王宮の別の部屋

私はカイに連れられてある部屋に入った。そこにはお茶とお菓子が用意されていた。

カイは私をソファーに座らせ、お茶をいれてくれた。でも私は顔を上げることが出来ずにいた。

カイが横に座り「ナギサ、無理しなくていいんだよ」と優しく言って肩を引き寄せてくれた。カイトのぬくもりを感じた私はこらえきれず声を出さないようにして泣き出してしまった。

カイは黙ったまま辛抱強く待っていてくれた。

どれくらい泣いていたのだろう、私が落ち着いたのを見計らうようにカイがハンカチを貸してくれた。それで涙を拭いているとドアが開きサクラとリーフが入ってきた。

それを見たカイは私から少し離れた、サクラが膝に乗ってきて甘えた。

私は泣き笑いみたいな顔をしていたと思うがサクラを抱きしめしばらく動けなかった。

しばらくして「お茶にしよう。せっかくおいしいお菓子も用意してあるし」カイがそう言うと私はやっと頷くことが出来た。

お茶もお菓子もとても美味しかった。


ドアがノックされた。「はいっていいかしら?」女の人の声がした。

「リーゼ様どうぞ」カイが答えた。若い女性が入ってきた。

「私はこの国の王女リーゼ、先ほどは父がごめんなさいね。本当に一国の王ともあろうものがあんな無神経な発言するなんて」

「いえ、そんな。私こそ失礼なことを申しませんでしたか?」

「大丈夫よ。貴方はしっかり答えていたわ。私貴方が気に入ったの。また会えるかしら?今度は二人だけで話をしたいわ」

「それは、王様の許可が無くては」

「解ってるわよ!許可をもらう前にナギの気持ちを聞いておかないと私の我儘わがままになるから、ね、ナギ」

「私は構いませんが」

「決まり!お父様には折を見て相談するわ。じゃまたいつかお会いしましょう」

王女はそう言うと部屋を出て行った。

「活発な方のようですね」私はあっけにとられてそう言った。

「そうですね。落ち着いたのなら帰りましょうか」

カイはそう言って部屋を出て行った。しばらくて「馬車の用意が出来ました」と迎えに来た。私達は馬車に乗って家へと帰った。

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