第81話 アンティーク・ノートにて
「さすがはタイチ様ですな」
「ルーク。前回わかっててあの本を出したでしょ?」
「いやはやなんのことでございましょう?」
「ま、いいけどね。で、とりあえず問題解決のために割り振りをして動いてもらう事にはなったんだけど」
「はい、疫病フェイデッドモートでございますな」
「うん。自然発生なのか作為的なものなのか。ただ今まで見てきた中でナーバル地方にそんなことをしても利益を得る人なんていないんじゃないかと思うんだよね。そのあたりのことは教えてもらえるのかな?」
「さて、今のタイチ様のスキルレベルでご覧になれるかどうか。一応本をお持ちさせていただきますが」
「が?」
「さて、この情報をタイチ様がご覧になられてどう感じるのか少々不安がございます」
「え? どんな情報なんだろう? そう言われると知りたくなっちゃうよ」
疫病フェイデッドモートについては『アルカナ・ハーブロジー:秘術と治癒の知識』からの情報で魔法の暗黒面や呪いの影響を受けた地域で広まることが多く、魔力の乱れや邪悪な存在の存在が原因であり、そのために治療が難しいと書かれていた。
自然発生は考えにくい。誰かが意図的に流行らせたと考えるべきであろう。
タイチはそう考えた。
しかし、誰が何の目的でやったことかまではわからない。
考えられる可能性としては……
タイチは思考を巡らせる。
「タイチ様、こちらをご覧いただけますか?」
ルークが持ってきた本はとても古そうな本でルークが開いたページも何が書いてあるのか何文字なのかさえわからなかった。
「あ、そう言えば前回のスキルアップで【古代文献解読】を取得してたよね? 使ってみよう」
「かしこまりました」
タイチはスキルを発動する。
すると本の内容がわかるようになった。
「なになに? これは」
そこにはフェイデッドモートの発生条件について詳しく記されていた。
タイチはその内容を読んでいく。
それによると、まずは土地の魔力の乱れが引き金となるらしい。
魔力の乱れは、魔力が自然に淀む場所があるということ。
それは地下深くであったり、山奥であったりと様々だが、そこに邪悪で強力な魔物が住み着いたり、封印されていたりする場合が多い。
そういった場所に魔力の流れが集中すると、次第に土地に歪みが生じる。
歪みは大地を腐らせ、作物が育たなくなるばかりか、やがてその地は死の土地と化し、生物が住むことができなくなる。
そこで発生するのがフェイデッドモートである。
つまり、今回の疫病の原因は、ナーバル地方にある大きな魔力の澱みということだ。
しかし、それがどこにあるのかまでは記載されていない。
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