第29話 厳しい世界

「大変だ、大変だあ!!」

 その日、朝から村の門番をしていたロイさんが大声で村長宅に駆け込んできた。


「何があったんだ、ロイ、朝っぱらから」


「それが、なんだか知らねえけどこの村に向かって人が、ものすごい集まってきてるんだ」

「なんだって?! どういうことだ?」


「村の入口付近に、見たこともない数の人が集まってきてんだ。村に入りたい、入れろって言ってんだが、何かが起きているのかも知れねえ」


「その人たちの話を聞いてみなければならないか。タイチ君、どう思う?」


「まずは村の安全を確保しなければなりませんが、ロイさん、村長さん一緒にその場に向かいましょう。まずはその人たちの声を聞いて状況を把握したほうが良いと思います」


「そうだな。行こう!」


 村長とロイさん、そしてアリアさんと急いで門へ向かい、人々の集まっている場所に到着すると村外からやってきた見知らぬ人々が群がっており、騒ぎが広がっていました。


 村長は鎮静化するように手を振り、静かになるまで待つと、


「何が起きているのですか? どうしてこんなに多くの人が集まっているのです? どなたが代表の方ですか?」


 人々はざわめきながら話し始めたが、中から一人の初老の男性が前に出て話始める。


「大変なことが起きたんです! 魔物の襲撃があり、村は壊滅しました。我々は逃げてきたが、どうかこの村に避難させてほしいのです!」

 初老の男性は悲しみに満ちた表情で訴える。


「魔物の襲撃によって村は壊滅し、私たちが生き残った者たちは逃げ延びてきたのです。どうか、避難させていただけませんか?」

 村長は重々しい表情で考え込むが、一瞬の間を置いた後、固く頷き


「分かりました。この村に避難してください。我々はできる限りの支援をします。ロイ、避難民の受け入れの準備を整えてくれ。アリアとタイチ君は避難民の安全を確保するために村の周辺を警戒してくれ。私は村の者たちと協議し、魔物の対策を考えます。皆さん、この先も冷静さを保ちながら行動しましょう。で、代表のあなた、詳しい状況を聞きたいので私についてきてください。取り急ぎ、魔物はあなた方を追ってきているのですか?」


「ああ、申し訳ありません。おそらく追っては来ていないと思います。我々の村の住人が多くやられましたから」

「そうですか。では、ついてきてください」

 二人は村長宅へ向かう。


「アリアさん。大丈夫だということですが警戒をしていきましょう」

「はい!」


 村の人たちは村長の指示に従い、避難民の受け入れと警戒活動を行い、その後、村の人たちと緊急会議を開き魔物の襲撃に備えた対策を練ることとなった。

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