第3話 作家は実体験しか書けない・・けど?


 更新が一日空いてしまった。テーマが固定されている分出まかせで書けないのが難点である。マジで文字小さくて書きにくい。コピペが面倒くさくて直接カクヨムで書いてるんですが、文字大きくする設定書く時もできませんか!誰かー!



 「作家は実体験しか書けない」という文言がある。確かにその通りだ。


 私も公募のテーマを受け取って、あれこれ考えた挙句、己の体験と掛け合わせて書き始める。しかしこの場合、私は頓挫してしまうことが多い。なぜなら、自分の辛い経験を掘り起こしているからだ。

 たとえば私はよく、中学生の話を書く。自然に思いつく主人公設定が中学生だからだ。これはおそらく、私の心の一部がまだ中学生時代に置き去りになっているからだろう。つまりは精神年齢が中学生と大して変わらないのだ。だから主人公は中学生だし、主人公が過ごす時間の大半は中学校にある。教室のガヤガヤや同級生の台詞を書かないわけにはいかない。


 私が一番過酷な生活を強いられていたのは中学生時代だ。周囲の人間は竹のようにどんどん大人になっていくのに私は永遠に地の中のたけのこ、幼馴染は不登校になるし、嫌いな人間と折り合いがつけられず、教室にいるだけで吐き気がこみ上げるほどストレスに苛まれていた。そんな中学生時代の実体験は、小説にしたら人を「おっ」と言わせるものにきっとなりえるだろう。

 しかし、辛い記憶を掘り起こして丁寧に文章に仕上げていくのは続かない。鋼の錬金術師の、人体錬成した母親の身体を掘り返すエドを思い出してほしい。あんな感じになります。


 またある時、私は主人公の名前を「うすのろ」と設定してうすのろの人生を書いていた。なかなか筆が乗ってころころ笑って調子よく書いていたのに、段々機嫌が悪くなっている自分に気がついた。なぜなら他でもなく私自身も「うすのろ」だからだ。

 忘れもしない、小学5年生の時。雨が降る中、母が運転する車の後部座席で私は意を決して「私ってとろいのかな?」と相談した。すると母は雨音がかき消えるほど大声で笑いながら「今気づいたの?おもしろい~」と言いやがったのだ。そう、私はうすのろなのである。

 小説を書く中でうすのろが何かするたびに「うすのろは~」と打ち込む。たとえ自分でも連呼されたらムカついてくる。しまいには落ち込む。落ち込みながら物語を書く集中力は得られない。


 辛い記憶を掘り起こさず、良い経験だけ小説に活かせばいいのだろうか。それか、辛い記憶も大人になって風化すれば書けるようになるかもしれない。だとすると、30代で中学生が主人公の小説を書きまくる向井みのが未来に現れることになる。別にまあ・・悪くない?よね・・。


 良い記憶、良い経験というとなんだろう?


 田んぼ道の下り坂を自転車でワーッと下った記憶。姉と食器を洗ったり拭いたりしながら銀魂のオープニングソングを合唱した記憶。うーん、書き出してみるとどれも他愛ない。人をほっこりさせるには足りるだろうけど「おっ」と目を引くものにはならないだろう。良い記憶は小説にしても面白くなさそう。じゃあやっぱり吐きながら辛い記憶を掘り起こして、歯を食いしばって書き上げるしかないんだ。


 ところで昨日うんこを漏らしたんですけど、この経験って小説になりますか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る