第5話

〈今いるこの世、もうそれ自体が、お前たちにとっては異世界だったのだ〉


ふたりの存在はそのままに、それぞれの今までの人生と振る舞いが周囲を高速で流れ出し、ゆがみはじめる。そして。


〈おまえたちが住んでいた家と家族と環境は〉


翼をなくし。


髪は金から黒へ。


白い肌は、やや山吹から、だんだんと、チョコレート色まで落ち着き。


恨みの声で、聞こえ出す。


〈わたしのこと覚えてる?〉


ふたりはさけんだ。


天使は、幼稚園で、幼稚園児だったころ。


ふたりが砂場の砂をかけて白くなれといじめた子だった。

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