城へ行く準備

翌朝起きて朝食を済ませるとエマが「湯あみをして着替えましょう」と私をお風呂場のようなところに連れて行った。湯あみを済ませ、二人で2階に上がるといつもと違う部屋に入った。

「うわ!」私は思わず声を上げた。色々なドレスが棚にかかり、小物や靴などがたくさん置いてあった。

「えっとこれなんかいいかしらね?」エマが選んだのはゆったりとしたロングのブルーのドレス。「ナギ着てみて」私は渡されたドレスに恐る恐るそでを通した。エマが背中のボタンを留め、リボンを結んだ。

「よくお似合い。後はアクセサリーだけど」エマは引き出しから、イヤリングとブレスレットを取り出した。それをナギにつけると「さあナギ鏡を見てごらん」と姿見の前に私を連れて行った。

「え!これが私!信じられない」そこに映っていたのはお話に出てくる人みたい、服でこんなに変われるものかと私は思った。

「さあ、この靴を履いて、下で迎えを待ちましょう」私が靴を履くとエマが上機嫌で手を引いた。

ゆっくりと階段を降り、椅子に座って待っていると、表で車輪の止まるような音がした。

カイがドアを開けて入ってきた。

「ナギ支度出来てる?え、ナギなのとても奇麗だね」

「そうでしょ。私の見立てもまんざらではないわ」

私は二人の言葉を聞いて何とも言えずうつむくだけだった。

「さ、王宮に行こう。あ、サクラとリーフも一緒にと言われてる」

その言葉に2匹はワン、ニャンと答えた。

「さ、お嬢様参りましょう」

カイは何も言えない私の手を取って、外へと連れ出し、馬車へと導いた。

皆が乗り込むとエマが「いってらっしゃい」と見送り、私は手を振った。

そして馬車は城へと向かった。


城への道は町への道とは違っていた。かなり森の中を走る。その森を抜けると一気に視界が開けた。視界の先に立派な建物が見えて来た。

「あれが王城です」カイがそう教えてくれた。

私は、周りの景色を見ながら王族とどう話せばいいのか不安になってきた。


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