第9話:まるでぇ~恋する乙女だよね~
抜き身の刀で俺を斬ろうとしてる鳴海さんを、羽交い締めにする久凪さんと抱き付く檸檬と弓場さん、そして正座してる俺を抱きかかえる真白。
傍から見たら皆、意味が分からないとなるだろう。
(そうしてこうなった!?)
俺でさえ意味が分からず困惑する、そんな呆れる様な光景を見て、男性が言葉を発した。
「ともかく、鳴海は刀を収めなさい」
「はい、旦那様」
渋々刀を収め後ろに下がる鳴海さん、旦那様と呼ばれた男性がこちらを見る。
「それで、
「あっ、はい。お父様——」
先程の光景の敬意を軽く説明する久凪さん、それを聞いたお父様と呼ばれた男性が頭を下げる。
「すまなかった、我が家のメイドが失礼をした。私は藍那の父で久凪
少し声色に喜色を持たせた樹さんが、空いていた椅子に座る。
「お父様!?」
「はい! 今日から友達になった! 柊 檸檬です!!」
流石コミュ強の檸檬……切り込むなぁ。
「わ、私は! 久凪さんと同じクラスで、檸檬ちゃんの姉の柊 真白です!」
真白も檸檬と同じ様に、切り込んでいく。
ガチガチに緊張した二人に、にっこりと笑う樹さんが緊張しないでくれと伝える。
「私は~ましろと~久凪さんと~同じクラスの~長谷川 蕾だよ~」
今度はふにゃふにゃな蕾が自己紹介をする。
「えっと私は、檸檬と同じクラスで友達の弓場
「お……私は瞳の幼馴染で進藤
そして最後に残った俺(正座中)に視線が向く。
「私は……「こ奴が! 先程申しましたお嬢様を襲った輩です!! がるるぅぅ!!」」
喋ろうとした瞬間、鳴海さんが唸り声と共に割り込んで来た、って! 俺は襲ってないんだけど!
「……ほう?」
樹さんの目がスッと細められた。
「鳴海! 佐伯さんは私と太郎丸の命の恩人ですよ!!」
「……ほう?」
そして今度はその目が鳴海さんに向いた。
「お嬢様! 騙されてはいけません! 顔が良い男は特に悪い男ですから!! この間も私騙されたんです!!」
半泣きになって久凪さんに縋る鳴海さん、まさか、私怨なのかよ……。
「結婚じでぐれるっでいっだのにいいぃぃ!! 凄ぐ貢いだのにいいいい!!!」
詐欺られたのか……泣き過ぎてのたうち回ってる姿が、可哀想すぎて声がかけれない……。
「ともかく! そんな理由で佐伯さんを目の敵にしてたんですから謝りなさい!!」
久凪さんに怒られ涙目の鳴海さんが、俺に頭を下げる。
「ずびばぜんでじだぁ~~」
「あーはい、怒ってませんし、そうゆう事情があったなら仕方ないですよ」
苦笑いしながら鳴海さんを赦すと、久凪さんも頭を下げる。
「私の使用人が申し訳ございません」
「良いって! 久凪さんも鳴海さんも悪くないんだから、悪いのは鳴海さんを騙した詐欺師でしょ?」
「とはいえ、こうしてご無礼を働いてしまった訳でして、申し訳ございません」
久凪さんが再度深々と頭を下げる。
うーん……このままじゃ俺の気が引ける……どうしよう……。
「それに、出来る事なら何でもしますので!」
(ん? 今、何でもって? いやいやそんな親の居る前でアホな事は言えないからね、まだ魚のエサにはなりたくないし……)
「うーん……それじゃあ、友達になった事だし名前で呼んでも良いかな? こういう機会無いと、女の子を名前で呼ぶとかハードル高い事出来ないし」
「あっずるーい! 私も名前で呼びたい!!」
「そうですよ! 私も名前が良いです!」
「そーだねぇ~いい機会だから、名前で呼ばせてよぉ~」
「そちらの方が友達感強いですしね」
「俺としてはちょっと腰が引けるんだけどな……」
「何よ、ヘタレねぇ……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからしばらくして、仕事で呼び出された樹さんが出て行き。オリエンテーションの話になっていた。
「へぇ……そんなことやるんだ」
「檸檬ちゃんが先生の話を聞いて無かったと思ったら、そっちのクラスは先生が話をしてなかったんですね……」
「ちょ! 真白酷いよ!!」
「うん、まぁ檸檬は先生の話を聞いて無いと思うな……」
「翔も酷くない!?」
実際、前世じゃ聞いてなくてやらかしてるのを知ってるからなぁ……。
「あはは、すまんすまん」
「まったくもう……」
「ささ、檸檬様。こちらをお納めください」
俺の皿に取り分けられてるケーキを檸檬の方へ差し出す。
「へ? 良いの?」
「まぁ流石にお腹いっぱいだからな、いらなかったか?」
「食べる!! わーい、やた~」
上機嫌になった檸檬はパクパクと食べ始める、すげえ……良く食えるな。
(まぁでも、その姿が可愛いんだよな……)
前世の高校時代でも檸檬が良く皆から食べ物を貰ってるのを見てたからか目が行ってしまう、ぼーっとその姿を眺めていると檸檬と目が合う。
「ん? どした?」
「い、いやぁ……そんなにじっくり見られると、流石に恥ずかしいんだけど……」
「え゛? 俺そんなに見てた?」
「ええ」
「見てましたわね」
「それはもう、穴が開くほど」
「まるでぇ~恋する乙女だよね~」
「確かに……」
全員に全肯定されてしまった。
「あーすまん……ウチの妹も良く食うからさ……何か似てるなーって」
「そう言えば、由愛ちゃんのお兄さんだったね」
「すっかり忘れてた」
「へぇ~佐伯さんは、妹さんが居るんですね~」
「うおっ、急に戻ってる」
「はい~あの子がもう大丈夫って言うので~」
「そっか、じゃあ改めて。佐伯 翔だ、よろしく藍那」
「私は、柊 真白です、よろしくね藍那ちゃん」
「私は檸檬だよ! よろしく藍那!」
「私はぁ~長谷川 蕾だよぉ~あいなぁ~よろしくぅ~」
「私は、弓場 瞳よ、よろしく藍那さん」
「俺は、進藤 雨音よろしくな藍那さん」
「はい~よろしくお願いします~」
そうして改めて自己紹介をした後、俺の妹の話題に戻るのだった。
(すまん由愛……話題に乏しい俺の為に、犠牲になってくれ……)
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