第45話:食べさせ合い。

「あ~、翔さん私の分は?」


雛鳥の様に口を開けて来る藍那。


「自分で食べなよ……」


そう言いながらも口へ入れてあげると、満足そうな顔をする。


「ん~美味しいです~、お返しに……はい、あ~ん」


そのまま半開きの口にスプーンを突っ込まれた。


口の中に爽やかな甘さが広がる。


「やっぱりブルーハワイも良いな……」


しみじみと言っていると藍那が舌を出してきた。


「つふぉみふぁんふぁらひいいたんれふか(蕾さんから聞いたんですが)、しはのひろがふぁふぁるみふぁいふぁんですよ(変わるみたいなんですよ)。ふぉふぉでふか?(どうですか?)」


舌を伸ばしているので聞き取り辛いが何となくわかった。


「舌の色、すごいことになってるよ」


そう言うと、凄く顔をほころばせ喜び始める。


「でも、舌の色が変わるなんて何で知ってたの?」


かき氷初体験の藍那に聞いてみる。


「それはですね~蕾さんが教えてくれました~」


向うで蕾がVサインをしている。


「翔さんはどうですか!?」


「まぁ、食べてるのはレモン味とブルーハワイだから緑色かな?」


舌を出してみるとふむふむと見て来る藍那、よく考えると他人に舌を見せるのってなんか恥ずかしいな。


そんな事を考えてると浴衣の袖を引かれた。


「わたしもぉ~レモン味食べたいんだけどぉ~」


蕾が小さな口を開けて待っている。


「自分で食べる選択肢は?」


「(ふるふる)」


「そうか……」


諦めつつ食べさせると、ちょこっとだけ舌を出してくる。


「わらひもぉ~」


「うん、色がちゃんと変わってるよ」


満足したのか二人共去って行く。


「とりあえずほぼ溶けてるけど食べるか……」


そうして残りを飲み込むと、プラのゴミ箱へ突っ込む。


「おっ、終わったね~」


ちゃこ先輩が、ニヤニヤしながらやって来る。


「先輩、いつの間に消えてましたけどどこ行ってたんですか?」


「あぁ、これを貰って来たんだ」


先輩が鍵をちらりと見せて来る。


「鍵ですか?」


「うん、今は使ってないウチの建物があってね、そこの屋上の鍵だよ」


「入って大丈夫なんですか?」


「だいじょーぶ! 毎年ウチで使ってるんだけど今年はせっかくだしって借りて来た」


「そうなんですね、じゃああとまだ来てない友達が来たら、色々買って移動しましょうか?」


「まだいるの? 女の子?」


「いや、男子ですね。移動で疲れたのか仮眠してる奴が居まして、後ソイツの幼馴染の女の子です」


「へぇ~男の友達居たんだね~」


「失礼! 失礼ですよ!」


「あはは~、ごめんねぇ~」


そんな事を話していると雨音達から着信が着た。


『神社着いたけど、いまどこにいる?』


「はいって左側奥に居るよ、大学生の先輩も一緒」


『あー例のか……』


「例のって何だよ……」


そう言うと姿が見えたので雨音が通話を切る。


「いやぁ~また翔が問題を発生させたのかと……」


「なんだよ、俺はそんなにトラブルメーカーじゃ無いぞ?」


そう言うと雨音と弓場さんが「はぁ?」と呆れた顔をする。


「えぇ……」


「先輩まで!?」


「まぁ、佐伯君のトラブル引き寄せ体質は置いといて……そちらの方は?」


弓場さんがちゃこ先輩へ視線を向ける。


「あぁ、紹介するよ。ウチの近くのコンビニ店員さんで、俺達の先輩。この間まで付属校に通ってた『三枝千夜子』さん」


「ども~三枝千夜子で~す! ちゃこ先輩って呼んでくれると嬉しいかな♪」


先程とは違うポーズできゃるんとやっている先輩、雨音と弓場さんは固まっている。


「あれ~? 何か間違ったかな?」


「間違ってはいないと思いますが……」


多分違う、そうじゃないと思う。


「よ、よろしくお願いしますわ千夜子先輩……」


「よ、よろしくお願いします三枝先輩……」


それじゃあ皆集まったし、お守り買いに行きますか。


「おーい真白~動け~、檸檬達も行くぞ~」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから皆でお揃いのお守りを買って、道中で焼きそば、お好み焼き、りんご飴、海老やイカなんかの海鮮焼き、たこ焼き、チョコバナナ、等々主食から甘味まで様々な物を買った。


「お小遣い結構貰ったと思うけど、結構使ったな」


やっぱりお祭り価格だし全員分買ってると、結構な金額になるなぁ。


「それじゃあ、行こうか♪」


ちゃこ先輩の掛け声と共に、進んでいく、お祭りに向かう人の流れに逆らい進んでいく。


「わわっ……」


「わぁ~」


遅れそうな蕾と真白の手を取る。


見ると檸檬は近くにいた藍那の手を引っ張っている。


それから五分程進んだ後、裏通りに入る。


「いやー人多かったね~」


汗を拭うふりをしながら、ちゃこ先輩が言う。


「凄い人でしたね……」


「流されるかと思ったぁ~」


「藍那大丈夫?」


「はい~、檸檬さんのお陰で助かりました~」


弓場さんと雨音がずっと手を繋いでいるけど何も言わないでおく。


「ここを入って行けば、後は階段を上るだけだよ」


先輩が先頭に立って階段を上り始める。


そうして4階建ての建物を上ると屋上への踊り場が現れた。


先輩が鍵を差し込むと勝手に扉が開いた。


「え?」


「あぁ?」


そこには見知らぬ男達が集まっていた。


---------------------------------

作者です!


☆や♡、フォローをくれた読者様ありがとうございます!!

をもらえるとランキングに載ることが出来るのでお願いします!!


4万3000PV超えました感謝です!!

フォロー590超えました!皆様ありがとうございます!

☆が150超えました!!♡は1050超えました!!

ありがとうございます!!


皆様のおかげでランキングにも乗れてます!!

☆ジャンル別☆

週刊:113位

☆カクヨムコン☆

ジャンル別:81位

総合:415位

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る