第46話 命名シャーリー
なんやかんやとどうやら名づけが必要らしい。
「ああ、まあそうだろうな。テイムは主との契約だ。主が名付けをしないと正式とは言えんだろうな」
「んー、困ったな。ティグリス、ティグリスだからあ、えーっと、そうだ、君、好きなものは? なにかない? え? 今飲んだもの? ああ、お酒? お酒かあ。ってその前に、君、オスなの? メスなの?」
ガアアウウウ!!
「ごめんごめん、そうだよね、失礼だよね。どこからどう見ても可愛い女の子だね」
「お、おい! タイチ、こいつメスなのか?!」
グルウウウア!!!
「食われますよ、ロイさん」
「ああ、ごめん! カワイイ! とってもカワイイおんなこのだあ!」
「ん-、じゃあ、シャーリー、でどうかな? 君の好きなお酒の名前だよ」
グルオオオオォォォォ!!!
僕がシャーリーの名前を呼ぶと、テイムで繋がった僕とシャーリーを結ぶ光の糸が光りはじめる。
テイム完了の光とともに僕の光は収まるが、シャーリーは一層眩くの輝きはじめる。
そして光が収まると
そこには一人の獣人のお姉さんが立っていた。
「「え?」」
「グルル…… あ、あるじ?」
「え? えーっとシャーリー?」
「グ、あ、ああ。あたいはシャーリー! あるじが名をつけてくれた!」
「えっと、ええーっと、ええ?! どうしましょう? ロイさん!!」
「だめだ、もう訳が分からねえ。タイチにわからないもんがおれにわかるわけねえだろ?」
「でも、これ?! ええ?! どうしましょう?!」
「あるじ!! 酒だ! 酒をくれ!」
「いや、シャーリー、ちょっと待って。いや、待ってって。ひっつかない! こら!」
「あるじいいい! 酒えええ!!」
シャーリーは全身虎の毛で覆われてはいるが全裸だよね?
ダメじゃん! 倫理的に!
「ロイさん! 服!! ロイさんの服を!! ほら、早く!」
「あ、ああ。そうか、そうだよな? だめだよな、そらダメだ、うん!」
「シャーリー、とりあえずそれを着てくれないかな?」
「なんだこれ? いやだ! こいつのにおいがする!」
「いや、まあそりゃあそうだろうけどとりあえず着てくれないと話ができないから、ってひっつかない!! こら、シャーリー!」
「着るならあるじの服! あるじの服がいい!」
「はぁ。わかったよ、じゃあ僕がロイさんの上着を着るから、シャーリーは僕の上着を着て」
ひと悶着あったが、これでやっと話ができそうだ。
問題は何一つ解決していないのだけれど。
「そうだシャーリー、君が連れてた他の魔獣は?」
「ん? おいはらったぞ。あんなうまい酒、ほかのやつにはのませない!」
「ああ、そう」
「もうこの辺りに現れること」
「ないぞ。来るなって言ったからな」
「ああ、そうなの」
どうやら魔獣襲撃問題は解決したらしい。
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