第32話 どこに行く?
俺とサリナはパソコンの電源をつけて、色々な場所を検索する。
やっぱり行くなら国内じゃなくて海外が良いよなぁ。
「サリナは国内か海外、どっちに行きたい?」
「う~ん、日本国内でも良いと思うんだけど、海外は全然行ったことがないから海外が良いかも」
「やっぱりそうだよな。俺も行くなら海外が良いと思うんだよね」
俺たちはその後も色んな国の観光名所や人気な料理などを調べたりして行き先を考えていた。
行き場所はサリナの好きな国とかにしたいな。
俺自身、サリナの好きな物や好きな場所とか知りたいし。
「行き場所はサリナが決めていいからね」
「いいの……?」
「ああ、俺もサリナの好きな場所とか知りたい」
「そっか、それなら私、アメリカに行ってみたい!」
「お、いいな。どの州?」
「やっぱニューヨークでしょ!」
「それじゃあ、早速航空チケットを購入しようか」
俺たちの旅行先はアメリカのニューヨーク州に決定した。
行き先を決めるために使っていたパソコンでそのまま航空チケットの購入まで済ませた。
直前のチケット購入なので、少し高かったがサリナと旅行を楽しめるのなら何の問題もないだろう。確実に値段以上の価値があるからな。
チケットの購入を済ませた俺たちはすぐに旅行の準備に取り掛かった。
「楽しみだねっ」
「そうだな。アメリカに行ったことがないから結構ワクワクしてる」
「私もだよ。それに、ユウくんと一緒に行けるからさらにワクワクだよ!」
「そう言われると少し照れるな」
「照れてるユウくんもかわいいよ」
「かわいいよりかっこいいの方が嬉しいんだけどなぁ」
「かわいいしかっこいい!」
「それなら、まあ、いいかな」
サリナは可愛らしい笑顔を俺に向ける。
思わずドキッとしてしまう。元から可愛いのに笑顔を見せるとさらに可愛く見える。
俺たちは談笑しながら、アメリカ旅行の荷造りを進めていった。
「一週間の滞在でいいよね?」
「うんっ!」
俺たちの旅行は一週間ほどということになり、俺たちは一週間分の衣服などをキャリーバッグに入れた。
荷造りを終えても俺たちはずっと心が躍ったままで、ずっとニューヨークの名物などをパソコンで調べて、動画などを鑑賞していた。
*****
翌日の早朝、俺とサリナは荷物を持って家を出る。
「忘れ物はない?」
「うん、大丈夫!」
「それじゃ、行こうか」
「うん!」
タクシーに乗って空港へと向かった。
「早朝は少し冷えるね」
「そうだな。それなら手握ろうか? 俺の体温高めだし」
「うん、そうするね」
サリナは頬を赤らめながら俺の手を嬉しそうに握っていた。
自分から手を握ろうかとは言ったものの、まだこういう事に慣れていないので実査に手を繋ぐと緊張してしまう。
だけど、とても幸せな気分になる。
手を繋ぎながら話しているうちにタクシーは空港に到着した。
代金を支払い、タクシーから降り、運転手がキャリーバックを渡してくれたのだがその時に笑顔で俺の肩をポンと軽く叩いた。
「兄ちゃんたち仲良いねぇ。カップルなのかい?」
「え、まあ、はい」
「いいねぇ。旅行楽しんできなさいね」
「はい、ありがとうございます」
仲良い……か。
他の人からみても仲良く見えるんだな。良かった。
俺は運転手に言われた言葉がとても嬉しかった。
サリナは運転手と俺が何を話していたのか聞こえていなかったようで不思議そうな表情で俺の顔を覗き込んでいる。
「何を話してたの?」
「いや、運転手の人が仲良いねってさ」
「そっかぁ、やっぱり私たちラブラブに見えるんだぁ」
「ラブラブ……ッ!?」
「違うの?」
「い、いや、違わない」
「だよねっ! それじゃ、行こっ!」
俺と運転手が話していた内容を知ったサリナはより一層上機嫌になったような気がする。
まあ、俺も同じ気分なんだけど。
俺たちは空港に入ると、すぐに空港カウンターへ向かい、チェックインを行う。
その後、手荷物カウンターへと足を運び、荷物を預けた。
あとは保安検査場を通って搭乗ゲートに行くだけだが、まだ時間に余裕がある。
「早めについちゃったから結構時間が余ったな」
「そうだね。まあ、時間になるまでまったり過ごすのもありじゃない?」
「たしかにそうだな。とりあえず、朝食だけでも食べに行かない?」
「うん、そうしよ」
俺たちは空港内のフードコートで朝食を食べて、窓から見える飛んでいく飛行機を眺めながら談笑しているうちにいつの間にか時間は過ぎていき、搭乗時間が近づいていた。
「さあ、行こう」
「うん!」
保安検査場を通り、搭乗ゲートに行き、搭乗開始のアナウンスがされると俺たちは飛行機に乗った。
飛行機に乗るとドキドキしてしまう。今まで飛行機に乗る機会が少なかったからだと思う。
隣に座るサリナも飛行機の窓から外を眺めながら目をキラキラと輝かせていた。
「いよいよだね!」
「そうだな。でも、ここからは長時間のフライトになるから眠くなったら眠っていいからな」
「うん、ありがとう。ドキドキとワクワクで眠れなさそうだけどね」
「たしかに俺も楽しみ過ぎて眠れないかも」
俺たちが搭乗してから二十分もすると、飛行機はアメリカに向けて飛び立った。
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