第3話ナギに与えられた部屋と夕飯

2階に上がると、ドアが2つ。その一つの前でさくらが鳴いた。「ここ?」さくらはニャンと答えた。

ナギがドアを開け中に入った。「わ!!!」思わず声が出た。

中はかなり広い部屋、天蓋付きのベッド、ソファーや机、窓の外にはバルコニー。階段があって上がってみるとロフトに小さな机と椅子が置いてあり窓からは遠くを見渡すことが出来た。外の景色に見とれていると、「ニャン!ニャン!」とサクラの少し怒ったような鳴き声がした。

「ごめんごめん、着替えるんだったね」私は急いで下に降りた。するとサクラは部屋の奥の方に行き又ニャンと鳴いた。

そこをのぞいてみるといろいろな服が掛けてあるクローゼットになっていた。

「ここから服を選ぶの」サクラに向かって言うと「ニャン」とさくらが鳴いた。

私は服の中から一番飾りの少ない服を選んだ。

「これでいいかしら?」さくらに見せると頷くようなしぐさ。「解った着替えるからあっち向いててね」私はそう言うと服を着替え、来ていた服はたたんでクローゼットの隅に置いた。

「ニャン」さくらが鏡台の上で鳴いた。鏡台の方に行くと引き出しを叩く。私が引き出しを開けると、奇麗な石の付いたペンダントが入っていた。「これを付けるの?」サクラに聞くと頷く。私はペンダントを首にかけた。

「これでいいかしら?」私はサクラに聞いた。「ニャン!」満足そうなサクラの声にホッとした。


暫く部屋を見て回っていたら、下から「ご飯よ。降りてらっしゃい」とエマの声が聞こえた。「はーい!」と返事をして私は一階に降りた。

「よく似合うじゃない。あ、そのペンダント」

「サクラが教えてくれたんです。あの、いけませんでしたか?」

「いえ、そうじゃないの。さあ、冷めないうちに食べましょう。お口に合うといいけれど」

「いただきます」私はそう言って一口料理を食べた。「とてもおいしいです」

「そう、よかったわ」エマはリーフとサクラにもご飯をあげながらそう言った。

雑談しながら食事がすみ、お茶を飲み終わると私は

「あの、おかたずけします。ここに来てから世話になりっぱなしだし」

「そう、じゃおねがいしようかしら」エマは流しに食器を持ってきた。私はそれを洗い始めた。


「ね、あのペンダントサクラが付けた方がいいと思ったの?」エマはサクラに小声で話しかけた。頭に声が響いた『その通りよ、あの子にはお守りが必要。これからの為にもね』「これからのことか」エマはそう言ってナギの方を向いた。


夜。寝巻に着替えた私はベッドに横たわったがなかなか寝付けなかった。サクラがベッドに上がってきたので、サクラをなでているうちにうとうとし始めいつしかぐっすり眠ってしまった。

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