第33話 アメリカ到着
「アメリカだぁああああああ!」
ニューヨークに到着し、荷物などを受け取ったりし終わった後空港のを出てサリナはそう言い放った。
目をキラキラと輝かせている。
長時間フライトの疲れもあるはずなのだが、それ以上に初めてのアメリカということもあり気分が上がっているのだろう。
そんなことを考えている俺も初めてのアメリカに気分が上がっている。疲れを忘れてしまうほどに。
「建物がどれも高いな」
「映画とかで見るような風景だよね」
「それじゃあホテルに行って部屋に荷物を置いてから色々見に行こうか」
「うんっ!」
俺たちはタクシー乗り場でタクシーを待った。
多くの人がタクシーを待っており、タクシーに乗るまでにはまだ少し時間が掛かりそうだった。
三十分ほどでタクシーに乗ることができ、すぐに予約しているホテルへと向かった。
「観光も楽しみだけど、ホテルも楽しみなんだよなぁ」
「わかる! 私もホテル楽しみ! ホテルの予約はユウくんがしてくれたと思うけど、どんなホテルにしたの?」
「それは、着いてからのお楽しみってことで」
「そっか、楽しみにしておくね」
「ああ、期待していて」
こんなにハードルを上げているが、俺はサリナに喜んでもらえる自信がある。
それほど良いホテルを予約したのだ。
ホテルに近づくにつれてサリナが「もしかしてあれ? あれだよね!?」と、興奮気味に聞いてくるが俺は笑顔を浮かべるだけであえて答えない。
ホテルに着くと、俺は運転手に代金を支払ってから荷物を持って降りた。
「やっぱりこのホテルじゃん!」
「そうだよ。さっきは答えない方がいいかなと思って黙ってたけどここだよ」
「ユウくん凄いとこ予約したね!」
「結構頑張ったよ」
サリナが驚くのも無理はない。
このホテルはニューヨークの中でもかなり有名なホテルなのだから。まあ、その分宿泊代金はかなりかかるのだけど。
最近はダンジョンでかなり収入を得ていたので奮発してみた。
サリナが子供のように嬉しそうにはしゃいでいるのを見ると頑張ってここのホテルを予約してよかったと思った。
「結構高かったんじゃない?」
「お金のことは気にしないでいいからチェックインしてこよう」
やはりサリナも宿泊代金について気になるみたいだが、これを知ってしまうとサリナが申し訳なく思ってしまうかもしれないので俺はお金のことは気にしないように言った。
お金のことは気にせずに思いっ切り楽しんでもらいたいからな。
俺たちはホテルのチェックインを済ませると、部屋の鍵をもらったのでそのまま部屋へと向かう。
鍵がカードキーだったのでサリナは興味を持っているようだった。
「最近のホテルはカードキーの場所が多いのかな?」
「どうだろう。あまりホテルに行くことないからわからないな」
部屋に着くと、一つの大きなベッドがあった。
それに、部屋は広く、壁などもオシャレなデザインをしている。
「ひろ~い! ベッドもふかふかだ~」
「喜んでくれて良かったよ」
「ユウくんこんな凄いとこを用意してくれてありがとう」
「俺は予約しただけだよ」
サリナがホテルを気に入ってくれたところで、俺たちは荷物を置いて部屋を出る。
観光に行くためだ。
「サリナ、鍵は忘れずに持っててね」
「わかった!」
「この部屋、オートロックだから部屋の中に鍵を忘れちゃうと面倒なことになっちゃうからね」
俺たちは特にどの観光地に行きたいというのはなく、ただニューヨークを楽しめればいいと思ったのでとりあえず近くを散歩することにした。
これも観光の一つにはなるだろう。
それにしても、アメリカの人はみんな身長が高いな。
外では色々な音楽が鳴り響いている。
屋外コンサートを聴いているような気分になれて凄く心地が良い。
「見たことないようなお店とかがたくさん並んでるよ!」
「本当だ。入ってみる?」
「うん!」
カラフルな色の店がいくつも並んでいて、サリナが興味を持ってくれたようだったのでその店に入ってみることにした。
店にはすでに多くの客が入っているようで、この店の人気具合がうかがえる。
店の中はとても甘い香りがした。
この店はアメリカで有名なお菓子の店らしく、色々な種類のお菓子やケーキなどが売られていた。
「どれも日本では見たことのないものばかりだな」
「だよね。それにとても良い匂い」
「何個か買おう」
「そうだね。でも、こんなに多いと悩むなぁ」
「時間はたっぷりあるからゆっくり選んで」
サリナは本当に楽しそうだな。
一緒に旅行に行くことができて本当に良かった。
サリナの笑顔をみているとこっちまで自然と笑顔になる。
「俺も何個か選ぶか」
この店で売られているお菓子に偏りがなく、どんな人でも必ず好みの味が見つかりそうだ。
メジャーな味のお菓子からあまり見かけない味のお菓子まで様々だ。
俺とサリナはそれぞれ気になったお菓子を選んで、レジまで持っていき、購入した。
「ユウくんの選んだお菓子も美味しそうだね」
「一口もらう?」
「いいの?」
「もちろんだよ」
「ありがとっ」
サリナに俺の選んだお菓子を一口あげると「うんまぁ」と幸せそうな笑顔を見せてくれた。
「私のも食べていいよ」
「お、本当に?」
「うんっ!」
俺もサリナの選んだお菓子を一口食べると、甘さが口いっぱいに広がっていき俺もサリナのように幸せそうな笑顔を浮かべた。
俺たちはその後もお菓子を食べながら色々な場所を見てまわった。
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