自分の内面を表現するようなダンスを踊り続けた。
バックダンサーのメンバーとコーラスの三人が共に歌ってくれることに何故か喜びまで感じる始末。
馬鹿、馬鹿じゃない私。
だって私はランじゃないのに。
何本気でやってるんだろう。
と思う。
でも、今はランだから――全力全霊で踊り切って歌い切って見せる!!
ステージ上での彼女たちのパフォーマンスは、まるで物語を語るように繊細であり、力強かった。
彼女たちはダンスの中で自分自身を表現し、観客たちを感動させた。
合計三曲披露することになっているが、その最後の曲が終わり、まみこはステージから降りた。
観客たちは大きな拍手と称賛の声を送り、彼女たちは自分たちが踊りを踊ることで自分自身を意味していると感じているようだった。
まみこだけはそんな気持ちになれないでいた。
タダひたすらに罪悪感を抱く。
だって私はランじゃないから。
笑顔の下でランの仮面の下では、まみこが弱音を吐いていた。
コピーマスターで歌い切っても踊り切っても、全然達成感何て、どこにも無かったのだ。
打ち上げに行こうと言われるが断ってまみこは帰路についた。
ランの自室に戻れば、そこには二人が待っていた。
「それで?どうだったの?」
「うんと、ちょっと辛くなってきた。浮き沈み激しくってごめん」
「気にしないでいいよ。だいじょーぶ」
「そうだよ、だいじょーぶ。俺等居るし」
「そっか。ありがと」
ぎゅっとあまねと真二に抱きしめられたまみこは、こうして怒涛のフェスを終えたのだった。
*****
フェスとか行ったこと無いから雰囲気で書いてます。
間違ってるところとかあったら修正するので教えて下さると幸いです(;´・ω・)
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