第46話:やばすぎるだろ……。
先輩が扉を開けると、男たちの視線とぶつかる、足元にはビールやチューハイの缶、それとシリンジが転がっている。
(あれって、ヤバくね?)
見えるのもが本物ならばコイツ等は相当ヤバいという事になる。
(ここは一旦下がらせた方が良いよね)
「せんぱ――」
「ちょっと! 何でここに居るんですか! ここは私有地ですよ!」
「あぁ!? 私有地だろうか何だろうが、俺達がここに居ても良いじゃねーかよ!」
「何だ? デリでも呼んだのか?」
「ひゅーカワイ子ちゃんばっかじゃん」
そういってふらふら酔ってきては、先輩の手を掴もうとしてくる。
「止めてください、いきなり女性に触るなんて失礼ですよ」
「っるせーな! ボーイは黙ってろ!!」
無理矢理に振りほどいて、男がこちらを睨む。
「先輩、行きましょう。一旦戻って警察を呼んだ方が良いです」
先輩の手を取って出口へ向かおうとする、その瞬間袖を引っ張られるのと同時に、痛みと視界が揺れる。
「「「「翔(君)!?」」」」
「「佐伯君!?」」
「何逃げようとしてんだてめぇ! 女は置いてくんだよ!」
視界がくらくらする、いきなり殴るとか正気じゃ無いなコイツ等……。
「いっつ……いきなり人殴るとか……」
「てめぇわりーんだろーが! 人の女を持ち逃げしやがって!」
呂律も回らないし意味不明な事を口走る男、薬か酒か、はたまた両方のちゃんぽんでもしたのか意味不明だ。
「大丈夫!?」
先輩が駆け寄って来る、口の中に血の味がしてきて気持ちが悪い。
「大丈夫ですよね、それと先輩はあんな人達知らないですよね?」
「えぇ、見た事無い顔よ」
「じゃあもう行きましょう、これ以上は相手にしたくないですから」
酒とクスリをやってる奴には催眠術も効かないだろうし逃げるが勝ちの場面だろう。
それに今の内ならこちらに来ている相手も一人だけだし相手が調子に乗っている間に済ませたい。
「無視してんじゃねーよ!!」
千鳥足で殴りかかって来るのをさっと避けて扉側へ向かう。
「やばすぎるでしょ……さっさと行こう!」
そして一番後ろにいた、雨音が扉を開ける。
すると強面のおっちゃん達が目の前にいた。
(あ、これは不味い)
「何だおめーら」
「おやっさん、どうしたんですか?」
全体に緊張が走り、万事休すかと思ったら先輩がひょっこり顔を俺の背中から出した。
「シゲさん!?」
「おー、神社のとこの千夜子じゃねーかどうした?」
「友達と花火見に来たら、知らない人達がいて」
「いや、おやっさん、頼まれたじゃないですか、飲み物買って行って欲しいって」
「そういやそうだったな、それで、坊主は何で顔を腫らしてるんだ?」
先輩と何かやましい事でもあったんじゃないかとでも言いたそうに、睨んでくるシゲさんと呼ばれた強面のおじさん。
「違うよ! 殴られたんだよ!」
「ほーう」
先輩の発言に、シゲさんが他の男達をじろりと睨む。
「「「ひぃ……」」」
先程までニヤニヤしていた男たちが凍り付く。
「千夜子の友達の顔殴るとは、いい度胸だなぁ……」
なんだろう、声音だけで漏らしそうになるくらい怖いんだけど……。
すると、遠くからサイレンの音が聞こえる。
「チッ……サツか、どうやらお前さん達、詰みだな」
屋上に散らばってる物を見回す。
すると今更逃げれないと諦めたのか、苦々しそうにする男達。
「クソ! ふざけんなぁ!!!」
一段落と思いきや、先程殴りつけてきた男がナイフを持って襲い掛かって来た。
しかも狙ってるのが俺じゃ無く先輩だ。
「先輩!」
男との間に割り込み、先輩を突き飛ばして。そのまま男の手を掴み引き倒す。
「——ぎゃふっ」
そのまま上乗りになりナイフを持つ手を押さえつける。
揉み合っているうちに、寄って来たシゲさんが相手の手を踏みつける。
そうして離したナイフを、瞬く間にお付きの人が取り上げてしまった。
「ふぅ……これで大丈夫ですね」
すると、真白達が警察を連れて来てくれた。
そして男達はその場で薬物所持と俺とちゃこ先輩への傷害、不法侵入と屋上の鍵の器物破損で連れて行かれたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
警察への証拠保全で傷の写真を撮られた後、俺は被害届を出す為に病院へ向かう為救急車を待っていた。
「痛てててて……」
「ほら、動かないの」
「全く……ヒヤヒヤしたよ」
今は真白と檸檬によって暴れた際に出来た腕の傷に、応急処置の止血をしてもらっている。
「そ~だよねぇ~びっくりしたよぉ~」
「いきなり翔さんが襲われた時はとても驚きました……」
「まさか、刃物を持ちだすとは……」
「あれには、びっくりしたよ……」
「何で当事者が一番緩いのかねぇ……」
呆れながら言って来る雨音に苦笑いを返す。
「ほら、笑って無いの!」
「そーだよ! 動くとズレちゃうんだから!」
「ゴメンゴメン、二人共ありがとうな」
「それを言うなら蕾ちゃんと藍那ちゃんもだよ、蕾ちゃんがいち早く通報してくれたし、藍那ちゃんが率先して応急処置の道具持ってきてくれたし」
「いやぁ~よかったよぉ~」
「私も近くにコンビニがあって良かったです」
「そっか……皆助かったよ」
そんな事を話していると、先輩が警察の人と共に降りてきた。
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