イジメ

 「なぁ、これやるよ。お、手が滑った。ごめんなぁ。」

 志綾しあの体が濡れた。

 「お前、」

 荼泉とい立ち上がって生徒に近づこうとした瞬間

 「手が滑っちゃったのなら仕方ないですよ。荼泉様。」

 「こいつは・・わざとだよ。それでも

 「荼泉様!決めつけは良くないと思います。・・・主席番号1番。秋松あきまつ 夏輝斗かきと君。さっきのは手が滑ってしまったんですよね?」

 「ああ、そうだ。悪かった。」

 秋松はニヤニヤしながら言う。

 「わ、私は着替えてきます。」

 「俺も行く。」

 走って出て行こうとした志綾を追いかけた。

 「志綾、待って、志綾・・・志飛!」

 「・・・・だから私は志飛ではありません。」

 小さい声で呟く。

 「・・・」

 「・・・・・」

 二人は廊下で立ち止まる。

 「志飛・・・」

 「・・・ごめんなさい。」

 「え?」

 「私のせいで荼泉様にまで悪口が・・・」

 「俺は大丈夫。大丈夫だから。」

 「・・・着替えてきます。私は大丈夫ですから教室に戻っていてください」

 「わかった。」

 


 志綾は授業の時間になっても来なかった。


 「秋松、あれは最高だったな。」

 「まさか、女の方が庇うとは」

 「?秋松?」

 「・・・」

 「夏輝斗?」

 「ああ、悪い。ぼーっとしてた。」   

 「大丈夫か?水ぶっかけた後から様子がおかしいが」

 「大丈夫。」

 そんな会話をつなぎ家の使い桜川さくらがわが見ていた。

 「なに、あいつら志綾様・・・私の大好きな推しに水ぶっかけたの?」

 桜川は志綾のことが大好きで裏でこっそり『推し』と称して友達に話していた。

 桜川 筒夏つつなは高校二年生。繋家の者に命令されてない時は普通に高校に通っている。

 「ねぇ、今日も私の推しが可愛かったのー」

 「ああ、また、筒夏の空想のお推しね」

 「だから空想じゃないって!」

 「じゃ、どこの誰?名前だって教えてくれないし」

 「えへへ、だって私だけの推しでいてもらいたいじゃん?」

 「その『私だけ』って言ってるのに私達にその推しの話してるじゃん」

 「えーだって自慢したいじゃん?」

 「あはいはいで?どうしたの?」

 「なにが?」

 「はぁ、さっきまでの会話忘れたの?推しが可愛かったんでしょう?」

 「やっぱり聞いてくれるんだ。優しいね。瑞那みずなつむぎは。」

 「あったりまえでしょう。何年筒夏の友達やってると思ってるの?」

 「もう言わば、子守りよね。」

 「あー、瑞那言えてる。」

 「二人とも!」

 

 二人は瑞那と紬は全然学校に来てない筒夏にも普段通り接してくれる。なにも聞かないでいつも通り・・・



 「・・・やるべきことはやる。」

 一言呟いて秋松達の前に出た。

 「・・・・・・・」



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