第2話 冒険者ギルド
最初の町「ゼウス」に着いた俺達、兄妹はさっそく冒険者ギルドなるものに行く子とにした。
そこでは日夜、魔王が配置したモンスターを狩る職業の者達が集っているのだとか。
猟友会みたいなもんだろうか?
「モンスター配置してんのお前?」
「知らなーい」
「いや魔王」
「知らなーいったら知らなーい」
冒険者ギルドは立派な建物だった。
流石、国営。
税金がたっぷり使われてるのだろうと思うと、なんだか……なんがか……申し訳なく……。
いざその内部へ入る。
石と木で造られた酒場兼役場。
みたいな印象の場所だった。
ていうか飲酒していいんだ……。
さっそく受付に向かう。
「あのー冒険者登録したいんですけど」
「はーい……えーと人間と、あれその角、魔族の方ですか?」
やばい、マズかったか!?
「いかにも我が名はハデス・イン・ザ・ギャもごもご」
「え?」
「なんでもないっすー! 魔族だと何か問題でも!?」
「えっと、いえ、最近は魔王から離反する魔族も増えてきてますし、そう珍しいことではありません。むしろ歓迎しています」
よかった、とりあえず、受け入れられた。
まず魔力測定器とやらでステータスを測る。
俺は全ステータスB級の平凡冒険者だった。
一方、妹は。
「全ステータスSSS級!? こんなの見た事ありません!」
ふんぞり返っていた。
「むふー、どうよお兄ちゃん」
「はいはいスゲースゲー」
こうして登録を終えると(ちなみに登録料がかかるらしいのだが後払いでもいいらしい、流石、国営)ギルドの掲示板に目をやった。
するとそこには。
「賢狼ルガルの行方知れず」
とデカデカと掲示されていた。
そこに描かれていたのはまさしく我が妹が消し飛ばした巨大な狼の姿。
「……けん、ろう?」
「そだね」
「いや、お前何してくれちゃってんの、あれこれつまり守り神的なもん消し飛ばしちゃってんじゃんかよ!?」
「そだね」
思い切り、頭を殴ったが、攻撃力<防御力なので痛いのはこっちだった。
「ま、いいじゃーん、毒にも薬にもならぬよあんな狼一匹」
「なんだその口調」
するとえらく物騒な視線を向けられた。
「おいそこのお前、今、賢狼様を馬鹿にしたか」
そこにいたのは白銀の獣人。狼の耳を頭から生やした人型。
明らかに関係者っぽかった。
「だから毒にも薬にもならぬと言った」
「おいー! おいー!! すいませんねー!! うちの愚妹がねー!!」
「誰が愚妹だぁゴラァ!」
「妹……? 人間、その魔族がお前の妹だと申すのか?」
獣人からのシンプルな疑問、確かに傍から見たら別種族なのか。
だけど――
「はい、妹です」
これだけはハッキリしていた。
その答えを聞くと獣人は。
「我が名はレギオン。覚えておけ、いつかまた会う」
「う、うっす」
「ふん」
こうしてレギオンと別れたのち、ギルドを出た。
「はぁ~~~緊張した~~~」
「さてお兄ちゃん、この紙を見たまえよ」
「あん?」
そこには『S級任務! クリムゾンドラゴンの群れを狩れ! 場所、ゼウス近郊』の文字。
「今からやれと」
「ほら、あそこら辺、なんか飛んでるの分かる?」
「あれか、鳥じゃなくてドラゴンだと」
「そう、それを
片手をかざすだけでその群れは消し飛んだ。
「こうしてクエスト達成、報酬も入るし、ギルド登録料も払える万々歳だね」
「なあ、その魔法だけどさ、経験値? とか入るわけ?」
「入らないよ?」
……ただ対象を消し飛ばし、楽をするためだけの魔法。
これが勇者の所業であっていいものか。
いいや断じてよくない。
ので。
「これからオーバー・ザ・リライト禁止!!」
「えー!?」
当たり前だった。
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