第39話:罰ゲーム。

その日もお昼にいつもの中庭に集合していた。


「第一回! 誰が一番点数低かったでしょうか杯」


「「「「「わ~」」」」」


「わ、わぁ~」


いや、俺が一番低いに決まってるだろ!と言いたかったが飲み込む。


(まず、この場をどう逃げるかを考えなければならない……)


――――ガシッ。


「んなぁ! 雨音!?」


「悪いな! お前に逃げられたら俺の最下位が決まる! だから貴様の逃げ、封じるぞ!」


「はなせ!! クソッ力強いな!」


「運動部舐めるな!」


雨音に腕をガチガチにホールドされて動けなくなっている。


「それじゃあ皆! いっせーのせで出すんだよ!」


「「「「「いっせーの」」」」」


全員が構える。


「「「「「せ!」」」」」


⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤

【柊 真白】

     |国語|数学|理科|社会|英語|

   点数|100 | 100 |98| 100| 100|

普通科平均| 87.5|85.4|86.6| 90.8|88.8|


クラス内順位:1位 特進科順位:1位

⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤


「「「え?」」」


藍那が一位じゃない!?


「えへへ~やりました!」


⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤

【長谷川 蕾】

     |国語|数学|理科|社会|英語|

   点数|100 | 100 |100 |97| 100|

普通科平均| 87.5|85.4|86.6| 90.8|88.8|


クラス内順位:1位 特進科順位:2位

⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤


「「「!?」」」


二位でもない!?


「あれれ~? ましろに勝ったと思ったのになぁ~」


⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤

【久凪 藍那】

     |国語|数学|理科|社会|英語|

   点数|55| 100 |100 |100 | 100 |

普通科平均| 85.5|87.4|86.6| 90.8|88.8|


クラス内順位:17位 特進科順位:57位

⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤


「「「「「えええええええ!?」」」」」


「どどど、どうした藍那!?」


「体の調子が悪かったんですの!?」


「一体何が?」


「それは私から話そう……」


いつの間にか藍那の別人格が出て来ていて、説明を始めた。


「実はな……回答欄を一つづつ間違えてしまったんだ……」


「「「「「ええええ……」」」」」


「それはもう一人の藍那でも防げなかったのか?」


「あぁ、その日藍那は少々家の用事で遅くなってな、運悪く食後な事もあり寝てしまったんだ、それに寝てしまうと、体の主導権も何も無いからな」


「そうだったんだ……確かにお昼の後だったもんね」


「なんとか、気合で回答は書いたのだが……選択式問題が全部ズレていたのだ」


そうか、だから記述式の回答は満点なのか。


「しかし災難だったな……」


「あぁ、だが勝負は勝負、この敗北を受け入れよう」


「という事は?」


「私達、普通科の中じゃ翔が最下位だから……」


「翔君、とりあえず点数をみせて!」


「合計……485点だねぇ~」


「私が、455点だな……」


「佐伯君の勝ちね……」


「だけどなぁ……」


「これは喜ぶべきじゃないだろう……」


勝ったとはいえ、こんな勝ち方はなぁ……。


「うん、俺の負けだ。こんな勝ち方。俺が気持ち悪い」


「そっかー翔君がそう言うなら……」


「じゃあ翔は、皆のお願い一つづつ聞いてね!」


「へ?」


「勝者のぉ~権利だよ~」


「そういう事なら……」


「俺としては翔なら遠慮無く頼めるからな!」


そう皆がニヤニヤして来る。


「うわぁ……引き受けたのミスったかなぁ……」


「今からは取り消しできませーん」


「そうだよ~甘んじて受けてね!」


「うへへ~、楽しみだねぇ~」


「翔さん……」


袖を引かれ振りかえると、目尻に涙を浮かべた藍那が居た。


「私のせいで……」


「いや、それは違うぞ、元々俺が最下位だったからな」


そう言って、普段する事無いけど藍那の頭を撫でる。


「そんなに気にするなら、今度俺が困ったとき藍那が助けてくれ」


「え?」


「俺のお願いを一つ聞いてくれれば良いから」


「そ、それでしたら。何でも聞きます!」


いや何でもは駄目だろ。


「まぁ、困った時で良いから」


「はい! いつでも頼って下さい!」


そう言ってにっこり笑う藍那。


(これだけで罰ゲーム引き受けた甲斐はあったな……)


◇◆◇◆◇◆◇◆

そんなテスト後のわちゃわちゃも終わり昼食を皆が食べ終えたタイミングで檸檬が立ち上がる。


「という訳で! 今月末、花火大会に行こうと思います!」


「「「「「わーぱちぱち」」」」」


「良いんだけど、どこで花火大会やってるんだ? まだ6月だろ?」


「そうなんだけどねぇ~、調べたらぁ~あったんだぁ~」


「マジか……」


「ねーびっくりしちゃったよ」


「問題はどこでやってるの?」


「えっとね……神奈川の端っこ!」


「わかったわ、私は大丈夫よ」


「まぁ、あそこなら電車で行けるし……俺は問題無いぞ」


弓場さんと雨音がOKを出す。


「私も大丈夫ですわ~」


「藍那もOKっと」


「俺も大丈夫だ、でも日帰りか?」


「うん、でも遅くなっちゃうかな?」


「それでしたら、私の家で出しますわ」


藍那が手を上げる。


「良いのか?」


「どの道、父に言ったら車出すと言いますし、それでしたら皆さん乗れる方が楽しいですから~」


「そっか、ありがとう藍那」


「お世話になりまーす!」


「それじゃあ浴衣は、俺の家で手配するかぁ……」


「「「「「へ?」」」」」


「あぁ、俺の母さん、デザイナーやってるから」


「「「「「ええええええええ!?」」」」」


---------------------------------

作者です!

昨日は頭痛が酷すぎてダウンしてました……すみません。


☆や♡、フォローをくれた読者様ありがとうございます!!

をもらえるとランキングに載ることが出来るのでお願いします!!


3万2900PV超えました感謝!

フォロー500超えました!皆様ありがとうございます!

☆が140超えました!!♡は950超えました!!

ありがとうございます!!


皆様のおかげでランキングにも乗れてます!!

☆ジャンル別☆

週刊:131位

☆カクヨムコン☆

ジャンル別:95位

総合:465位

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る