第46話 あれから
リックがニューヨークで起こした爆破事件から約五年が経った。
俺とサリナはダンジョン配信者として日に日に注目度が上がっていき、今では日本国内でもトップクラスの人気のダンジョン配信者になっていた。
そんな俺とサリナは今も仲良く二人で暮らし、二人で毎日のようにダンジョンに潜って魔物を倒したりしている。
以前と比べると、別人と思えるくらいに俺たちは強くなっている。
強い敵が現れて、危ない状況に陥ってしまってもお互いに支え合いながら戦うことでどんな敵が来ても勝つことができるほどに強くなっていた。
そして、五年前の爆破事件で出会ったジョンと今でも連絡を取り合っており、俺たちは休みの時にニューヨークに行って会ったりしている。ジョンが日本に来てくれることもたまにある。
あの事件は大変な出来事だったが、あの事件がなければジョンと出会うこともなかっただろう。
「サリナ、用意はできてる?」
「もういつでも行けるよ!」
「よし、それじゃあ行こうか」
俺たちは手を繋ぎないで、家を出た。
今日はダンジョンに行かずに、サリナと二人でデートに行くことになっている。今でも、二人でデートに行くと緊張してしまう。
緊張はするけど、サリナと一緒にいると安心感も感じる。
今日はデートではあるが、特にどこに行くとか計画はしていない。
サリナがノープランデートも面白いかもと言っていたので、今日はノープランでデートに出かけることにしたのだ。
俺としては計画してから行くデートも、計画しないで行くデートもどっちも楽しいし、幸せな気分になれるから良いんだけどな。
『あ、ユウサリちゃんねるの二人じゃない? 凄い! 初めて見たかも! でも、デートっぽいから話しかけない方がいいよね』
『そうだね。私たちは遠くから眺めているだけでいいんだよ。あの二人を見てると尊さで心が浄化されるから私たちは近づく必要はないんだよ』
『たしかに尊い……』
今の俺たちは有難いことにダンジョン配信者として結構知名度がある。でも、俺たちのことを知ってくれている人たちは俺たちのプライベートを邪魔しないように配慮をしてくれていることが多いのでとても助かっている。
だけど、たまに「尊い」という言葉が良く聞こえてくるんだよなぁ。
ダンジョンに潜って配信しているときもコメント欄でよく「尊い」というコメントを目にすることがある。
まあ、俺たちのことを良く思ってくれているのなら何でもいいか。
とりあえず今日はサリナとのデートを楽しもう。
「サリナはどこ行きたい?」
「うーん、今二つの選択肢で悩んでるんだよね」
「お? どこ?」
「えっとね、動物園と水族館! 私決められないから、ユウくんが選んで!」
「俺が選んじゃっていいの?」
「うんっ! デートなんだから二人で決めなきゃ。それに、ユウくんも動物園と水族館に行くの好きだよね?」
「ああ、好きだよ。でも、たしかにこの二つだと結構悩むなぁ。うーん、よし決めた! 水族館にしよう。今日のサリナの服装も水族館の方が似合う気がするし」
「オッケー! それじゃあ、レッツゴー!」
今日のサリナは、水色の可愛らしいワンピースを着ていたので、動物園よりも水族館の方が合っているような気がして俺は水族館を選択した。
俺自身、水族館に行くのが結構好きなんだよな。
今日は何の予定も入れていないから時間もたっぷりあるし、水族館の近くには色々な店も揃っているのでお腹が空いてしまってもすぐに食べに行くことができるので便利だ。
行き先も決まったので、俺たちは早速近くにある水族館へと向かった。
歩いて行ける距離にあるので、交通渋滞なども気にする必要がない。
「着いたね」
「おお~久しぶりに水族館に来たけどこんなに広かった?」
「久しぶりに来ると前に来た時よりも広く感じるよね」
「そうなんだよね! わあ~、魚もいっぱいいるし綺麗だ~」
水族館に到着すると、サリナは目をキラキラと輝かせてとても楽しそうにしているようだった。久しぶりの水族館を気に入ってくれたみたいだ。
人が多いので、はぐれないようにこの握った手を離さないようにしないとな。
「やっぱり水族館は人気だな」
「そうみたいだね! ユウくん、私、イルカショーも見たい!」
「服が濡れちゃわない?」
「濡れなさそうな席で見れば大丈夫じゃない?」
「でも、途中から近くで見たいって言って前の席に行きそうだけど」
「たしかに。まあ、その時はユウくんが頑張って私を止めてね」
「がんばるよ」
俺たちはその後、イルカショーや見たことのない魚や自分の何倍もの大きさをしている魚を見たりして水族館を楽しんだ。
水族館を楽しんだ後は、二人で食事を食べてから帰宅した。
帰宅した時、サリナは満足そうな表情をしていたので、水族館に行って良かったと思った。
「楽しかった~」
「サリナが楽しんでくれたみたいで良かったよ」
「ユウくんも楽しかった?」
「ああ、もちろん。サリナと二人で行けて良かったよ」
「また、一緒に行こうね!」
「そうだな」
帰宅した俺たちはソファで寛いでいると、突然インターホンが鳴った。
何か宅配を頼んだりしてたっけ?
今日何かが届く予定はなかったはずだけどなぁ。
俺は不思議に思いながらもドアを開けた。
すると、そこには予想していなかった人物が立っていたのだ。
「お久しぶりです」
俺たちを訪ねてきたのは、リックだった。
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