第2話
「学校と同じなの?」
〈なにもしてくれない、と言っていたな。学び舎をそのようにしたのは、ひとだ。ひとが学校を作っている。そして。学校にひとは多い。だが、ひとりひとりだ。そのあつまりのなか、きみたちもまた、ひとりとひとり〉
「わたしたちは、多数決で勝ったり負けたりした」
どちらがつぶやいたのかわからない。
「それでも!」
魂の訴えが始まる。
「天使さまがあらわれた!」
ふたりは同じ学年にいながらじつはお互いの名前がわからない。存在も認識できない。仮に相対しても現実で結託しないようにお告げと制約がかけられている。
天使の言い分は。
「しあわせになりたければ、いじめのない世界へ行け。異世界に行けるコードを教える」
それぞれの邂逅でふたりの少女はそれぞれ問う。
「わたし、いじめなんて見たことも聞いたこともありません。わざわざいじめのない世界へ行って、しあわせになれとはどういうことですか?家族は?この世の私は失踪するのですか?」
「だれ、ていうか、なに、これ。夢か。異世界ってなんだろう。ひとりごと、多くなったな。それより、わたしは、もともといじめに遭ってから気が強くなって、鍛えられて、新しい標的見つけて、それでいじめてたら、なんだろう、なんだったんだろな、ぜんぶ、もう!」
天使は、ふたりを異世界に行く時だけ向かい合わせる空間へ転送する。そこで、戸惑うふたりにコードを教える。ただ、異世界に行きたいか?それに、おう、と答えるだけだと。
ふたりは夢だと思うことにした。
最初の異世界は老若男女、美しい者ばかりの異世界で髪色や目の色は細かく分類すれば数千に及ぶらしい、それでいて街はテラコッタやただの白い壁、意味もなく景観に合わせて作った花時計に、誰も手入れもする予定はないが腕試しで作ったお城。悪くなかった。しかし。
街の人の会話は。
「むかしは、ぶさいく、や。しこめ。という言葉があったそうな」
「へえ、響きからしてぶかっこう。なんてみにくいの」
馴染めなかった。
永住できそうにない。そう判断したら、元の世界に戻れる、又は違う異世界へ向かう気持ちのままならそちらへ向かえる、復活の呪文があった。
「これでいい」
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