|幕間|一日の終わり。
藍那の家から帰って来た俺は食事の席で
「なぁ、由愛」
「ん? 何お兄い?」
「柊 檸檬ってどんな人」
「は?」
唖然としたを、顔をして由愛が箸を落とす。
「ちょっと由愛、箸落とさないの」
「ちょちょちょ、お兄い? 何で檸檬さんのこと知ってるの!?」
「いや、同じクラスになったから」
「同じクラスぅ!?」
「しかも隣の席」
「隣の席ぃぃ!?」
ダンっと食器を置き立ち上がる由愛、どうしたんだよ……。
「どうしたもこうしたも無い! どうしておにーちゃんそんな幸運を!!」
おい、地の文読むな。
「おにいの表情が読みやすいのがいけない!!」
「顔に出てたか~」
「そうね、翔は良く顔に出るわ、お父さんと一緒で」
「!?」
親父が流れで被弾をしてる、南無。
「まぁ、友達になったし。今度のオリエンテーションは同じ班だからな、それに由愛の名前出したら知ってた位だし」
「あqwせdrftgyふじこlp!!!」
突如意味不明な悲鳴を上げる由愛、どうしたんだよ……。
「私が……神に、認知? 夢?」
「そこまでなのか……」
「いや、だって、中学の全国大会2連覇だよ!?」
「マジか、檸檬ってそんなすげぇのか」
「檸檬!? なんでお兄いが檸檬さんをそんな呼び方してるの!!」
「いや、だって檸檬にそう言われたし……」
「チックショー!!!!」
床を奇声を上げながら転がる檸檬、大丈夫か?
「こら由愛!! 転げて無いで、早くご飯食べちゃいなさい!!」
「だってぇ……」
「だっても何も無いわよ! 食べなきゃ片付けるわよ!!」
「はぁい……」
そんな妹にジト目で見られながら、夕食の時間は進むのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇柊家—真白の部屋—◇
夕食を終えた後、檸檬は真白の部屋にて、漫画の続きを読んでいた。
「そういえば、真白。翔見た時どっかで会ったとか言ってたけど……アレ本当なの?」
「本当だよ? 電車で……見たはずなんだけどなぁ……」
首を傾げて疑問を語る、真白に呆れた顔をする檸檬。
「いやいや、覚えて無いんかい」
「う~ん、でも何か話した覚えがあるんだよねぇ……」
「えーそれってナンパされたとか?」
「いやいや! そんな事無いよ!?」
「そうだよね、あんなカッコいい人にナンパされたら忘れられないよね」
「ナン……流石に翔君はそんな事しないでしょ」
「あはは……私も言ってて、なんか違うなーって思った」
「でも珍しいよね、檸檬ちゃんが、見知らぬ人を連れてくるなんて」
真白は、檸檬から来たメールを思い出しながら言う。
「そう? あーでもうん。なんか、放っておけなかったんだよね」
「え~それじゃあ、檸檬ちゃんの方からナンパしたんじゃん!」
「え゛……その考えは無かった。うーん……でも確かに声を掛けた第一声が『ねぇねぇ、何読んでるの?』だもんなぁ……」
「うわ、ナンパの常套句じゃん」
「くぉ~確かに反応が薄かったもんなぁ……」
「それで、翔君はなに読んでたの?」
「わかんない……」
その言葉に真白がずっこける。
「いやね、真白が好きそうなラノベだったよ」
そう言って檸檬は本棚を見る、真白の部屋の壁一面は本で埋まっているのだ。
「へぇ……じゃあ今度聞いてみようかな?」
「おやおや、真白も気になるのですか?」
「ひゃぶっ! なななな、何言ってるの!? 檸檬ちゃん!?」
読んでいた本を顔面に落とし狼狽える真白、それを見てニヤニヤする檸檬。
「わかるな~翔はカッコいいもんねぇ~」
「でもでも! 藍那ちゃんの許嫁発言には驚いたね!」
「ふーん、露骨に話逸らすじゃん~」
「ナナナ、ナンノコトデスカナ~」
「ほら! 話すまで寝かさないぞ~」
「ひゃぅ! やめて檸檬ちゃん!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇長谷川家—蕾の部屋—◇
――――カチャカチャカチャカチャ。
パソコンでプログラムを組んでいる最中の蕾の元へ姉の咲がやって来た。
「蕾ーそう言えばアンタ昼間に、交通課の人にメール送ったでしょ……」
「???」
「いやいや、なんか危険運転で事故る寸前になった人の映像よ」
「お~そうだったぁ~」
「忘れてたんかい……まぁ良いわ、どうやらの犯人警察が追ってた車の窃盗犯みたいでね、捕まえられたみたいよ」
「おぉ~それは良かったぁ~」
「しかし珍しいわね……」
「そ~だね~しょーは、見捨てておけない感じがするから~」
「へ? まさか蕾が男の為に?」
「あはは~ しょーは良い奴だよ~ましろのおっぱい見ても平然としてたし~」
「マジか……ソイツ男じゃ無いだろ……あのおっぱい見ても平静としてるとか……」
「おね~ちゃん~最低だよ~」
「あぁ!! どうして私等姉妹は無乳なんだ!!! せめて蕾のおっぱいが真白くらいにあれば!!!」
「おね~ちゃん女同士でもセクハラはあるんだよ~」
「うっさい!! 私は今社会の荒波で疲れてるんだ!!!」
「……こりゃだめだねぇ~」
真白は興奮している姉を、部屋から押し出すのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇久凪家—リビングルーム—◇
「————♬♪♫」
そこには鼻歌を歌いながら、終止スマホを弄ってる藍那の姿があった。
「なぁ、鳴海」
「はい、旦那様。どうかなされましたでしょうか?」
「藍那はずっとあのままなのか?」
「はい。御夕食前も、それから今もずっとスマートフォンを眺めて、ニコニコしてますね」
「そうか……」
渋面を浮かべる樹。友人が出来た事が嬉しい一方、藍那に相手にされないのが悔しいような心境だ。
「藍那に友達が出来た事を、素直に喜ぶべきか……それとも嘆くべきか……」
「旦那様、流石に今邪魔をしたら嫌われますよ……」
しれっと答えた鳴海の言葉に寂しくなる樹。
「くそぅ……」
「それより、奥様を労ってあげる方が先では?」
「む、もうそんな時間か?」
樹は藍那の母であり、自身の妻であるデザイナーの、
「藍那、私は茉莉の所へ行って来る、夕食はあちらで食べるから。もう寝てて良いぞ」
「はい~わかりました~」
朗らかな笑顔で送り出される樹、その胸には同性とお楽しくチャットを交わす姿を想像し、妻への良い土産話が出来たと喜ぶ。
一方、藍那の方は、翔とのチャットに夢中になっていた。
『見て下さい、この写真』そう言って、太郎丸の写真を大量に送り付けている藍那の姿があった。
一方の翔は、スマホの容量が太郎丸の写真で圧迫されていき、大慌てでクラウドでの共有の方法を教えるのであった。
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