第六章:そして伝説へ

6-1:高みの見物


 既にみんなにはレアアイテムの詰め合わせセットを沢山配り終わっている。

 後はそれを使ってもらってこのボスモンスターにどれダメージを与えられるかを見極めたい。



「取りあえず氷の剣とか炎の剣とかの相反するレアアイテムも放り込んでおいたから、属性で何が効くかは見極められるわね。後はどれだけ相手のHPが有るかだけど……」


 あたしがばらまいたアイテムボックスを開いて驚いている皆さんだけど、流石にそこは理解が速い。

 早速装備したり回復したりですぐに戦闘態勢を整える。


 なのであたしはしばらく見学させてもらいましょう。



「さて、実際これで何処まで行けるか」


 あたしはそう言いながら自分もアイテムボックスの整理を始める。

 正直な所、ナビさんがいないのはつらい。

 アイテムボックスの管理を自分でしなきゃならないからだ。

 

 以前なら何が欲しいとか言えばナビさんがすぐに引っ張り出してくれた。

 それに整理整頓しなくてもナビさんが勝手にしてくれたから何時でもすぐにでもアイテムが使えた。

 それが自分でやるとこれがまた面倒この上ない。


 ほんと、一家に一人欲しい嫁のナビさんだよ。



「と、始まったか」


 見ればプレーヤーの冒険者たちが一斉にボスモンスターに襲いかかっている。

 先程のセオリー通りまずは片足を集中的に攻撃をしている。

 戦士が、騎士が、おおよそ肉弾戦に特化した冒険者たちがあたしが錬成したレアアイテムを装備してどんどんと攻撃を仕掛けている。


「さてどうかな?」


 それはかなり壮絶な戦いだった。

 足元を攻撃されているボスモンスターはたまに指で冒険者を弾くけど、その一発一発がもの凄く痛い。

 弾かれた者の近くにはすぐに他の冒険者が行って回復魔法やポーションで回復させてまたすぐに戦線に復帰する。

 

 これが最後とみんな出し惜しみなしでどんどんとよってたかってあのボスモンスターに攻撃をかますけど、全然堪えた様子が無い。

 あれ本当にダメージ言ってるのだろうか?


 よ~っく見ると攻撃が当たった瞬間ダメージ数が表示されているから、ダメージ自体は与えている様だ。


 そう言えば今までダメージ表示なんて気にしなかったけど、その数値が軒並み千を越える結構デカい攻撃だと言うのに。 

 普通のモンスターなら場合によっては一発で倒せる。


「流石あたしが作ったレアアイテム武器。とは言え、あれだけ盛大にダメージ与えてるってのに効いてる様子が無いとは……」


 これって「ジャッジメント」や「異界の門」喰らわしてもあんまりダメージ与えられないんじゃないだろうか?

 いや、そもそもエラーの塊であるあのボスモンスターにHPの上限があるのだろうか?



「いや、流石にそれは無いとは思いたいけど……」


 しかし考えてみればこのゲームの開発者も知らないようなキャラクターだし、ハッキングか何かの可能背もちらっと行っていたような……


 うーん……

 


 あー、めんどいなぁ。


 お腹すいたしそろそろ落ちないとリアルのあたしがやばい。

 多分連続ログインで結構時間が過ぎてるから、本体もやばい事になっているよね?


 そ、それにおしっこもしたくなってきたしこのままじゃあたしのベッドが大惨事になっちゃう。


 多分少なくても一回は二日目も大丈夫さんに私の尊厳を守ってもらっているはず。

 二回目は流石に今の装備では心配なんてもんじゃない。


 なんかみんなでちまちまと戦っているけど、硬ったいなぁ~。

 レベルが違い過ぎるのかな?

 やはりみんなの攻撃が全然効いてないよね?


 

 いい加減待ってるの馬鹿らしいし、良い所を横取りになってもどうせあたしはソロだし緊急事態も近いから良いかな?



 んじゃ!



「スキル全開! 特別スキル覇王、深淵なる者、天空の加護発動!」



 これで倒せなかったら逃げよう。

 おしっこヤバいけど他のログアウト方法探そう。




 あたしは立ち上がり、みんなが攻撃を与えているボスモンスターに立ち向かうのだった。


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