第14話:買い物デート③

社会的な死を覚悟した更衣室の一件から、お店の中に入れず外で退避していた蕾と満足したテニス組と昼食の為に合流する。


今は混雑しているフードコートを避けて、レストランで並んでいるとこだ。


「ねぇ真白、何かあった?」


「えええ!? な、なにも無かったですヨ?」


「何故疑問形……まぁいいや。翔、何かあった?」


その言葉に一瞬先程の光景がフラッシュバックするが、頭の隅に追いやる。


「いや、特には無いよ?」


「嘘だ」「嘘ね」「嘘」「嘘だと俺でもわかるぞ」


(だからなんでわかるんだよ!!)


「まぁ、真白の服を褒め散らかしたら、店員にあれこれ言われただけだよ」


そう言うと真白も壊れたおもちゃの様に高速で頷く。


「ふーん……お兄が女の子を褒めるねぇ~」


クソッこんなとこに伏兵が居やがった!


「別にいいだろ、俺だって人は褒めるぞ」


「ほーへーふーん」


そう言いながら由愛がニヤニヤしている、正直ニヤケ顔がうざい。


「何だよその顔、何かおかしいか?」


「えーお兄はあれだけ厨二で引きこもりの陰キャなのにねぇ」


「心を入れ替えたんだ、心を」


「そんなに翔って今と違うの?」


檸檬が興味深そうに聞く。


「んーまぁ、そうだな……思い出したくない、恥ずかしさで死ぬ」


「そうは言ってるけどこのお兄い、小学校の裁縫箱に描いてあるドラゴンみたいな柄のスウェットを、未だに着てるんですよ?」


「ちょ!? やめい! あれは比較的に新しくて捨てるのもったいないからでな!」


「へぇ~」「ほ~」「佐伯君……」「翔お前……」「ま、まぁ……物を大事にするのは良い事だよ……」


真白止めてくれ……それが一番効く……。


いっそ弓場さんや雨音みたいに引いてくれる方がマシだ……。


「だからまぁ、今日こうして買いに来たんだけどな……」


「あはは……まぁそれなら私達で選んであげようじゃないか!」


「檸檬に任せると、変なのになりそうなんだけど」


「えー良いじゃん! 耳付きの可愛い奴選んであげるよ?」


ニヤケ顔でそう言ってくる檸檬、そんなんされたら3年間『オリエンテーションで可愛いパジャマ着てた男子』として不名誉な称号がついてしまう。


「止めてくれ、ただでさえ恥ずかしいのに。同じクラスの男子に見られたら死にたくなる」


必死に笑いをこらえてる雨音をみつつ答える。


「えー良いじゃん」


「それなら女子達で着てくれ。可愛いものは、可愛い子が着るのが一番だ」


そう言うと檸檬達の顔が赤くなる、この手の反撃は効くのか……。


「そうだな、丁度いいし由愛も含めた5人のお揃いで良いんじゃないか?」


すかさず由愛も巻き込みつつパスを飛ばすと、由愛が乗って来る。


「私も良いんですか!?」


「良いんじゃないかな? 私も由愛ちゃんともっと仲良くなりたいし。それに檸檬ちゃんもタンクトップと短パンのパジャマと呼べるか怪しいものしか無いし」


共通の趣味が違う真白がすぐに乗って来る、対して檸檬は顔が引きっている。


「いいねぇ~私も、可愛いものは大好きだよぉ~」


おばさん集団に潰され、グロッキーになっていた蕾も良くなったのか、背中から降りる。


「もう大丈夫なの蕾ちゃん?」


「うん~しょーのお陰で助かったよぉ~」


「それは良かった」


「それじゃあ! ご飯食べたら、可愛いものを買いに行きましょう!!」


「「「おー!」」」


「俺達は無難なのでさっさと決めような」


「そうだな」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから食事を終え、男性用のパジャマを買いに行く事になった。


そう……簡単に決まると思っていたのに……。


「「どうしてこうなった……」」


最初は順当に選んでいて無難な無地の物に落ち着いたのだが、いつの間にか来ていた女子たちに、気付いたらこうして互いに着せ替え人形にされていた、あぁ雨音は今回くま耳か。


「じゃあ、翔は次こっち!」


檸檬に渡されたパジャマを広げてみるとウサ耳(ロップイヤー)のフードが付いている。


「おい、マジか」


「文句あるの? 女の子にちやほらされて?」


「いや男が着るには可愛すぎるだろ……」


「えーでも、これちゃんとメンズ用だよ?」


そう言ってタグを見せて来る、確かにメンズ用だけど、趣味じゃねぇ!!


「というか檸檬達は選ばないのか?」


「もう選んだよ?」


「何故そんなに早いんだ!? 服ならもっと時間かかるだろ!?」


「いやぁ~自然と気が合ってねぇ~一発で決まったよぉ~」


そう言いながら新たなパジャマを持ってくる蕾、いつもと違って機敏な動きなのは何故……。


ともかくこれを着ないと駄目らしい、檸檬の目が逃がさねーぞという目で見て来る。


そして由愛よ、爆笑しながら写真撮ってるが。まさか家族のグループチャットに写真送ってるんじゃないだろうな?


「ほらほら! 早く着替えて!」


そうしてカーテンを閉められ渋々着替え出す、手に持ったウサギの顔もどことなく哀愁が漂っている。


「着るだけ着て満足してもらわねば……」


着て見せれば満足するだろうと諦め、着替えるのであった。



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作者です!

次回、オリエンテーション編突入。


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