第56話 「アンティーク・ノート」にて

「というわけでさ、元騎士団は仲間に出来たんだけど、なんだっけ? ゴンバ団とジャブガ団っていうのをとりあえず退治しなきゃいけないみたいなんだよ」


「さすがはタイチ様ですな。すでに元騎士団を仲間に引き込んだのであれば力技で押し切っても良いように思われますが」


「うん、そうなんだけどね。できるだけ仲間に被害が出ない方法はないかなって思ってさ」


「左様ですな。では、少々お待ちください」

 いつものようにルークは店の奥に消え数冊の本を準備してくれる。


「ねえルーク」

「なんでございましょう?」


「この対立点っていうのは?」

「はい、せっかく二つの山賊グループがございますゆえ、お互いに争っていただくのがこちらの被害を失くす一番の方法かと」

「なるほど。じゃあ少し読み込んでみるね」


 タイチは速読スキルを使用し、本を読み進んでいく。


「うん、これはいけそうだね」

「それはようございました」


「少し仕込みがいりそうだけどまあなんとかなるかな。そして、ここを騎士団の人たちに任せればいいか。で、ゴンバ団とジャブガ団っていうのは?」

「申し訳ございません。さすがに分かりかねます。ただ、山賊団の名前からある程度、ボスの状況はわかるかと。こちらになります」


「ありがとう、ルーク」

 出された本を読み込んでいく。


「ゴンバとジャブカかあ。これホントにこの人たちなのかな?」

「どうでございましょう? こちらに載っている人物だと想定しておいた方が良いとは存じますな」


「うん、そうだよね。偽物なら本物より弱いだろうしね。一応本当にこの人たちだと想定して作戦は立てていくね。あ、そうだ。今の使えそうだね」


「とおっしゃいますと?」


「今みたいにお互いにあいつは偽物でほんとは弱い山賊なんだってそれぞれの団に広めてもらおう」


「それはよろしゅうございますな。本物にせよ偽物にせよ頭に血が上っている方が倒しやすいと思われます」

「うん、そうだね。じゃあまずは今回捕まえた山賊にその情報を流してもらおう。ってこの人たち、ホンモノだったらかなり危ない人だね」


「さようですな。しかしタイチ様、それだけで抗争が生まれますかどうか」

「うん、なので片方の団にだけお土産も渡そうかと思ってね」


「お土産ですか?」

「うん。まあその方が盛り上がるだろうからさ」


「タイチ様。終わったらぜひ顛末をお聞かせください」


「もちろんだよ、ルーク。ありがとう、今回もこの本のおかげでなんとかなりそう」


「はい、ではまた。お待ち申し上げております」

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