第49話:体とパンツと富士山

色々と見えてはいけない姿の真白から首ごと視線を逸らすと不思議そうな声を出してくる。


「翔君? どうしてそっぽ向いてるの?」


「いやさ、真白。自分の状態を見てくれ……」


「自分の状態……あqwせdrftgyふじこ!」


ぱしゃぱしゃと水音を鳴らした後、脱衣所の扉を開く音がして静まり返る。


(やべぇ……どうしよう)


心臓がバクバクして痛いくらいになっている。


前に下着を見た事あったけどさぁ!


(何で今回は下着付けて無いんだよ!!)


あれか!? 着物の下に何もつけないって奴か!!


「そんな訳無いやろっ!」


右手で思いっ切り頬を叩く。


「あ~、土下座で済むかなぁ……」


この後会うのが凄く気まずい、それに。


「今出て鉢合わせするのも困るな……」


既に下着までびちょびちょだが仕方ない、もう少しして真白が戻ってこないなら諦めて戻るか。


それからぼーっとしていると新しい行衣に着替えた真白が戻って来た。


「あはは……さっきはごめんねぇ~」


「いや、俺こそすまない」


「やっぱり、横着しちゃだめだよね……」


「そ、そうだな! ちゃんと横着せずにやろう!」


「そ! そうだね!!」


そう言って今度はちゃんとトリートメントを洗い流してくれた。


「「…………………………」」


((会話が続かない!!))


どうしよう……いつもどんな会話してたっけ!?


「な、なぁ真白!」


「ひゃひゃい!?」


「な、何でさっきなにも着て無かったんだ?」


(って! ちがああああああああう!!! 何聞いてんの俺!? ねぇ! なに聞いてるの!? 馬鹿なの!?)


「そ、それはね!! 行衣用の肌着ってのがあったんだけど! その……サイズが合わなくて……」


(って! なんでそこで正直に答えちゃうんだよおおおおおおおお!!)


「へっ、へぇ……サイズが……」


「い一応! 絆創膏で隠してたよ!!」


(何爆弾発言してくれちゃってるんですか!!!!)


収拾付かない位に顔が真っ赤なんだけど!! けどぉ!!


「あー良くアニメで見る奴ね!」


(みねぇよおおおおおお!! そんなのエロアニメかエロゲだけだよ!!)


「そうそう、アニメでよくある奴!」


マジか、この子乗っかって来たよ!?


「と、ともかく! 洗い終わったし! そろそろ部屋に戻るよ!!」


「わ、わかった! ちょっと待っててね! タオル取って来る」


そう言うと真白がぺたぺたと音をさせ先に脱衣所に戻った。


それから、Tシャツと短パンに着替えた真白によって髪がタオルで拭き上げられる、と言うか、最初からその格好でやってくれよ。


「そういえば、俺も行衣が濡れてたな……よっと……」


「ひゃああああああ!? 何でいきなり脱ぐの!?」


「え? あぁ、スマン!!」


忘れてた、お風呂という事でナチュラルに脱いでいた。


「とにかく! 着替えたら言って! 外に居るから!!」


「ありがとう、わかった」


そう言うと真白が外へ出て行った。


ちょっと苦戦しつつも右腕で身体を拭く、いつの間にか湯上りに着る、温泉旅館の様な浴衣と下着が置いてあった。


「しかしなんだこの柄……」


富士山と茶摘みと静岡県と名が入ったトランクスだ。


「どこで売って……あぁ、お土産屋か……」


浅草にでも売ってなさそうな珍妙な柄のトランクスを履いて、浴衣を着る。


「終わったよ~」


そう声を掛けると今度は檸檬が入って来た。


「檸檬!? こ、これはだな!!」


「はいはーい、知ってる知ってる。だって真白とバトンタッチしたもん」


「真白と?」


「そうそう、お湯は浴びたけど体洗えてないだろうしって言われたからさ~これ持ってきたの!」


「ボディーシートか……」


「それじゃあ、拭くから脱いだ脱いだ!」


「ちょ!? 帯を取るな! 脱がすな! 羞恥心は無いのか!?」


「こちとら男子の上裸など! 見慣れているわ!」


「やだ、男らしい。って止めてくれ!!」


「ちょ! そのパンツなんなの! 草生えるww!」


「今生やしただろ!! ”ww”って草生やしただろ!!」


浴衣を剝ぎ取られ、あの富士山パンツを見られる、そして笑い転げる檸檬。


「ヒーッ……ヒーッ……あ~笑った……」


いや、俺だって履きたくは無かったけど、替えの下着が無いんだから仕方ないじゃん。


「だからって……富士山と茶摘みww」


「思い出して草生やさないでくれ……」


「藍那のセンスは独特過ぎるよww」


あのトランクス用意したの藍那なのか……。


(藍那はきっと善意で用意してくれたんだろうなぁ、それ故に怒れないわ……)


「ともかく、拭くなら貸してくれ、自分でやる」


ボディーシートを取ろうとすると、檸檬にひょいっと逃げられる。


「ごめん、ごめん! ちゃんとやるから!」


「全く……背中と右腕だけ頼む……」


「はいは~い、任せなさい!」


そう言うと、一枚取って手渡してきた。


(先に左手から……包帯取らなきゃ)


包帯を取ろうと手を伸ばした所で檸檬の手が重なる。


「これ、邪魔でしょ? 取っちゃうね」


「あ、あぁ。頼む」


そうしてスルスルと包帯を取ってくれた後、檸檬はシートを背中に押し付ける。


「ひゃう!」


「あははは! 『ひゃう』だって!」


大笑いしてる檸檬を睨む。


「せめて、当てる時くらい一声かけてくれ、ビックリするだろ……」


「あはは~ごめんねぇ~」


そう言ってまた押し当てて背中を拭いていく。


(さて、今の内に……)


ささっと腋と左手を拭く。その後、新しいシートにして鼠径部やらを拭いて行く。


(よし、これで大丈夫)


「ありがとう、れも……ん?」


振り返ると顔を真っ赤にした檸檬が居た。


「どうした?」


「いや、その……そういう所拭くなら先に言ってくれると……」


その言葉で理解した。うん、見れれたね!。


「ごめんなさい……」


半裸土下座まで、ものの数秒だった。


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