第8話:もう友達だからね?

 久凪さんの家に通され突如脱げといわれた俺、いや何言ってるんですか?


「「「「「!?!?!?」」」」」


「え? ちょ!? 久凪さん!?」


 唐突に脱げと言われて狼狽している俺を見て、何を言ったか理解した久凪さんの顔が赤くなる。


「すすすすっすみません!! 今のは言葉の綾というか! と、とにかく直しますので上着を!!」


「わっ、わかりました!」


 その場で互いにわたわた慌てつつ、脱いだ上着を久凪さんへ手渡す。


「で、では!繕ってまいります!!」


そのまま隣の部屋へ上着を持って行ってしまった、入れ代わりに老齢のメイドさんが飲み物を乗せるワゴンを押して入って来た。


「お待たせしました皆様、ジュースでよろしいですか?」


「あっ、すいません。お手数を……」


 丁度立っていた俺が、コーラのペットボトルを受け取る。


(何故コーラ? お嬢様ってゲームとかアニメだと紅茶なんだけど、好きなのかな?)


 そのまま再度、ワゴンよりグラスを人数分受け取り並べる。


「それにしても、お嬢様にこれだけのお友達が……」


「えっと……久凪さんって、そんなに友達少ないんですか?」


 老齢のメイドさんがぽつりと呟いた言葉を、つい聞き返してしまった。


 聞いてから不躾だったと後悔したが……特に気にした様子もなくメイドさんは話し始めた。


「えぇ……久凪家は元々の名家という訳ではなく新興の家でして、上流階級方が集まる社交界等のイベントではいつも浮いていらっしゃるんです、それを見かねた御当主様が高校入学の折に婚約者の居るこちらへ引っ越して、心機一転させようとしたのです」


「そうだったんですね、でも大丈夫ですよ。今ここに来ている皆は、もう友達みたいなものですから」


「そーそー翔の言う通り!!」


「私も同じクラスですから、お友達になります!」


「そ~だねぇ~オリエンテーションも一緒だしぃ~」


「私は同じクラスじゃないけど……佐伯君や檸檬と遊ぶこともあるだろうしもう友達みたいなものよ」


「そうだな、こうして友達の友達な訳だし、もう顔見知り以上だな」


「皆様……ありがとうございます」


 嬉しそうにメイドさんが言う。


 すると先程、久凪くなぎさんが出て行った扉がノックされ、話題の当人が入って来た。


「ちょ……一体何ですか皆さんのその生暖かい目は……」


 入って来て早々に生暖かい視線を向けられた久凪さんがたじろぐ。


「いや、何でもないよ」


「そうそう、もう友達だしね」


「何か困った事があったら相談に乗りますね!」


「そ~そ~」


「あはは……」


「誰か、説明して下さい~」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 老齢のメイドさんが出て行って、補修されたブレザーを返してもらった後。先程まであった事を久凪さんに説明し終えると久凪さんが立ち上がった。


「すみません、我が家の物が……」


「いや、別に気にしないよ」


「お友達が増えるのは、とてもうれしい事ですから」


「そーそー真白の言う通り! もう友達なんだから気にしない気にしない!」


「そ~だよぉ~」


「そうです、こうして出会ったのも何かの縁です、もうお友達ですよ」


「そーそー水臭いこと言わないでくれよ……」


「皆さん……ありがとうございます。ですがその前に皆さんにお伝えしないといけない事があります」


 久凪さんはそう言うと姿勢を正してこちらを向く。


「実は私、二重人格なんです……」


「「「「へ?」」」」


「あぁ~やっぱり(か)~」


「「ん?」」


「ほ~う、翔は~気付いてたんだねぇ~」


「まぁ、俺が知ってる久凪さんと、今の久凪さんが大分違うしねぇ、まさかとは思ったけど」


「えへへ~おそろ~」


「こほん、良いだろうか? 他の皆が固まってるし」


「あぁ、すまない」


「ごめんねぇ~」


「それで、元々藍那の性格は向こうの方なのだ」


「あぁ、あのぽわぽわした感じのか」


「あはは……まぁそのぽわぽわした人格が主人格なのだが、過剰なストレスなどで私に入れ替わってしまうのだ」


「まぁ二重人格ってそうゆうものだと……ひとつ確認良いかな?」


「ん?いきなりどうした?」


「いやね……入学式の時って俺が起こされた時、今の人格だったよね?」


「ん? あぁ。そうだったけど……それがどうしたんだ?」


 その場で正座してブレザーの前を開く。


「雨音……介錯を」


「だから! やめろって! 重いわ!!」


「ならば私が務めよう!!」


 いつの間にか鳴海なるみさんが抜き身の日本刀を構えていた。


「鳴海!?」


「はい! このお嬢様を襲った、不埒な不届き物を切り捨てねば私の感情が収まりません!!」


「何言ってるの!? やめなさい!!」


 ――コンコン


「いいえ引きません、引いたら鳴海一生の不覚!」


 ――コンコン――コンコン


「ちょっと誰か止めて!!」


「流石に駄目です!!」


「ちょちょ、不味いって!」


 皆が鳴海さんを止めようと抱き付いている、そして俺は真白に頭を抱かれている。


(いったいどうしてこうなった!?)


 柔らかい感触にフリーズする俺。


藍那あいな帰って来てるのか? 一体、何をやっているんだ?」


 いつの間にか入って来ていた男性が言葉を上げた。


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