第2話カルディア王国

「う~ん、くすぐったい。起きるから止めて」うっすら目を開けながら私はそう言った。目の前に猫がいて私の頬をなめていた。

「え!ここ何所どこ?あなた誰」私はそう言うと体を起こした。

「ニャーン」と私をなめていた猫が鳴く。私は慌てて周りを見渡した。

小高い丘の上、丘の下には町が見える。私は草原に横たわっていたらしい。

私は途方に暮れた。私の気持ちを悟ったのか猫が膝の上に乗り甘えてきた。猫をなでながら、私はどうしようかと考えていた。


「ワン!ワン!」遠くから犬の鳴き声がしてきた。しばらくすると少し大きな柴犬がやってきて私の横にお座りした。そして女の人が一緒にやってきていた。

「ああ、もう、そんなに急がなくてもいいでしょ」女の人は犬に向かってそう言った。

「あ、ごめんね、この子が知られてくれたんだけど、あなた異世界から来た人?」

「はい、ここはどこでしょうか?」私はそう答えるのが精いっぱいだった。

「私の家に行きましょう。そこで色々教えてあげる」そう言うと女の人は先立って歩き始めた。私がついて行くと猫も、犬もついてくる。

「あら、あなたたちその子に付くの?」女の人が言うと2匹はうなずいたように見えた。


しばらく歩くと2階建ての家に着いた。女の人はドアを開け「さ、中にどうぞ」と私を導いた。私に続いて猫も犬も家に入った。最後に女の人が家に入りドアを閉めた。


「お茶を入れるね、テーブルに座っていて」と女の人は言いお湯を沸かし始めた。

私はテーブルの椅子に腰かけた。猫が膝の上に、犬は横でお座りをした。

暫くすると女の人が紅茶のような飲み物とお菓子を持ってきてくれた。

「さ、どうぞ」と私の前にカップが置かれた

「ありがとうございます」と言って、私はお茶を一口飲んだ。

「おいしい」と思わず声が出た。

「ありがとう。口に合ってよかった。お茶しながら聞いてね。ここはカルディア王国。風神を祭り王族が支配する国よ。貴方はこの国に紛れ込んでしまったって訳。

えっと、まず名前を聞かないとね。小声で教えて」

私は小声で自分の名前を言った。

「じゃ、あなたは『ナギ』と呼びましょう。私のことは『エマ』と呼んでね。この国では名前を全部呼ばないの。誰が聞いているかわからないからね」

「なぜですか?」

「この国の能力者たちは風を使って色々なことを知ることが出来るの。だから用心のために名前は一部しか呼ばないのよ」とエマは話した。すると犬と猫が「ワン!」「ニャン!」と鳴いた。

「あら、あなたたちも名前が欲しいの?」

「ワン!」「ニャン!」

「それならナギにつけてもらいましょうか」

「え!私がですか?」

「この子達、あなたがこの国にいる間一緒にいるつもりみたいだから、名前を付けてあげて」

「解りました。えっと、猫ちゃんは『サクラ』。ワンちゃんは『リーフ』」と私が言うと二人とも気に入ったのか「ワン!」「ニャン!」と答えた。

「いい名前を貰ったね。何か意味があるの?」

「サクラは、私の国で春に咲く花なんです。風で花びらが飛ぶ様は『桜吹雪』と言ってとてもきれいなんです。リーフは『葉』と言う意味で、風に吹かれて若葉がたなびくイメージです。風の国と聞いて浮かびました」

「とてもいい名だわ。じゃ、サクラ、リーフ、ナギを2階の部屋に案内して、ナギ着替えてらっしゃい」

「ありがとうございます」を私は答えた。ワン、ニャンと2匹が階段の方に誘う。私は2匹について階段を上がって行った。


エマはナギが2階に上がったことを確認すると、外に出た。神経を集中してある人に通信を取り始めた。頭に声が聞こえてきた。

『異世界からの訪問者は?』

「はい、この家で保護しております」

丁重ていちょうにもてなすように、後で聞くこともあるからな』

「承知いたしました。失礼します」エマはそう言うと顔を上げた。

そして家に入り夕飯を作り始めた。

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