第4話すね毛なんて剃ってよ馬鹿
三人揃ったところで話し合いをする。
彼――彼女?の名前は真二と言うそうだ。
身体は従姉妹そのもので、真二では絶対に無いとのこと。
だろうなあと思う。
座るときも男性体であるあまねが居るのに、膝を割ってあぐらをかいている。
しかもスカートを熱いからと仰いでいるが、こんな状況は女子高で女子だけの状態でしか見たことがない。
まみこは中学高校と、中高一貫校だったが、隣の高校である女子高に、交換留学じゃないが言ったことがある。
単位も貰えて特待生枠で勉強が出来て良かったのだが、如何せん廊下から何から何まで、女子の往来が見られるとひどいときがあったのだ。
あれは思い出したら赤面ものだと思う。
かと言って男子校も近所にあるので学園祭に行ったことがあったのだが、通常営業しているところ以外が目を向けられない程の異常な汚さだった。
此方もこちらでどうかと思ったが言わぬが花である。
あまねが体育座りをして、そんな真二のことを見下ろす。
従姉妹というだけあり、複雑そうだ。
元からかなり可愛い顔をしている真二の姿に、自身のことを思い返す。
私もかなり可愛い顔してたな、と。
しかもどこかで見た事あるような顔だった気がする――
「なあ、ところでさ、俺ここに来るまでにちょっとあったんだけど、二人はどうなの?何かあった?」
「私は新居を内覧していたときに、だったよ。だから起きてた時に連れて来られてる」
「へえ、俺は学校で授業中」
俺高2と言われれば、あまねがいうのだ、従姉妹と同じよねえと。
知らないと言いたいが、だとすれば仮説が一つ成り立つ。
「本当に真二君が従姉妹のフリ?をしていないだけで本人ではないと仮定して」
「そう言ってるだろーが」
「マジでガチでそうだとして!聞いててよ――つまり、同い年の子同士で入れ替わってるとか、ある?」
因みに私はかなり若く見えるようになったと思うからこれはないと、まみこが自分で仮説を否定する。
「俺はその仮説でもいいけど、従姉妹ちゃんとはあってみてーよ。俺男子校なんだー。だからこんな可愛い女子とかすげーうれしーってあったら言ってみたい」
まあ鏡がないから見えないけどというと、二人の反応だけで判断しているけど、相当可愛いんだろこの子と言われる。
そうなのだ、真二の言う通り、かなりあまねの従姉妹は可愛い。
それも、犯罪級な可愛さだ。
まあ、化粧をしているから取ったらどうなるか知らないけど。
兎も角話を戻そう。
「私はまみこって言うんだけどって何度目か言ってるけど、外見は変わってるから、凄く違和感があるの。鏡を見たから分かるんだけど、私の場合は。だけど割っちゃったから、貸してあげられないんだ、ごめん」
「欠片とかでいいからねーの?俺自分の?じゃねえけど顔見たいよ」
「それが・・・・私の中に欠片が吸い込まれて消えちゃったの。だから鏡がないのよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・それ、俺もあったわ」
「あ、ならそれならね、私もね、あったのよね。まみこちゃんはコピーマスターっていって、私は透明マントって言ってたわ。何かしらねこれ」
身体に吸い込まれたの、同じことが?と問いかければこくんと真二は小さな頭を傾け頷く。
「俺は大賢者のいしっていってた」
「大賢者の意思かしら?」
「なんだろうね?」
大賢者の意思なら、意味は大賢者の意思表示って意味になるのかしら?
だとしたらちょっとおかしいか。
今真二に何も言ってこない方がおかしくなるものねと思う。
兎も角三人とも切羽詰まってるのに何でまたこんなことになってるんだろうかシャレにならない。
「ねえ、真二君?でいい?呼び方」
「なーに?」
「おトイレって男性ってどうするの?したことなくって困る」
「・・・・・・・そっか、あまねさんは男性の身体に入ってるんだからそうだよなあ!」
どうするかーと言われまみこも気が付いた。
トイレ、どうしよう。
他人様のお嬢様のハダカを見ることになるんだ私は。
そして私もまた――そう言う事だと気が付いて、いいいいいいいいいいいいいいいいやああああああああああああああああああああああああああああと叫んだ。
「何々あんだよマミコさん!」
「よく考えてよ、知らない誰かが私のハダカ見てるのよたぶんだけど!?どうするのよ!!」
「え、・・・・・そうだね、そうなるねえ。昨日はケンタ言ってドカ食いした日だから、かなり太ってるかもー・・・・・なんて。あはははは」
あまねの一言に脱力する。
あまねは食べても太らない体質だと自分で言っていたから、そう言う事だろうけれど、まみこは違う。
「わたしは食べたら太るのよ!!なのにどうしてこんな・・・・・どうしよう!?」
誰かが私の身体で食べて飲んで食っちゃねしたらどうしようと言えば、真二がこっちもやり返す?ってことにならねーよなきっとという。
「もう諦めたら?俺諦めてる。取りあえずよくこういうのであるじゃん。額ぶつけ合うと戻るとかって。前向きに俺は生きるよ。生きることにします」
だから額をぶつけてごチンってやれば戻ると俺は思ってるんだと拳を握って言われても、そんなこと、自分の肉体と会えたらになるに違いないではないか。
肉体に会えなかったらどうするのよと思うから、行ってみると、うっかりしていたとばかりに言われるのだ。
それは考えてもいなかった、と。
「いやああああああああああああああああ」
「あまね、どうするの?!私は嫌だよ、ハダカ見られたくない!!ああ、でも私結婚式控えてたから、エステ通ってたから痩せ出してたからまだマシかも!?」
「ええ、いいなあああああ!わたしは下っ腹がちょっと出てるから凄いショックだよ、見られたらどうしよう!?だよねえ!!」
「俺なんてひざ下毛深いの気になるから困る。どうするんだよ・・・・」
女子があれだったら俺気持ち悪がられるよなあと、皆怯えていた。
「わたしだったら真二君になったら、ひざ下のすね毛は剃るわ」
「剃るのはいいんだけど、剃った後ってチクチクするからいやだあああ」
「やじゃない!毎日剃れ!それか永久脱毛!」
「まーじでー?!」
「って言うか、従姉妹ちゃんだって永久脱毛してるよ?男子だからってちょっと放置はまずいと思う」
今時ぼーぼー胸毛とすね毛は流行らないよと言われ、真二は呆然としている。
「嘘だろ、俺のすね毛・・・」
ガシャーンッ
ゴロゴロゴロゴロ、ガシャーンピシャーンッ
三人でなごみ始めた所で、雷が鳴りだした。
慌てて三人とも朱塗りの建物の中に避難すると、木像が録画テープを巻き戻していくように、姿を取り戻していくのが分かった。
「なに、なになになに!?」
「ふおおおおおお、なんだこりゃああああ」
そこには神像があった。
木で出来た神像は、今は神々しい光を放っており、皆を触れるように誘うようにその手に光を灯している。
まみこたちの手も光輝き、真二が惹かれるようにその手に触れると、三人とも意識が飛んだのだった。
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