第10話 デカマーラ父さん

「俺の童貞とお前の処女の交換だと?貴様は等価交換という言葉を知っているか?」

「激エロポイント450万の私の処女と激エロポイント300万の雑魚のあなたの童貞じゃ釣り合いませんよね。勿論私の方が価値が高いのです」


俺もエローナもいっさい引くことを知らない激エロ口論が続く。


かと思われたが。ジュワァァァァァァァァ。


聞きなれない音が下から聞こえて俺は視線を下ろした。

するとそこには


「なっ、競パンとズボンが溶けてる……」

「あなたの剣は私の鞘に収まりたいようですね」


ビクッビクッ!

と俺の剣は脈打っている。


「お見せしましょう。激エロ聖女の力を」


そう言ってエローナは服を脱ぎ始めた。


シュルっ。

シュルルっ。


俺のマグナムはテカテカしながらその様子を見ていた。


「ダメだ!だめだ!」


俺は頭を横に振っておかしくなりそうになりながらも、お母さんに貰った競パンを取りだして、履いた。


すると猛りは収まった。


しかし、パリーーーーン。


俺の競パンは砕け散った。


俺の目の前で。


『この競パンは一度しか効果がありません』


その言葉を思い出す。


「……」


エローナを見ると勝ち誇ったような顔。


「だから言ったでしょう。あなたでは私に勝てないと」


そう言って服を着始めるエローナ。

それから俺の横を通って部屋を出ていこうとする。


「明日もまた来ますよ。今日はここまでにしておきましょう」


そう言って部屋を出ていく。

俺はその場でうずくまって床を叩いた。


「くそっ!くそ!頭がどうにかなりそうだ!」


ってか既にもうどうにかなってるけど。


そのとき。


「ベニちゃん!ベニちゃん!」


お母さんが部屋に入ってきた。


「よく耐えたわね。あの魔性の処女ビッチの誘惑を!」

「お母さん……俺競パン失っちゃった……」

「いいのよ!競パンはまた作ればいいだけだから!」


俺は小学生みたいな体型をしたお母さんに泣きついて今日この日の夜を明かしたのだ。


次の日。朝から俺は素振りをしていた。


庭に置いた父さんの遺影の前で。


「ふっ!」

「はっ!」


正拳突き。


「父さん……」


そう呟いた時


ザッザッザッ。


(きやがったな、あのクソびっち)


振り向くとそこには聖女エローナが立っていた。


「あー、やはり素晴らしい。あなたの激エロフェロモンは。胸が高鳴ります」


そう言いながらバサァっ!

と下着になった。


その下着姿を見てメイドたちは気絶した。


「私の激エロ下着に脳がやられたようですね。これだから激エロポイントの低い庶民は」

「どうやらそのようだな」


バサァっ!

俺も下着だけになった。


「まぁ、今日もクサいですわね」


俺は結構あれな方だ。

だからこいつ対策に今日は今朝一発抜いておいた。


「俺の激エロ下着も見ておけ」


俺も最初に比べて随分この世界に染まってしまったよな。


もう、分からないことなんてない。


「今から激エロバトルを開始しようと思うが、ルールはどうする?」


そう聞くとエローナが答えた。


「激エロ検定で使われる、アクーメ対決でいきましょう」

「はっ。アクーメ対決か」


それなら分かる。


アクーメ対決とは対戦相手を先に絶頂させた奴が勝つバトル方式。


そして、敗者は勝者の奴隷になる。

これに負けたら俺はエローナにレイ〇されてしまうだろう。


そうなれば俺は童貞レベルが足りなくなり魔剣継承で命を落とす可能性がある。


そこにナーニャがやってきた。


「審判は私が行う。いいな?」


なんでお前がいるんだよって思うけどバカゲー世界でいちいち突っ込んでられねぇ!


たぶん学校を休んでた俺の様子を見に来たんだろうけど。


「えぇ、いいですわよ。審判。くれぐれも私の悩殺激エロポーズで倒れない事ね」

「甘く見られては困る。私だって激エロ冒険者の端くれだぞ」


なぜか今日のナーニャはビキニアーマーで来てた。


「聖女殿。私の激エロ冒険者姿を見て倒れないようにお気をつけを」

「私と激エロバトルがしたいのですか?それはベニスさんとのバトルが終わってからですね」


ニヤッ。

この女笑ってやがる。


「さぁ、何処からでも来てくださいよ」


俺は競パンを脱いで構えた。


シュッ。


ピュン!


シャッ!


「まずは威嚇射撃だ」


俺の射撃は聖女エローナの頬の横を通った。


「その程度ですか?」


ヒュン!


エローナが消えた!


(なんて速さだ!目で追えん!)


「後ろです」

「しまっ……!」


ガッ!


俺の聖剣を掴まれた。


「動くと、危険ですよ……?」

「くっ!卑怯な……」

「激エロバトルに卑怯もなにもありませんよ……しかもレギュレーションはアクーメ対決。なんでもありなんですよ」


シュッ。


「おごぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


その場でしゃがみ込んだ。


亀のようにうずくまった俺の耳元で囁いてくるエローナ。


「ふふふ……もう諦めたらどうですか?」


おのれ……こいつは魔性の女だ。


俺の頭の中に陰が落ちた。

このまま俺はこいつに蹂躙されるだけなのだろうか……そして負けて……俺は魔剣に飲まれて……


「イヤだ……」


そのとき頭の中に声が聞こえてきた。


『おいおい、立ち上がれよニンゲン。このメチャイカセ隊隊長のイッカーセを倒したんだろうがお前はよ!ほら立ち上がってチ〇コを立てな!』


これは……イッカーセの声!


そうだ……俺は。


ヨロッ。


気合いを入れて立ち上がった。


「なっ……なぜ、立ち上がれるのですか……」

「友が支えてくれたからだ!俺の聖剣から手を離せ!」


バッ!

飛び下がって俺はエローナとの睨み合いを続けるが、危ない。

今ので俺の噴火ゲージは残り一割を切った。


さすが魔性の女。

次触れれば俺の聖剣は抜かれるだろう。


つまり


(次の一撃にかけるしかない)


エローナの隙を伺う。


そして気付いたことがある。

彼女は俺の激エロフェロモンに夢中ということ。

それはつまり俺自身を見ていないのだ。


見てみろ。

今だって俺の聖剣に目がいってるじゃないか。


つまり、付け入る瞬間はそこにある!


シュッ……。

俺はフェイントで手を聖剣に持っていこうとした。

そのとき、ヒュン!


また消えた!

でも、移動場所は分かる。


ダッ!

俺はサイドステップして


「そこだ!」


エローナが伸ばしてきた手を掴んだ。


それは俺の聖剣に伸びるはずだった手。


「わ、私の動きが……読まれた?」

「ここからは俺の出番だぜ」


ワキワキワキワキ。

俺の手が出番はまだかと、動いてる。


そこで俺は


ガポッ!

二チュッ!


「づぅ……こ、これが……初めての痛み……」


エローナの鞘に指を入れた。


「言い忘れていたな、エローナ」

「こんなものでアクーメ対決を制した、とでも言うつもりですか?」

「もちろんだ!俺の勝ちだぁぁあぁぁぁあ!!!!!」


喰らえ!ションベーン家に伝わる必殺技!

天国の父さんに捧げる!


【ウレショーン】


ブシャァッ!!!!!


「きゃん!」


エローナが俺の最後の一撃をくらい吹っ飛んで行った。


「はぁ……はぁ……」


俺はナーニャに目をやった。


ピッピー!!!!!

笛を吹いて俺の方に旗を上げる。


「激エロバトルの勝者はベニス・ションベーン!!!!」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


やったぁぁあぁあぁぁぁ!!!!勝ったァァァァァァァァ!!!!!!


そのとき家の中からお母さんが出てきた。


涙を流していた。


「ベニちゃんよく耐えてくれました。お母さんは激エロバトルを勝ち抜いてくれて今、感動しています」

「母さんのおかげだよ」


俺は競パンの話を思い出す。


「昨日競パンがなければ俺はエローナに負けていたことだろう」


すべてはあの競パンから繋がった命。


俺はそのことを忘れない。


そのとき12時の鐘が鳴った。


お母さんが俺を見てきて口を開く。


「では、魔剣継承式を行いましょうか」


母さんはそう言いながら父さんの写真を見て口を開いた。


「デカマーラ父さん、今日私たちの息子のベニスが試練を乗り越えて一人前の男の子になりましたよ」

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