王族との面会

馬車は大きな門を抜け城の中に入った。決められた場所に停まると侍従じじゅうが近づいてきて馬車のドアを開けた。カイが降り、私はカイに手を引かれて馬車から降りた。

「こちらの部屋でお待ちです」侍従は先に立って歩いていく。私はカイの腕をつかむようにして後に続いた。

侍従がドアの前で止まった。

「ナギ様をお連れしました」

「入れ」昨日とは違う威厳のある声がした。侍従はドアを開け私たちは部屋へと入った。部屋の中央には壮年の男性と女性。左に昨日見た王子。右に若い女性が座っていた。

「遠いとこご苦労だった。ナギ座り給え」私は言われた席に座った。

「さて、今日来てもらったのは聞きたいことがあったからだ。あれを」

私は持ち込まれたものを見てびっくりした。それは私のランドセル。何を言われるのだろう。

「これはそなたが持っていたもの。中を調べさせてもらった。これは何のために持っていたのかな?」

「これは、学校に持って行くものです」

「学校とな?」

「学校は生徒に色々なことを学ばせるために設けられています。その中に入っていたものは授業に使うものです。15歳までは義務教育といって全ての人が授業を受けます。それからは個人の選択になりますが」

「なぜ、そのようなことをする」

「人が国を造るからです」

「なるほど、そこに意味があるのだな。興味深い。もう一つ聞くが、そなたの国では成人は何歳だ」

「18歳です。少し前までは二十歳はたちでした」

「そんなに遅いのか。それだけ時間をかけて教育とやらをするのだな」

「はい、私の暮らす日本と言う国ではです。国によって成人の年齢は違います」

「そなたは今何歳か?」

「12歳です」

「そうか。それならそなたは日本ではまだ親の保護が必要な子供なのだな」

王の言葉を聞いたナギはもう会えないかもしれない家族や友達の事を思い出してしまった。泣きそう。でも答えなくては。

「はい、そうです」そう言うのが精一杯。

「解った、今日はご苦労だった。別室にお茶を用意してある休んで帰るといい」

「ありがとうございます」震える声で答えた。顔が上げられない。カイが近づいてきて手を取り立ち上がらせる、手を引かれ部屋から出ようとした時

「サクラとリーフには話がある。残れ!」と王の声がした。私とカイはその声を聞いたが一礼をして部屋を出た。


残ったサクラとリーフに「いつまでその姿でいるつもりなんだ、昨日きのうは民衆の前で力を使ったようだし」と王はいらだったように話しかけた。光が二人を包んだと思うと背に羽を付けた男女の姿になった。

「ひどい言い草だな王よ。我々は『お前のめいにより無理やり転移させられた娘の心のつらさを和らげよ』と風神ヴェンティのめいを受け娘の心の中にある動物に姿を変えたのだ」男が答えた。

「そうよ!そして、『娘を守れ』とね!ナギの心をえぐるようなことを言う人に言われたくないわ!」女が答えた。

「そなたが何と言おうと私たちはぬしの言いつけを守る」そう言うと二人は元のリーフとサクラの姿に戻り部屋を出て行った。







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