掴めない君に
誰かに成り果てた
「志綾様?」
「志綾・・」
「はぁ~。やるなら止めないでサクッとやってしまえば良いのに、お前達はどこまでも優しいなぁ・・・・・・それが幻滅したと言ったんだ。昔のお前は阻止の声も聞かずに殺してた。だが今のお前はどうだ?躊躇ってる。どうしてそこで躊躇っているんだ?躊躇うのなら脅すな、目の前に現れるな、自分はこれから人を殺すんだと思ってやれ、自分を弱くみるな、自分は殺せると思え、そうしないと
弱音を吐いた志飛は睨んだような顔をしてナイフで脅されている葉椿に聞いた。
「う、うん、聞きました。」
「・・・どっちなんってない。僕は結局は男ということを隠して過ごさないといけない。だってそうでしょう?僕の言葉なんってなんの意味もない、だからさっきの質問だって僕は・・・・私は女として生きて行きたいですって答えないと行けないのだから・・・・・筒夏さん、もう質問は終わりました。離してあげてください。荼泉様。教室に戻りましょう。もうチャイムが鳴ってしまいました。」
志飛はいなくなって志綾に戻った。
「志綾、お前・・」
「ごめんなさい。私は大丈夫。私は大丈夫です。」
「いや、違う。お前が志飛と名乗る時、志飛として喋る時はお前が思ってる本心なんだろう?」
「・・・いいえ、違います。私は志綾です。志飛は殺されたはずです。私は志綾で・・・す。」
志綾は駆け出す。廊下に出て走って行った。荼泉もすぐに追いかける。
逃げるな、逃げるな。
お前は正しい。
間違ってるのは要家と繋家の伝統だ。
良いんだ、自分を曝け出して、
男になったって
俺はお前が好きだから
婚約者として好きではなく本心なんだ。
自分じゃ分からないけど
多分、この思いは、俺の本心だ。
だから、俺から逃げないで
逃げないでくれ、
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