第29話:体育祭①
それから、体育祭は一時中断となり女子更衣室に女子達が戻り被害を確認している。わかった事だが結構な数の着替え用の下着や制服が盗まれていた。
俺と真白は警察の事情聴取が終わり、俺は今真白の着替えを待っていた。
「お待たせ~」
「早かったね」
「私、着替えるの早いもん!」
「それは自慢になるのか?」
「え~なるよ~」
明るくしてはいるが、ぎこちなく真白が笑う。
幸いと言って良いのか真白の被害は体操着だけだったので、今は新しい体操着に着替えた真白とグラウンドに向かう。
「でも良かった……真白達が無事で……」
「うん、ありがとう。あの時、翔君が居てくれた良かった……」
「真白達が遅かったから、探しに行ったら、たまたまだったんだよ。でも、真白達なんで遅れてたの?」
「女子更衣室って結構混むから、先に飲み物を買いに行ってたんだ」
「そうだったんだ……」
お互いに黙ってしまう……。
(まぁ事故とはいえ下着姿をがっつり見ちゃったしなぁ……)
一瞬とはいえ鮮明な姿で網膜に焼き付いてる。
(流石に沈黙が辛くなってくる……)
「「あ、あの……」」
「「いやいや、どうぞどうぞ」」
「「あっ……お先に……」」
3連続で被った……。
「ともかく、真白からで良いよ」
「あっ、じゃあ……」
もじもじしながら真白が向き直る。
「翔君、ありがとうございました。恥ずかしかったですが、あの時顔を見てほっとしました」
照れくさそうに言うと、はにかむ真白。
「あそこにあのタイミングで出くわしたのは偶然だったね、それに助けられて良かった」
前世は体育祭に下着泥棒が入った事も話題にならなかったし、行事に興味も示さなかったからなぁ……。
「偶然でも、翔君は私のヒーローです!」
顔がまっ赤になりながらもしっかりと視線を合わせて来る。
「そう言ってもらえると、頑張った甲斐があったよ。でも真面目に感謝されるって、凄いこっ恥ずかしいな」
顔が赤いのが自分でもわかる、誤魔化す様に頬をかきながら笑うと真白も笑いだす。
するとアナウンスが入った。
『これより、体育祭を開始します、皆さん自分のクラスの元に集合して下さい』
その放送に周りを見回して、お互い顔を見合わせる。
「もしかして、俺達が最後かな?」
「かもしれないね」
すると突然手を引かれた。
「ほら! 急がないとはじまっちゃうよ!」
顔の赤さを隠す様に真白が走っていく、いや速いな!!
「ちょ! 真白速いって!!」
そして物凄いスピードで、グラウンドまで引きずられていった……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
そして、特に問題も無く体育祭は進んでいく。
玉入れも、50m走も100m走も大体同じくらいの順位で同じ位の点差になっている。
そして午前の最終競技『騎馬戦』の時間がやって来た。
「なぁ雨音、そう言えば俺達の騎馬って後誰がやるの?」
「えっとな……山本君だな」
「そう! 待たせたな!」
雨音の声に反応して後ろから山本君が現れた。
「お疲れ、山本君」
「ありがとう佐伯君!」
「あぁ、そうだ君付けいらないよ、これから同じチームなんだし」
「そうか! ならば俺もいらないぞ!」
「じゃあよろしく、山本」
「よろしくな」
「おう! こちらもよろしくな!」
3人で握手をする。
「しかし、ウチのクラス。綺麗に同じ身長の奴が3人一組出来る様になってるな、余るけど……」
「それはだいじょうぶ! ちゃんと他クラスの人達とも合わせてあるぞ!」
「とゆうかテンション高いね……」
「あぁ! 戦いとなると血が騒いでな!! これに勝てば大量得点! 一気に差をつけられるんだ!」
「確か……自軍の鉢巻きを死守で5点、それに一本取るごとに3点だっけ?」
前世は中二MAXでカッコつけてたせいで、碌に取れなかったからなぁ……記憶から消したい。
「ああ! そうだ!」
「うへぇ……それなら上はやりたくないな」
何より相手のクラスには、フィジカルモンスターのラグビーチームが居る。
死守とか攻撃とか、責任重大だしあまりやりたくない……。
「という訳で! 佐伯! 君が上に乗ってくれ!」
「ねえ、今俺やりたくない言ったじゃん!!」
「仕方ないだろ、身長のバランスで綺麗に分かれるには佐伯が上に行ってくれた方が良いんだから!」
「うっ……確かに……」
雨音と山本は肩の高さが同じで腕も大体同じ長さなのだ、因みに俺は腕が少し長い。
「うぅ……仕方ない、自信は無いが頑張るよ」
「流石だな!」
「流石下着ドロの英雄」
「おい、その言い方やめろ……」
最初は『下着泥棒を捕まえた英雄』って言われてたんだけど、数分後には下着ドロの英雄とかいう、あたかも俺がやったと言わんばかりの略し方になった。
「マジその言い方は不名誉だからな……」
「そうだぞ! 女子にちやほやされてるんだから甘んじて受けろ!」
「そうだそうだ!」
「下着ドロの英雄!」
「下着ドロ!」
オイ誰だ、今俺を犯罪者にした奴は……。
「今最後に言ったヤツ……今出てくればデコピンで許してやる……」
「出なかったら?」
「お前ら今年1年、足の小指がやたら全力で物にぶつかる呪いをかける」
正確には催眠術だけど。
「「「「「ヒェ……」」」」」
「わかった。それか皆デコピン1発づつで許す」
「あい分かった! ばっちこいや!」
「良いんだな?」
それから催眠術でデコピンの瞬間だけ痛みを30倍にした結果。
――――ベチン!
「「「「「ぎゃあああああ!?」」」」」
ウチのクラスのテントで悲鳴が幾度となく起きるのであった。
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