風の虹

カイトの見舞い

神殿が光に覆われたことで、城は騒ぎになっていた。その中をカイトは馬に乗りナギサの家へと向かった。

ナギサの家に着き、ノックするとエマがドアを開けた。

「ナギは？」

「２階の部屋で寝てるわ」カイトは急いで２階に上がった。

部屋に入るとサクラがナギサを柔らかな光で包んでいた。カイトは椅子を持って来て枕元に座った。『真名（まな）を呼べそうすれば目覚める』と声が聞こえた。カイトはナギサの耳元で「ナギサ、ナギサ」と何度も呼び掛けた。

するとナギサがうっすらと目を開けた。

「あぁ、カイト？」少しぼーっとした目でカイトの方を向いた。

「何があったんだ」

「私、風神ヴェンティ様の所に行ってたの。お話をしてこの国に残ることにしたわ」

「そうなのか、城は大騒ぎになっているんだ」

「そうなの？でも嬉しいカイトが来てくれるなんて」

「何度呼び掛けても返事がないから心配で」

『話はそれくらいにしておけ、まだ体が回復していない。もう少し時間がかかる』

「じゃまた来るね」

「うん、来てくれてありがとう」カイトは立ち上がると部屋を出て一階へと戻った。

エマが待っていた。

「ナギは？」

「目を覚ましましたよ。もう少し回復に時間がかかるそうです。私は城に報告に行きます。ナギをお願いします」

「解ったわ」

その返事を聞くとカイトは馬に乗り城へと帰って行った。

数日後ナギサは起きれるようになり、１週間もすると普通の生活に戻れるようになった。カイトは数日おきに見舞いに来ていた。たくさんの贈り物一緒に。

そんなある日

「今日は話があってきました。ナギ城に来ないか？」

「城に？」

「もちろんサクラ、リーフ、エマも一緒に」

「みんな一緒に？でもなんで急に？」

「王が君を手元に置きたがっている。神の加護を受けた娘として、国の発展の為に」

「私に出来ることがあるとは思えないけれど、みんな一緒ならいいかな？エマはどう思う？」

「私は城の方が安心できます」

「リーフとサクラは？」

「ワン！」「ニャン！」

「みんな賛成ってことね。カイ王様伝えてお受けしますって」

「解った俺もその方がいい。ナギに会いやすくなるから」

その言葉を聞いてナギサは嬉しかった。

しばらく話した後カイトは帰って行った。