第9話ざっくり金貨の山ですかっ!
「壮観だね」
「え?俺は、あー・・・・やらかしたーって感じだけど?」
「そんなわけあるか。滅茶苦茶綺麗に更地になって壮観でしょうが」
「自然破壊をしてまさかの綺麗になったねって言うと思わなかったっす」
遠い目をしている真二に、まみこは綺麗になったからいいと言い張るが、自然破壊と言われてぐうの音も出ない。
そんな事言われたって、後から何かに巻き込まれるのは嫌じゃんかと言われると、真二も何も言い返せなかった。
「私はどちらかと言えばね、自然破壊だよなあと思うけど、襲われたりするの嫌だし。地球でだってアリゲーターとか居そうだしここ。そんな感じに見えるのに、そんなところで見えない死角があるのはごめんかなー?なんてね」
思いますと言われると、そうだねと三人一斉に首肯を返すのだった。
「頑張ればスキルをまたくれるって言ってたけど、何だろうね」
「頑張りに応えるために出来るのがそれなんでしょ」
「さあ?どうなんだろとは思うけど貰えるものは貰っておこうよ」
*****
空気が澱んで居なくなった場所を通っていくと、人里らしきものが1時間程歩いたところに存在していた。
遠目に見ても1時間歩いて見つかるのだから、ここからまたどれくらい歩けばいいのかと思い、とりあえず断念する。
「無理、これ以上は歩く前にガスマスク必要よ。とりあえずワークマン行きましょ。あそこなら売ってるっしょ」
ただし面が割れてるまみこだけはフードがある服だったため、フードを目深にかぶって歩くことになった。
そして異界渡りを発動し、地球に戻ってきたのだ。
「本当に、地球?だよね」
「本当に地球でしょ。じゃなかったらどこなのよってこと」
「そうだねって事じゃなくて、似た世界とかあるとか平行世界あるとか言うじゃん。だから怖いんでしょーが」
「やだ。妙なこと言わないでよ。怖くなるじゃん」
あまねと一緒に怯えていれば、何で俺が怯えられるんだかと真二が肩を竦めている。
「兎に角買いに行こう。私が知ってるワークマンでいい?ここら辺私知ってる土地ぽいから。でも、何でワークマン何て知ってるの、お金持ちなんでしょ、まみこって」
「ワークマンって便利だとか、仕事用品を売ってるだとかで結構有名じゃない。私も知ってるよ。世の中を知らなくても、ニュース位見るもの」
「俺も安くていい商品が並んでるって言われて知ってるよ」
「ああそうか、確かに最近有名になったもんね」
ワークマンで三人はガスマスクを無事購入し、それを装備出来るようにと現地民のためにも追加で10個購入してみた。
私たちと違ってあちらで生き抜くために持っているかもしれないけれど、もしも持っていなかった場合自分達の予備含めて買っておきたかったのだ。
三人は無限倉庫の中に購入した便利なもの――ガスマスクや上着、靴を購入し、放り込んだ。
次に交易と言えばどうしたらいいかと話し、真二がこういう時は「塩、コショウ、砂糖が三種の神器だよ」という。
何故だ。
「大体が発展してる土地じゃないんでしょってことで言ってるんだ。それに間違ってても、塩胡椒砂糖って言ったら、安いし、あっちで高値で売れたら御の字、んで安く売れてもまあ別の物を考えればいいってことでいいっしょー」
「そか。じゃああっちの世界って、所謂数十年前とかを考えてればいいの?」
「ノーだよ。大体が中世だったりする。だから胡椒と砂糖はすげえはずだよ」
何で分かると言えば、そう言うのがセオリー何だと言われ、二人はそういう物かと曖昧に頷いて見せた。
とりあえず現地でどういうふうに売れるか分からないため、小さな壺や瓶を買ったりしてそこに砂糖と塩と胡椒を小分けにして入れた。
これでいいだろうというと、三人でまたも異界渡りをして歩いたところまで飛んだのだった。
「つまり、行ったり来たりを私たちが嫌がらないようにするために、交易って形にしたんだと思うんだよね」
「へー、なんで?」
2時間歩いている三人は、流石に出不精の人間にこりゃきついとふうふうとガスマスクをつけて、汗を拭きながら会話を続けた。
特にあまねが自宅から出ない生活をしているがため、元の身体だったらもっとひどかっただろうなと言う。
汗も出ない程の汗腺の死滅っぷりに、いつ倒れるかと思うと穏やかで居られない。
真っ赤な顔をしてあまねが続ける。
「つまりさ、行ったり来たりして、買い物を両方でしてくれれば、私たちも潤うから、地球での暮らしもゴージャスになるわけじゃん」
「ああまあそうなるか。成功すればだけど」
「ああ、言いたいことの意味は分かった。つまり懐を傷めないようにってことで、私達にチャンスをくれて交易って言う、何度も異界と移動を繰り返すことに飽きも無いようにしてくれたわけだ。なるほどねえ」
「だと、思うわけね」
「あー、なるほどね。だから神様からの依頼で転移出来る力が残ってるわけだ。俺等が何度も物を持ち込むことを苦にならないようにって言うなら当たりだね。これで大金が金貨とかで稼げたら俺等大金持ちだもん」
「でも、身体がないから絶賛困り果ててるわけだけど」
「それなー」
三人は肩をがっくりと落して進むのだった。
金貨の山を見て三人は――
「是非これで引き取りをしてください!また持ってきましょうか?」
「胡椒は王都の方が引き取りは高いでしょうが、こちらでも精いっぱいさせていただきますよ。ですが塩は必要なので、何度も持ってきていただけると有難いですな」
「是非に!!」
三人ともが山積みの金貨を見て、これを換金出来ればどうなるかと思ったのだ。
金貨などで宜しいのですか?ミスリル貨もありますがと言っていたが、金貨にして貰った。
そんなわけのわからないもの、地球じゃ取引出来ないのでこれでいい。
これだけあれば思うのが、今は金が高騰しているため、恐らく800万はくだらないだろう。
重い思いをしてスーパーを何件か梯子しただけあると思った。
だからいったろう、塩胡椒砂糖は鉄板だってと真二に胸を張られ、二人は真二を揉みくちゃにしたのだった。
「よくやったわー」
「さっすが天才真二君!」
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