第21話

 散々飲んで、酔っ払った。店から出て莉久と千鳥足になりながら、広瀬通に出る。車道には、飲んだ客を捕まえようとタクシーが何十台も駐車している。どのタクシーにも、翔のステッカーは貼られていなかった。

 タクシーを拾う。どっと疲れが襲う。

「土樋まで走ってください」

「学院大のところね?」

 運転手は早口で言うと、タクシーが一気に走り出した。広瀬通を曲がって東二番丁通を南に走る。

「仙台の街もあと一週間で見納めか」

「ねえ、奏太」

「ん?」

 振り向くと、莉久が急に迫ってきた。カラダが密着する。吐息を感じる。暖かい。唇が、近づく。

 そのとき、スマホが鳴り出した。

「なんだよ、こんな時に。誰からだよ……って、うわあ!」

 画面を見て驚いた。半年行方不明だった翔から、メッセージが届いたのだ。

「明日の夜七時、キッチンONに来い。カレーをおごってやる」

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