第38話:勉強会の開始とテスト。

「じゃあこれか勉強会を始めまーす!」


「わ~」


「ぱちぱちぃ~」


「楽しみですね!」


真白の言葉に、檸檬・蕾・藍那が元気よく答える。


「いやー助かったわ!」


「そうね、もう少し点数上げたかったから助かるわ」


雨音も弓場さんも、嬉々として教科書を広げている。


それは良いんだけどな、何で俺4人に囲まれてるの?


前に蕾、右に檸檬、左に藍那、背後が真白だ。


異常な状態に、雨音へ視線を向けると。


(がんばれ!)


と口パクで言われた。


「さあ!やっていくよ!」


両肩に真白の手が置かれ、正面を向かせられる。


ニコニコとした蕾が口を開く。


「それじゃ~どこがわからないのぉ?」


「あ、あぁ……この問題と、この問題だ」


今日の授業で難しかった部分を聞く、すると問題を一瞥しただけでスラスラとのーとに書き始める。


「あ~それはねぇ~、ここがポイントでぇ~」


「あ、そうか。この部分の解釈が間違えてたのか」


「そーだよぉ~ ここの文がここにかかって来て、これがヒントになってるのぉ~」


「ありがとう、じゃあちょっと次を解いてみるな」


次の例題を解き始めると、どこからともなく旗を出した蕾が振っている。


「がんばれぇ~」


「なぁ、その旗どうしたんだ?」


「今日ねぇ~作ったぁ~」


「そうか……よくできてるな……」


深く突っ込むのを止め、問題へ向き直る、そして解き終わると蕾がチェックして要点を教えてくれる、そんな事を繰り返すうちに今日の完全下校時刻のチャイムが鳴った。


「じゃ~今日はここまでだねぇ~」


と付きっ切りで教えてくれた蕾がニッコリと笑う。


「助かった、やっぱり蕾の英語力は凄いな」


「あはは~外国の文書とか読むからねぇ~いつの間にか身についてたんだぁ~」


そんな事を話していると皆が荷物を纏め終えた様だ、机を元の位置に戻して教室を出る


「いやー今日は助かった、ここまでサクサク進むとは思っても無かったわ」


「そうねぇ、真白さん、藍那さんありがとう」


「いえ~これ位なら、いつでもどうぞ~」


「そうだよ、皆でいい点数取ろうね!」


「いやー相変わらず、つぼみんの英語は分かりやすいね」


「むふぅ~それほどでもぉ~」


薄い胸を張る蕾、檸檬は比較的苦手な教科だったので俺と一緒に蕾に教えて貰っていたのだ。


「じゃあ明日は、私の番だね!」


いつの間にか居た真白が檸檬にのしかかる、檸檬も意に介さずしれっとしている。


「真白は凄いよ~古文から現代文、難読漢字までスラスラ読み書きできるんだもん」


「そ~だねぇ~ただ、短歌の創作が駄目だけどねぇ~」


「それは言わないでよぉ~」


「良いじゃん良いじゃん、今年も漢検受けるんでしょ?」


アレ、真面目に受けてる人居たんだ……。


前世だと塾で取らされた2級までしか持ってなかったなぁ……。


「へぇ……何級受けるんだ?」


「え? 1級だよ? 去年は落ちちゃったし今年こそはリベンジだよ!」


「え? マジで?」


「へへ~ん! 凄いでしょ~」


真白が大きな胸を張る、『SUGOI DEKAI』としか今日の勉強英語が思い出せなくなる。


「そう言えば、檸檬は何が得意なんだ?」


DEKAIの引力に惹かれつつ話を変える。


「ん? 私は数学だよ~」


「マジか……意外だ」


「なにおー! というかそれ真白にも言われたんだよね……」


そう言って肩を落とす檸檬、真白を見ると申し訳なさそうにしている。


「うん、まぁわからなくもない、というかまず檸檬が勉強得意なのが、未だに驚きだ」


「ひーどーい! 真白も翔も酷いよ!」


「あはは、すまん……」


「ごめんねぇ~」


「全く、失礼しちゃうよ!」


そんな事を話しているといつの間にか駅についていた。


「それでは皆様、私はこれで」


丁度迎えに来てた黒塗りの高級車に乗り込み、藍那が去って行った。


「さて、じゃあ明日もがんばろー!」


そうして翌日は真白、その翌日は檸檬、一日空いて藍那と続き土曜日は藍那の家で勉強を、日曜日はちゃこ先輩のお手製テストで最終確認をした。


そして全日程を終え。テスト休みを経た、テスト返却の日。


「佐伯ー取りにこーい」


先生が俺の名前を呼ぶ、教壇へと向かいテストを受け取る。


「さてさて……結果は……」

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     |国語|数学|理科|社会|英語

   点数|96|98|97|98|96|

普通科平均| 79.5| 82 |83.6| 80.8|77.8|


クラス内順位:5位 普通科順位:9位

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「すげぇ……ここまで高得点初めてだ」


というか前世でも一桁順位とか取った事無いぞ!?


史上初の得点に感動していると後ろから衝撃が来た。


「翔! 点数どうだった?」


「見てくれ! この点数を! 今まで生きてきてここまでなのは始めてだ!」


檸檬に点数票を広げて見せる、すると檸檬も満足げだ。


「凄いじゃん! いやー私の教え方が上手いからだねぇ~」


「檸檬はどうだったの?」


「え? 私? 私はねぇ……」


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     |国語|数学|理科|社会|英語|

   点数|100 | 100 | 100 | 98 |100|

普通科平均| 79.5| 82 |83.6| 80.8|77.8|


クラス内順位:1位 普通科順位:1位

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「参りました……」


「なんか恥ずかしいから! やめて!」


檸檬さんの点数に天を仰いだ。



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