第51話 山賊の捕え方

「ダガン村長、お世話になりました」

「いやいや、世話になったのはこっちのほうだ。タイチ君、本当にありがとう。今後はナーバル村との協力体制に移っていくことになる。その時にはまたよろしく頼む」


「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします!」



 こうして僕たちは次のイナム村を目指して出発した。



「しかしどの道も山賊が現れるんじゃあ村の行き来だけでも命がけだったろうな」

「そうですね。なんとかしないと」


「本当ですね。タイチさん、対策は出来ているんですか?」

「あるじ、わたしが先に行って倒すか?」


「ありがとうシャーリー。でもそれはもう少し先に行ってからかな」

「ちぇー。あるじ、そろそろ戦いたいぞ」


「シャーリー」

「ひっ! もうしわけありません。なんでもございません!」


「あはは。まあ気持ちはわかるよ。シャーリーもたまには暴れたいだろうからね。しっかり暴れる時には暴れてもらうから、もう少しまっててね」

「はい!」


「それで? どうすんだタイチ。出会う山賊がその義賊かどうかなんて見分けがつかないじゃないか」


「そうですねえ。なので基本山賊は生け捕りですね」


「簡単に言うなよ、向こうはこっちを殺しに来てんだぞ?!」


「ですねえ。シャーリーもだよ。殺さないでね、生け捕りだよ」

「うん! シャーリーはあるじのいうとおりにする」

「ありがとう」


「いやいや、お前らはいいけどアリアと俺はそんな余裕はねえぞ」

「大丈夫です、アリアさんは命に代えても僕が守りますから」

「タイチさん」

「なにいい雰囲気にしようとしてんだよ、俺は? 俺はどうなんの?」


「ロイさん。そこはファイトですよ」

「いやファイトでどうにかなるの?」

「あるじ、なんかニオイがする! 人が何人かこの先に隠れてる!」


「さすがシャーリー! ありがとう。じゃあさ、シャーリーは迂回して待ち伏せしてる人たちを捕まえてくれるかな?」

「お安いごようだ! 行ってくる!」


「なあタイチ。まだ納得できないよ? 俺はファイトなの?」

「ロイさん、大人げないですよ?」

「お前、だんだん俺の扱いが雑になってきてねえか?」


「そんなわけないじゃないですか。大丈夫です、ロイさんがアリアさんを守っている限り二人にけがをさせるようなことにならないようにしますから」


「あ、ああ。信じてるぜ、タイチ」

「はい、安心してください。この作戦で進めば被害を出さずに山賊を次々に捕まえることができますから」


「ああ、まあそうだなあ。しかし生け捕りにしていくとここからどんどん捕まえた山賊たちが増えていってイナム村に着く頃にはどれだけの人数になってるかわかったもんじゃねえぞ?」


「その時はその時で考えましょう。あ、そろそろシャーリーが回り込んだころかな? じゃあ僕たちは素知らぬ顔で道を行きましょう」


 隠れている山賊に気づかぬふりをしながら道を進んでいく。

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