第5話チームめんこい(5)
0:ある日のこと
しき:ん〜〜ん〜〜
しき:私は学校のトイレの鏡の前で何をしてるんだろ
しき:鏡見ても1ミリも可愛くならないなー
しき:可愛さに必要なのは自己肯定感とふゆきさんから教わったのです
しき:人の脳は単純だから自分の顔を鏡で見て可愛いって言うだけで可愛くなれるらしいのです!
しき:可愛いよ。しき
しき:わあー!可愛く見えてきたー!
しき:って!!誰が脳が単純じゃあああーー!!
しき:ええ!私はタイムセールって言われたら何でもかんでも買いますよ!それくらい単純ですよ!
ふゆき:え、しきちゃん、一人でも怒ってるの?
しき:あ、ふゆきさん!私の脳が単純だって思ったらなんかイライラしてきちゃって
ふゆき:怒るのって美容に良くないよ?
しき:そうなんですか?
ふゆき:うん、自律神経が乱れて血流が悪くなって栄養が行き届かなくなったりするの。老けやすくなるってこと
しき:誰がババくさいですか!!
ふゆき:デコピン!
しき:いったぁい!
ふゆき:言ったそばから怒らないの
しき:だ、だって老けるって言うから!
ふゆき:しきちゃん、この世で1番映えるメイクってなんだと思う?わかるよね?
しき:わ、わかりますよ!韓国風!
ふゆき:違う!
しき:え?違う!?じゃあ小悪魔メイク
ふゆき:違う!
しき:えぇー!じゃあ地雷メイク!
ふゆき:終了!
しき:えぇーー!!
ふゆき:正解は、こ・れ
0:ふゆきはしきの口を上にあげる
しき:んぐっ。何を
ふゆき:この世で1番映えるメイクは笑顔だよ
しき:笑顔?
ふゆき:そう!笑顔!これだけで人の心を安心させることが出来るの。万国共通のコミュニケーションってやつだよ
しき:笑顔だけですか!?
ふゆき:そうだよ、怒ってる顔よりも笑顔でいる人の方が人が集まるの。それは大人も子供もアメリカ人もブラジル人も全部一緒だよ
しき:そうなんですね
ふゆき:ほら、笑ってみて
しき:え、えへっ…えへっ……えへへへへ
ふゆき:デコピン!
しき:いったぁい!
ふゆき:そんな不気味な笑い方引かれるよ?
しき:そ、そんな
ふゆき:口角を上げて、強ばらない
しき:ニッ
ふゆき:そうそう、ぎこちないけど慣れてこう
しき:難しいな
しき:あと3ヶ月か…なんとか頑張るぞー!
ふゆき:しきちゃんはどうしてチームめんこいが嫌いなの?
しき:ああ、言ってなかったですよね
しき:私のお母さんがこの学校の卒業生だったんです
ふゆき:うん
しき:その頃からチームめんこいの存在があったんですけど、お母さんはチームめんこいからあまりいい目で見られてなくて
しき:大人になって仕事を始めた時、その会社の社長がチームめんこいのメンバーだったんですよ
しき:それからその会社で目の敵にされちゃってお母さんは仕事も辞めちゃったんです。酷い話ですよね?
ふゆき:うん。いくらなんでも可愛いを権力で振り回すのは良くないね
しき:だからそんなチーム解散させてやろうって決めたんです!
ふゆき:なるほどね
しき:笑うなら笑ってくださいよ!
ふゆき:笑ってないよ!
ふゆき:しきちゃんのその目標は絶対に見失わないでね?
しき:当たり前です!
ふゆき:うん!何かに向かって頑張り続ける人は綺麗だし輝いて見えるんだから!
しき:……ありがとうございます
0:一方では
はる:………
なつめ:あ、まーた黄昏(たそがれ)てるよ。どうした?
はる:何も無いわ。それにしても、ふゆき最近この教室に来ないわね
なつめ:あいつは自由だからな。何考えてるかも分からん
はる:もしも、しきの手助けをしてるって考えたらどうかしら?
なつめ:……あいつならありえそうな話だな
はる:そうなった時が問題ね
なつめ:まあ、なんでもいいだろ
なつめ:んで?はるは夏休み終わったらどうするんだ?
はる:………夏休みが終わったら…お墓参りに行こうと思う
なつめ:……行ってきなよ。むしろ、そろそろ命日でしょ?
はる:うん。私も去年よりもっと可愛くなるって誓うね
なつめ:そのリボンも綺麗なままだな
はる:当たり前でしょ?ちゃんとお手入れしてるんだから
0:はるはスマホを取り出し写真を開く
はる:約束だよ。お兄ちゃん
0:そして一方では
あきな:はあ。久しぶりに学校サボっちゃった
あきな:去年の今頃は私もしきさんみたいに自信がなかったはず
あきな:それでも、ふゆきと一緒に可愛くなって、一緒に勉強してチームめんこいになれた
あきな:しきさんがチームめんこいと何があったのかはわかんないけど、私は譲るつもりはない
あきな:ふゆきと一緒に。またチームめんこいになるんだから
あきな:……もう私に迷いは無い。チームめんこいは解散させないから…
あきな:よーし!頑張るぞー!おー!
あきな:……って、誰に影響されたんだか…
はる:チームめんこい(儚く)
:6話に続く
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