第83話 大地の守護神?
さらに川上へ遡っていくと、そこには崩れた小さな祠があった。
タイチは土魔法を使い祠を元に戻すとその祠から地下に続く階段が現れ、入って行く。
中に入ると、かなり古い時代のものと思われる像が祀られている。
像はかなり大きく、高さ5メートルはあるだろうと思われ、全身が黒い鎧で覆われており、顔の部分だけがぽっかり空いている。
そして顔の空洞の奥から強い光が漏れ出していた。
タイチが顔の部分を確認しようすると、瞬間、像から強烈な衝撃波が放たれた。
咄嵯に身を守る。
そして衝撃波が収まったあと、目の前の像を注意深く観察する。
よく見ると、像の胸の部分に亀裂が入っていた。
タイチがその亀裂に手を伸ばすと、今度は像から光の玉が飛び出してきた。
その光の玉は、像と同じような人の形へと変化していく。
光の人形はタイチに向かって光の刀を振り上げる。
「うわっ! ちょっと待った!」
慌てて両手を上げる。
しかし、タイチの制止の言葉に聞く耳を持たず、光の剣は振り下ろされ、とっさに後ろに飛び退き間一髪で避ける。
「あぶない、あぶない。いきなり攻撃してくるなんて、どういうことだよ?」
光の人形は再度タイチに切りかかる。
タイチはバックステップしながら右手を突き出すと、そこから炎の壁が現れる。
しかし、その炎をものともせず、光はタイチに斬りかかった
「うおぉー、マジかよ」
タイチはとっさに
「アイスウォール」
と唱え氷壁を作り出し、なんとか光の刃を防ぐことができた。
「ふう、危なかったぁ。なんなんだこいつは? もしかしてこれって魔力だまりが作ったのか?」
「我が名はイクンツ。今、我の領域を壊そうとした。我はこの大地の守護神の一体である。我は守護するこの地を汚そうとした人間を滅ぼす者なり」
そう言うと、イクンツと名乗る魔力の塊は手に持っていた光の剣を構えるとタイチに向かって刀を向けるてくる。
タイチは腰に差した短剣に魔力を込める。
すると、その短剣が一瞬でロングソードへと姿を変える。
タイチはその長くなった剣を構えながら、
「こいつ、本当に魔力の固まりなのか? それとも実体を持った魔物なのか? しかし、考えても仕方がない。やるだけやってみるか!」
と、覚悟を決める。
タイチは身体強化の魔法をかけると一気に駆け出し、イクンツとの間合いを詰める。
そして袈裟懸けに剣を振る。
キンッ!!
甲高い音が響く。
タイチの斬撃はあっさり受け止められてしまう。
くそ、やっぱりダメか。
ならこれならどうだ!
タイチは左手でファイアボールを放つ。
しかし、これも簡単に弾かれてしまった。
これでもだめなのかよ。
どうすりゃいいんだよ。
タイチは一旦距離を取ると、もう一度イクンツを観察する。
イクンツの体は魔力でできているのか、常にゆらゆらと揺らめいている。
その魔力の隙間から、何かが見え隠れしている。
ん、あれは?
目か!?
魔力でできた目に気づいたタイチは、そこに意識を集中させる。
すると、魔力の目がギョロリと見開いた。
どうやら気づかれたらしい。
次の瞬間、イクンツは目から光線を放ってきた。
タイチはそれをかろうじて避けたが、地面に着弾した光線が爆発し、タイチを吹き飛ばす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます