第3章 義賊山賊ぞっくぞく

第50話 ニニラカン大陸

「なんと?! ティグリスをテイムしたですと?!」


「そうなんだよ。思いのほかうまく行っちゃってね。本の通り酔わせたらべろべろになっちゃって基礎魔法Ⅰでテイムできちゃったんだ」


「いや、そのような?! さ、さようですか、よろしゅうございましたな」


「うん、でね、それだけじゃないんだよ。テイムしたら獣人化しちゃってね」

「なんとっ?! 真でございますか!」


「う、うん。どうしたの?」

「いえ、それはやはりタイチ様のお力でしょう。その件につきましてはこちらでもお調べしておきましょう」

「ありがとう、お願い」


「さて、次のイナム村でございますが」

「うん。山賊に襲われているって話だったね」

「はい。ではそちらの対策をお望みですか?」

「うん、お願いできるかな?」

「承知いたしました。少々お待ちくださいませ」



「やっぱり山賊って人数が多いんだろうね?」

「そうですな。イナム村付近には山賊のグループがいくつかあるようですな」

「え? そうなの?」

「はい、その中で少々気になる存在がございます」

「どれどれ?」


「この人は?」

「はい、元々は聖王国の騎士団長を務めていたようです。聖王国の悪政を憂い、義賊として立っておるようですな」


「この人は敵対したくないなあ。あ、そうだ聖王国? って言った? 僕、この国の成り立ちがよくわかってないんだよね」


「鉱脈地図もまだ広がっておりませんからな。では少しだけ、この大陸の成り立ちをお話しいたしましょう。この大陸はニニラカン大陸と呼ばれております。ニニラカン大陸は四方を海に囲まれており、この地域はそのニニラカン大陸の北東に位置します」


「大陸の規模は?」


「申し訳ありません。タイチ様、それはまだお知らせする時期にございません」

「うーん、確かアリアさんがナーバル村は王都から馬車で十日ほどって言ってたけど、王都は近いの?」


「馬車で十日ほどの位置にありますのは昨年リューキスの変で蜂起したザレリグの街のことではないでしょうか?」

「え? そうなの?」

「はい、ナーバル村はどちらにしても辺境ですから、国の情勢などは理解されていないのではないかと」


「ああ、そっか。で? この大陸は聖王国っていう国がこの大陸を支配してて、去年、この辺りで内乱が起こってるってこと?」

「左様でございます。現状、ニニラカン大陸は聖王国がすべてを支配しておりますが様々な問題が起こっております」


「なるほど。えっと、ちょっと先に。その聖王国ができてどのくらいになるの?」


「はい、今年が聖王歴七百四十六年になります」

「聖王国、七百年以上一国独裁なのか。七百年以上続いていろいろ問題も出てきてるってことか。で、そのリューキスの変っていうのは?」


「はい、大陸北部の豪族たちによる反乱で現在も北部豪族連合が聖王国との戦闘を繰り返しており、大陸北部及び中央部はかなり激しい戦闘も起こっております」


「んー、大陸の形が分かんないとどうしようもないな。まだ教えてもらえないんだよね?」

「残念ながら」


「そっか。じゃあまあこの件は少しおいておくしかないね。とりあえずイナム村の山賊問題を解決しなきゃだしね」


「はい、頑張ってくださいませ、タイチ様」

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