第6話波紋を投げかけよ、ってナニソレ?
*****
神という存在は、これでは声が届かぬなと言い、姿を小さくして目の前に現れてくれた。
その際神像だと思しきそれとうり二つの姿を取られ、目を見張ったのだ。
この朱塗りの建物はどうやらこの自称神を祀る建物らしかった。
『ではこれで話も出来よう』
「有難う御座います。それで、私達に停滞した世界に交易をすることで何をして貰いたいってことなんですか?」
きちんと覚えていたまみこが言った。
あまねも忘れてないよとばかりに続く。
「波紋を投げかけるって言ってましたよね。あれは?」
『まず停滞した世界になったのは、この世界に霧が発生したからだ。これは生きとし生けるもの全てに有害である。これを交易することで、別世界からの息吹を入れたい。生き物の力を外から支えるのである』
「そもそも何ですかその霧って。私達には有害何ですか?」
『そなたらには有害ではないだが肉体には有害だ。我らは魂を呼んだゆえ、肉体をこちらで渡すつもりであったがためそうなる』
そう言われると慌てるのは真二である。
「困るよ!預かってる身体だから、そんなの困る」
「けど、何とかしてくれるって言ってたじゃない、だから頑張ろうよ。霧に触れないようにすればいいんでしょう?」
『霧は吸い込むと徐々に姿を失い出すのだ。堕ちた神から出た瘴気がそれである。だから霧を吸い込まぬように仕事ができるようにまずはそなたたちの世界で防塵マスクや粉塵マスク防毒マスクなどあるであろう?あれらの防毒マスクが一番良いかと思われる』
使うと良いぞと言われ呆れた。
どこまでこちらの世界について知ってるのだろうかと思ったのだ。
『他にはと言われれば身分証が無かろうから、身分証を入れておいた。ステータスと唱えてみろ。自分が出来ることが分かるようになっている』
「・・・・・・・・・・・・俺これ見た事ある、異世界転移物とかのラノベの世界だわ」
「メタメタだね。兎も角ステータス・・・・・見れた、私は透明マントを召喚出来る、だって。後はアイテムBOXと、金貨と銀貨を10枚ずつ入ってるよ」
「俺も同じ、ただ、大賢者の遺志は亡くなった人って意味みたいだね。そう書いてある」
「どれどれ・・・・・・・ほんとだ、意思じゃなかったんだね」
「んでマミコさんは?」
「私?ステータス・・・・・・・・・・・・絶対模倣――コピーマスターと読むらしいね。これは・・・見たものを全て記憶し再現出来るだそうです。一度やって貰ったら完璧にできるのがレベル1だって。レベル5まであって、そこまで言ったら相当凄そうだね」
でもコピーできるのが能力なら、それ以上ってなんぞやと首を傾げる。
『ステータスに無限倉庫という者があるだろう、それに荷物を無限に入れておくことができるので、沢山の物資を持ってきてこの世界に息吹を吹き込んでほしい。そちらの世界の素材は全て、魔素の塊なのだ。それを行き来して運び続けて欲しいのだ――やってくれるな?』
「・・・・・・・・・やりますよ、けど報酬とかありますよね?私たちの肉体を戻す事は勿論、他にも何かありませんか?私達これじゃあ家に帰れませんから、少しの融通をしてほしいんです」
「そうだね、確かにこれでは帰れないし、そもそも家の鍵どこにもなくなってるから帰れそうにないやね」
「ちょっと待った、俺等現金が無いよ!?どうする?」
「ポケット探して見よう、悪いけど使う前提だから全部ひっくり返してでも探して」
「ええ?!」
「お、あった、1230円。何かのおつりかなあ?」
「私もあったわ。2万3501円お財布に結構入ってるわね」
「私は・・・・・・・・・・・・この子何なんだろ?財布に札束が入ってるわ。100万越えてる」
「マジ!?さっすが天下のランじゃね!?っひゅーぅ、最高、じゃあその金で買えるだけ色んなもの買ってこなくっちゃな」
「だけど・・・・・・・・私の身体も、たぶん、式場予約の費用で、前金で30万入ってたの」
だから30万までならいいけど、それ以上は使わないようにしようと良い、皆が頷いた――までは良かった。
『ああ、今調べ終ったが、そなたの身体の持ち主、魂が消滅しておるぞ?肉体は今ちと調べておるが、まだあるのは確かだのう』
「はあ!?じゃあ、じゃあ、ラン様いなくなっちゃったのか!?そんなあ・・・・・・」
「しょしょ、消滅ってまままあままままあ、マジですか!?」
じゃあ私はどうなっちゃうわけえ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます