エピローグ

急速に話は進み、ナギサ達は城の中ではなく『環境をなるべく変えないように』との王の配慮で城の敷地内にある家に住むことになった。

新しい家の調度品が整えられ、今の家から多くの物が持ち出され、新しい家に持ち込まれた。


明日引っ越しを控えた夜。カイトが尋ねてきた。

「城の家の用意は終わりました。明日移りましょう」

「そうかい、朝食は食べて行くんだよんね」

「そうなりますね、うん?ナギどうしたの?」

「ここに来て初めて暮らした家だからなんか寂しくなっちゃって」

「ワン!ニャン!」

「そうよね、みんなが一緒なんだから。ごめんね」

「明日のことがあるし今日は早めに休んだ方がいいね」

「そうしてください、なるべく早く迎えに来ます」

そう言ってカイトは帰って行った。


引っ越しの日。ナギサは顔を洗い朝食を済ませると、外着に着替えてカイトの迎えを待った。

エマは片づけをして、持って行くものを用意した。

車輪の音がして、家の前で停まり、カイトが入ってきた。

「迎えに来ました、城に行きましょう」カイトは立ちあがったナギサを見てハッとした。ナギサの容姿が変わったわけではない。困難を乗り越えた人が持つ内面の輝きがナギサを包む。その美しさにカイトは見とれてしまった。

ナギサは外に出ると家を見上げた。ここに来てから過ごした家。「ありがとう、お世話になりました」ナギサはそう呟き一礼をすると馬車に乗り込んだ。


馬車は城へ向けて走り出した。新たなる未来への希望を乗せて。






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風の虹 星之瞳 @tan1kuchan

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