第84話 対イクンツ戦

 地面を転がったタイチはすぐに起き上がるが、もう既にイクンツは目の前に迫ってきてそのままタイチに切りかかってくる。


 タイチは咄嵯に剣で受け止めるが、衝撃で飛ばされ壁に叩きつけられる。

 イクンツの攻撃はまだ終わらず、今度は連続で切り込んで来る。

 それを必死に防ぐタイチだが、次第に押されていく。

 そしてとうとうタイチの剣は弾き飛ばさてしまい、丸腰になってしまう。


 こうなったら最後の手段を使うしかない!


 タイチは大きく息を吸うと、大声で叫んだ。


 うおおおおおぉぉぉぉ!


 タイチの叫び声を聞いたイクンツは、一瞬怯んだように動きを止めるが、すぐに攻撃を再開した。


 再びタイチに向かって魔力の剣を振り下ろす。

 タイチは、迫りくる剣を見ながら


 頼むぞ!

 と心の中で叫ぶ。


 そして、魔法を発動する。


「リフレクション!!」

 タイチの前に大きな鏡のようなものが現れ、イクンツの魔力の剣を受け止め、キィィーンという音とともに激しい火花が飛び散り、魔力がぶつかり合う。


 タイチは咄嵯に後ろに飛んで避け、大きく深呼吸をして心を落ち着けると、今度はこちらの番だとばかりに右手を前に突き出し、攻撃に転じる。


「ライトニング!」

 タイチの手のひらから電撃が放たれ、イクンツを襲う。


 バチバチッ!

 激しい音をたてながら直撃する。


(タイチ君、楽しんでるみたいだね?)


「え? 誰? なに? ちょっと今忙しいんですけど!」


(僕だよ、地球の神だよお)


「あぁ?! 神様?! すみません、今は少し無理です」


(うん、そうだよねえ。ルール違反だけど少しだけ)

 神様はそう言うと周りの景色の色が変わり、時間が止まっているように見える。


(タイチ君。久しぶり!)

「あの、僕まだ怒ってるのわかってますよね?」


「うん、まあそれは置いておいて」

「置くんだ」


「うん、でね、ここニニラカン大陸の成り立ちの話をね」

「流すんだ。ええ、はい。まあ楽しませてもらってますけど。ニニラカン大陸の話ですか?」


「うん、タイチ君のレベルだとまだ全貌が見えないだろうから、ここでなんで急に戦うことになったのかもわからないでしょ?」


「それですよ! なんでいきなり襲われたんです?」


「本当はルール違反なんだけど、特別にね、教えておいた方がいいと思ってさ。あ、恩着せがましく言うなって思ってる。いいよ、じゃあ話さないよ」


「いえ、はい、すみません。ごめんなさい。ちょっと思いました」


「うん、まあいっぱい思わなくてよかったってことにしてあげるよ。ああ、えっと今タイチ君を襲ってきているのは、ゲーム好きのタイチ君にわかりやすく言うと、この地の守護ゴーレムって感じかな」


「守護ゴーレム!」

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