第1話 魔女学園(1)
マーヤの自己紹介と母のラーファと分かれて魔女学園に残った理由です。
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マーヤにはマーヤニラエル・イスラーファ・エルルゥフと言う名前があります。
親しい人は「マーヤ」と呼びます、名前を知らない人には「魔女候補」と呼ばれます。
魔女はオウミ国ではお医者様の事を指す名前です。
魔女は個人の名前は名乗りません、名前は「魔女」で通します。
魔女が名前を言わないのは、名前を知られると呪われるからだと言われています。
マーヤはそれが迷信だと知っています、でも何故魔女が名を隠すのははっきりとは知りません。
大魔女のおばば様は昔魔女が裁判官と刑の執行をしていた頃、刑の執行をした事で恨まれて仕返しをされる事を防ぐために名を名乗ら無くなった、と言っています。
マーヤは今でも裁判官と刑の執行役を行う事がある事を知っています。
でも、それより影の組織で働く事があるからだと思っています。
魔女の使役する使い魔は、諜報活動に使うと便利です。
魔力を感じられない人は使い魔に気が付かないので、相手に知られずに見聞きし放題です。
こんな便利な魔女を影の組織が使いたいと思っても、魔女はお医者様なので誰もが知っています。
それで、姿を隠すようなロープにフード姿をして、名前を隠すのだと思います。
おばば様にマーヤの考えた名前を隠す理由を得意になって説明した。
「ふん、甘ちゃんじゃの、今見えているだけで考えるから薄っぺらい考えしか出来んのじゃ」
カチン、と来たので「おばばも、昔の仕事の名残みたいなことを言ったじゃない」と言い返したら。
「おばばの方が歴史的な広がりをしているだけマシじゃよ」
「オウミ国だけで無く昔西にあったラサカ国や南のモルバ族やヤーシ族の住む地域一帯で魔女は生まれたのじゃ」
「そこまで広く古くから存在しとるのに、影働きをする者がいるだけで名前を隠すなど理由になっとらんわ」
グーの音も出ないとはこの事です。
「グヌヌッ」と何か良い考えが出てこないか気張りますが、付け焼刃な考えなど出てきません。
悔し涙は出ましたけど、苦いです。
悔しいけど、おばばの言う事はより深く物事をとらえているので言い返せません。
こうやって思い知らされる事はマーヤにとって良い事だと母のラーファは言います。
マーヤは頭でっかちで、知識は豊富だけど経験に乏しいのだそうです。
魔女学園に通い始めて1年、色々楽しい事や悲しい事、嬉しい経験や苦い経験をしましたが、学ぶってとっても楽しい。
魔女の資格も得ましたが、知識と技能はあっても経験は足りていないと強く思っています。
マーヤがラーファと分かれて、魔女学園に残る事を決めたのはそうした理由からです。
おばば様が魔女を増やそうと魔力持ちの少女を育てているのが、魔女学園です。
勿論魔女に育てるのですから、名前は公表されません。
学ぶのは魔女になるための知識と技能と経験ですから、医学はもちろんの事読み書き計算に歴史や社会の仕組みまで学びます。
他にも護身術や飛竜に乗って空を飛ぶ事まであります。
マーヤは5月に7才になった、魔女学園の初等科2年生です。
初等科の生徒が魔女の認定をもらうまでは、まだ10年以上の学びが必要です。
魔女学園の初等科を「魔女見習い候補」と呼んでいます、略して「魔女候補」です。
魔女学園の初等科の生徒を魔女っ子と呼ぶ人も多いです。
初等科は魔女になれるか見極める最中だと言う事です。
魔女学園には高等科もあります。
高等科になると「魔女見習い」と呼ばれます。
本格的な魔女の修業が始まるのだそうです。
「魔女見習い」から大人とみなされます、結婚している人もいます。
マーヤは特別に飛び級で魔女の認定は貰いましたが、魔女学園の初等科で主に護身術を習っています。
高等科の実習に出て経験を積む事もしています。
魔女の治療のお手伝いもしています。
飛竜とかかわれる時間は、マーヤの一番好きな時間です。
飛竜達はマーヤの子分です。
8年前に卵から孵った時から、マーヤは飛竜たちのリーダーでした。
ハイハイもよちよち歩きも飛竜の子達と一緒に巣の中で育ちました。
魔女学園には飛竜舎と飛行場があります、竜騎士学園の飛竜舎と飛行場より先に出来ました。
今は飛竜舎に飛竜のラスとチャがいて、魔女学園の竜騎士訓練で活躍しています。
今月中にも竜騎士学園の飛竜舎で育てられている、ワイバーンの子、オスのジトとメスのヴィーが移ってきます。
巣立ちの時期を迎え、子竜達が巣立ったので群れ分けするのです。
此の子竜達の子育てを指導しているのはマーヤです。
今は回数も少なくなりましたが、竜騎士学園の飛竜舎に何日も通い領兵竜騎士科の学生に指導しました。
元々、今空を飛んでいる飛竜達はマーヤをリーダーにして一つの群れとして育ったのです。
それに、ラーファに頼まれて秘密裏にワイバーンの卵を作り、魔石持ちに変えたのもマーヤです。
マーヤは言わば、育ての親、生みの親と言って良いのです。
自慢に聞こるかもしれませんが、マーヤは知識が豊富で知能も高いです。
これは、生まれた時神様の尻尾を掴んでちぎり取ってしまい、神様の知識がマーヤに取り込まれたからです。
マーヤがコツコツと積み重ねて得た知識ではありません。
ですから、自慢できるような事では無いのです。
マーヤは赤ん坊の時から念話で母親のラーファと会話が出来ました。
神様の知識は別の世界の知識ですが、たくさんの知恵と知識を持っています。
マーヤは魔女です、大魔女のおばば様が画期的な魔女の薬を作った功績で認定してくれました。
神様の知識と知恵のおかげで作れた薬です。
マーヤはもっと経験を積めば此の薬も更に、誰もが安心して使え、作りやすく、使い勝手の良い物に出来ると思っています。
マーヤは魔女学園が面白くてたまりません。
同い年の友達がたくさんいます。
毎日新しい発見があります。
花だって毎日見ていると少しづつ変化しています、石ころだって同じものは二つとありません。
時には失敗して叱られたりしますが、発見に満ちた毎日には代えられません。
マーヤは今の生活を
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マーヤは生まれた時、生きるため神様の尻尾を掴んで神様を引き寄せました。その時尻尾を引きちぎってしまいマーヤに神様の一部が入ってしまいました。そのため神様の世界の知識を得ています。
マーヤの朝は神域の中の家から始まります、次話はそのあたりの日常の風景になります。
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