第7話こまけえこたぁいいんだよ!
「地球からの息吹が交易でなんで増えるんですか?」
『異世界と行き来することで沢山の魔素が貰える。そしてそちらの世界の物質には使いもせぬ魔素がたっぷりと含まれておるのだ。それを持ってきてほしいという事だ』
「ああ成程ね。俺分かったからマミコさん黙ってていいっすよ。じゃあ魔素をたっぷりするのは異世界でむそうする必要とかあるわけ?俺は大賢者の遺志って書いてあるから大賢者の過去の魔法とか使えるんじゃねーのって思うんだけど違います?」
『左様。使う事が出来る』
「マージですか、やったね!」
「???」
「大賢者ね・・・・こっちで言うマーリンみたいなものかしら」
アーサー王伝説のマーリンよと言われ、納得する。
それならば分かる。
魔法使いマーリンは有名だ、そう言った魔法使いを賢者と呼んでいると言われれば納得した。
「あのう、ステータスにある、この異界渡りって何でしょう?」
『それがこちらの世界と行き来することのできる力となる。そなたら三人に結びつけてある。――それと、もしもそなたらが先に肉体の持ち主を見つけた場合、それを知らせてくれれば肉体を変えてもいい』
「でも私は・・・・」
居なくなっちゃったし。
『そちらの世界で消滅してしまった魂を嘆くばかりではなく、ある魂を尊い物と思えば良いだろう。何がそんなに気に食わぬのだ?』
「いえ、私の肉体はいいとして、魂はこの肉体に帰らなかったらどうなるんだろうと思って」
「そう、だよね・・・・この肉体を返して終わりでいいのかな?」
『その時は魂の記憶を入れれば良い』
過去の記憶を入れておけば、自然と魂が無いままでもやっていけると言われ、ぞっとした。
そんな人、居るの?
魂が居ないままで生活をしている人間はどうなるのか聞けば――
『認知症とか言われる症状がそれに該当するかの?まあそちらの世界の全てがそれに当てはまるわけではないが、原因不明とされる場合はそうした物が多いぞ』
「あ、あああ、ああああ・・・・・」
ようやくまみこは目の前の存在が人知を超えた存在だと気が付いた様子で。
恐ろしくて地面に伏して恐怖を唱えた。
助けて助けて助けて助けてと、誰にともなく言うのであった。
*****
「兎も角頑張ろうぜマミコさん。泣かないの」
「うん・・・・ありがと真二くん」
まずはこの神殿らしき朱塗りの建物の外に向かう。
ここはセーフポイントらしいのでそこの外へ向かって、魔法を打つ練習をするのである。
そして絶対模倣を使い、魔法を出来るようになれば、後はあまねが皆を隠してくれれば出ていくのに簡単ってことになる。
「言葉は日本語だって言ってたよね」
「以前から何度もこっちの人間がいってて結果日本語も通じるって言ってた」
「だったらいいわね。楽で」
「後は何を買うべきかとか分かればいいんだけど。魔素ねえ・・・・何に一番含まれてるんだろうね。吸ったらいけない物を吸わないようにするんだから、皆ガスマスク付けてるんじゃない?」
「ナ○シカの世界みたいね」
「ほんとだねえ」
「俺等も買う?んだよね、ガスマスク」
「そう言う事。――さて、建物の外が見えるぞっと」
「道が無いんだぞっと・・・」
「たはー・・・・・マジいねコレ私らこんなところ歩いて行くの?」
「確か、異界渡りの能力は、一度行ったことのある場所には移動が出来る、だったよ。だとしたらそうなるよね。一度行かないといけない」
「ここを?」
嘘やんと三人は言いたくなった。
だってそこにあったのは、背丈が高い薄汚い色をした木々の群れで――アマゾンの奥地と言われても頷けるような鬱蒼とした森が広がっていたのだ。
薄汚いと称したのにはわけがある。
「これが、霧・・・」
「きったねえ・・・この霧が悪さしてんだろ?空気清浄機とか持って来たら一発ジャネーノ?」
「電気ないんじゃないの?」
「あっても海外みたいにアンペアとかボルトが合わないんじゃない?」
「あー・・・ボルトが200と100みたいな?」
「そんな感じよね。きっと」
「じゃあ電気を作れる自家発電機を持って来ればいいのかな?」
「何で霧をまずどうこうしようと思ってるのよ。私たちはここに交易品を持ってくるために来たんでしょ。まずここに一旦きて、魔法をぶっ放して見て、それでマミコさんにも使わせてくださいお願いします」
「私は確実に隠密行動するだけのために居るだけだから、二人に戦力としてやって貰わないといけないかもねっていう。魔獣って言うのが居るって言ってたじゃんね。だから頑張って戦って貰わないとね」
魔獣を殺せばその分霧は薄くなるけど犠牲者が絶えないともいう。
だったらこの世界の人間に強い力を持たせればいいのにと思ったら、どうやらそれは禁則事項に当たるらしいとのことで、出来ないんだとか。
難しいな神様って。
「ステータス!」
真二君がステータス画面を呼び出した。
そこで使う魔法を開こうとしているらしく、何がいいかなと唸っていた。
「どうせなら、こう道が出来るように撃ってね」
「あー・・・・こう、ど派手な感じに?分かった調べてみるわ」
画面を見て、どれがいいかわからなくなったのか、真二が言う。
「どれがどれか分からんから、全部撃ってみようぜ!」
「そうね、いっそそうしましょうか」
「雑になったね、急に」
「こまけえこたぁいいんだよ!!
火よ!!猛り狂え、ファイヤーストーム!!」
ボゥウウウウボバッボウウウッ
轟々と燃える炎の渦が、炎の竜巻のようなものを生み出し、真っ直ぐに目の前を駆け抜けて行った。
途中何らかの悲鳴らしき音が響き渡ったが、きっと魔獣だと思いたい。
お陰で目の前が急に晴れてキラキラとした陽光が入り込む地となったのだ。
木々が燃え失せたからもあるだろうが、霧は魔法で吹き飛ばせると分かったのだ、これは神からの指令をこなす上で分かったことは僥倖だろう。
「ひっ・・・・何あの威力」
「でも、すげえ晴れ間だぜ!」
「だねえ。でもこれは凄い威力であると思うよね。そう思わないマミコちゃん・・・マミコちゃんってこれから呼ぶわね」
「思う。――分かった。よろしくあまねさんがいいかな?ちゃん?――使いこなせる自信一気に無くなった。しぼんだよー」
「私はあまねでいいよ。呼び捨てかチャンづけがいいよ」
という。
「んじゃおれは真二でいいよ。二人とも年上だろ?だったらいいかなって」
「分かった真二って呼ぶね」
「真二君って呼ぶよ」
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