第7話 淫らな夜
「——失礼しますね」
浴室で湯船に浸かっていると突然、
「ちょ、と、とと永遠さん!?」
メイド服を着ていたらあり得ない白い肌が視界に映って、慌てて顔を逸らす。
「大丈夫ですよ。バスタオルを巻いていますから」
「え?」
見ればたしかに、永遠さんは胸元から太もも手前までバスタオルを纏っていた。白いタオルであったため誤認したのだ。
ホッと胸を撫で下ろす。
いや、それでも充分に色っぽくてアウトだと思うのだが……。
「脱ぎましょうか? この下はもちろん、何も着ていません」
「い、いや……そのままでお願いします……」
顔が熱くなってくる。
そんな俺を見て永遠さんはご満悦なようす。
「ふふ、そうですね。肌を晒してしまうと抑えが効かなくなります。私はここでエッチするのも魅力的だと感じますが……でも、今日はやっぱり、せっかくの下着を披露しないといけないですもんね?」
「…………っっ」
お風呂でエッチ!?
そんなのしたことないぞ!?この世にそんな淫らなことが存在していいのか!?
しかし永遠さんの言う通り、あの下着をお預けされるのはツラい……!!
「お背中お流ししますね♪」
葛藤の最中ではあるものの、永遠さんの言葉に従って湯船を出るとバスチェアに座った。
「では」
永遠さんはボディタオルを泡立てる。
それからそっと背中にタオルを触れさせた。
ゴシゴシとゆっくり背中へ刺激が渡る。
これもまた、初めての体験だ。
元彼女とは一緒にお風呂に入ったこともない。
考えれば考えるほど、俺って元彼女に何もさせてもらえてないな……!?
それとも永遠さんが何もかも尽くしてくれすぎなのか……。
「痛くないですか?」
「だ、大丈夫」
むしろ力加減が完璧すぎて、天に昇るような気持ちよさだった。
「ゴシゴシ……ゴシゴシ……♪」
永遠さんは可愛らしく呟きながら背中を洗ってくれる。
「伊月さんって、意外と身体がガッシリしていますよね」
「……そうかな?」
「はい。筋肉だってほら、腕も硬いですし……」
「っ!?」
上腕二頭筋のあたりを摘まれる。
「お腹だって……」
「ひゃう!?」
お次は腹筋を触られて、変な声が漏れる。
「敏感なんですね♡ 可愛い♡」
「うっ……」
可愛いと言われるのは男として微妙だ。
まぁ女性から言われる言葉のなかで愛してるよりは信用していい言葉であるらしいが……。
「落ち込まないでください。伊月さんはちゃんと男らしくカッコよくて、同時に可愛いだけですから」
年下の男として、この言葉は甘んじて受け入れておこう。
やがて背中を洗い終える。
「前はいかがですか? 髪は?」
「そ、そっちはけっこうです!」
俺は永遠さんからボディタオルを貰うと雑に身体を拭いて、それからシャンプーで一気に頭まで洗ってしまう。
そして湯船に逃げおおせた。
「やっぱり男性は洗うのが速いんですね」
やはり余裕そうな雰囲気の崩れない永遠さん。
「それでは今度は私も身体を洗わせてもらいますね」
「あ、うん」
「ということで……こちらをどうぞ」
「え?」
すっと近づいてきた永遠さんは、ミニタオルを俺の目元に付けて後ろで結ぶ。
視界が完全に塞がれてしまった。
「この先は、まだ見せられませんからね」
ああ、なるほど。
身体を洗うためには必然、バスタオルを取らなければならない。
そう考えればこの目隠しはありがたい。
どうやっても何も見えないのだから。
「洗い終えるまで少し、待っていてくださいね」
そう言うと永遠さんはシャワーを出したらしく、水音が浴室に響く。
(うっ、これはこれでちょっと……)
今、何メートルもないすぐそこで裸の永遠さんが自身の身体を洗っている。
銀色の髪が美しく濡れて、白くきめ細やかな肌が晒され、豊満な胸が揺れる……
そんな想像が悶々と脳内で広がっていく。
「んっ、おっぱい……またちょっと大きくなったかな……」
まだ成長途中!?!?!?
「ふふ、これからもっと大きくなりますかね? ねぇ、伊月さん?」
「………………(ブクブクブクブク)」
のぼせそうな頭の中、ノーコメントを貫いた。
しばらくするとシャワーの音が止む。
「ふぅ」
立ち上がる音。
あれ?
この後ってどうなるんだ?
唐突な疑問。
その答えはすぐにわかる。
「入りますね、伊月さん」
ちゃぷ、と足を湯船に浸ける音がした。
(は!? ちょ、ちょっと待って待って!?!? この狭い湯船に、一緒に!?)
大人の男女が入ったらどうしたって身体が密着してしまう!
「ご、ごめん、俺出るよ!」
「ダメです♪」
「わっ!?」
腕を掴まれて強制的に静止。目隠しのせいで迂闊に動けない。転びでもしようものなら永遠さんを巻き込む可能性があった。
「一緒にあったまりましょう、伊月さん」
永遠さんが完全に湯船に浸かる。俺の股の間に収まったようだ。
やはり身体が触れ合う。
これは、背中……? すべすべしてる。
「伊月にさんには、こっちの方がよろしいですか?」
「え……?」
湯船が揺れる。
永遠さんが身体を捩っているのだ。
そして——今度は胸元をムニっとした至高の柔らかさが襲った。
背中に両手が回されて、抱きしめられているのがわかる。
さっきまでとは比較にならない密着度合い……
「と、永遠さん……!?」
「おっぱい、気持ちいいですか?」
(やっぱりぃぃぃぃ!?!?」
この柔らかさはそれ以外にあり得ない。
やばい、気持ち良すぎる……もう一生このままでいい……。
「それから……こんなのは如何でしょう」
——ちゅる。
「………ぃっ!?」
ビクッと身体が震えてしまう。
「どうですか? 耳、舐められると気持ちいいでしょう?」
言いながら、永遠さんはさらに俺の耳を舐める。唾液いっぱいで、いやらしい音が鼓膜へ直接響いた。
「ひゃ、と、永遠さん……っ、ひぅ!?」
「可愛い声♡ もっとしてあげます」
「……ひぃっ」
くそ、声が抑えられない……死ぬほど恥ずかしい……でも気持ちいい。
「視覚が閉ざされていると……より敏感になりますよね。次は何されちゃうんだろうって、考えちゃいますよね。ふふ、もっと興奮してください♡」
ついに永遠さんの手はすでに限界まで膨張した股間へと向かい……
「おっきいですね♡」
散々弄られた挙句、寸止めされた。
「これで夜の準備はバッチリです」
・
・
・
「さぁ、どうですか……?」
薄暗い部屋で、新しい下着を身につけた永遠さんが覆い被さってくる。
透け感のある黒のランジェリーだ。
フリルもあって可愛らしいけれど、やはりなんと言ってもエロい。
清楚で色白な銀髪メイドさんにセクシーな黒。最高すぎる。
俺は思わず、彼女に抱きついて押し倒す。
形勢逆転、今度は俺が覆い被さった。
「ふふ、もう我慢ならないみたいですね」
「はぁ、はぁ……」
こんなに興奮するのは人生で初めてだ。
「いいですよ」
永遠さんはこんな俺の欲望の全てを受け止めるかのように、優しく笑む。
「どうぞ、めちゃくちゃにしてください」
欲求のまま、淫らなメイドさんを夜が明けるまで抱き尽くした。
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